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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#94

第六章 真実(8)

「お母さまの名前ね、元々は『百鬼[漢字]永姫[/漢字][ふりがな]えいき[/ふりがな]』だったのよ。琴子、じゃないの。」
 どこか楽しそうに、寂しそうに、久世が言う。
「……そんなことは聞いていない。では、再婚であることを隠してここに来たのか」
「そうなるわね」
「……何よそれ。嘘つきにも程があるじゃない……!」
 母が[漢字]憤慨[/漢字][ふりがな]ふんがい[/ふりがな]して言う。
「嘘はついていないわよ。隠していたことが多かっただけ」
 久世は何ということもないというように答えるが、それも嘘というのではないかと凱は思う。
「どういう経緯で琴子さん……いや永姫さんは嫁いで来たんですか」
 肝心のところはそこだろうと、凱は話に割って入る。
「どういう経緯……どういうって、そんなのこっちが聞きたいわよ。子どもからすれば理不尽極まりないもの」
 それはそうである。
「首塚山に私たちの、百鬼の邸があったのよ。一族七十人くらいが住んでいたのだけれど」
 あれは百鬼家の邸だったのか。でも、何故『あった』と過去形なのだろう。
「あった……?」
「あ、一昨日無くなっちゃったの、闘いで」
 一昨日、燃えていたのはそれだったのか。
「それは置いといて、前はあそこには無かったのよ。別の場所にあったの。[漢字]竜ヶ崎[/漢字][ふりがな]りゅうがさき[/ふりがな]ってところ。知っている?」
「はい」
 首塚山については後で聞けば良いと思い、一旦頭の隅に置いた。
 竜ヶ崎は知っている。ここからでも、かなり遠いところだ。汽車で丸一日はかかるだろう。そして、山ばかりの、いかにも怪談が多そうな田舎である。
「代々、一族は竜ヶ崎で住んでいたんだよ。もちろん私のお父さまとお母さまも。ちょうど最盛期で、一族で百人くらいいた。」
 ずいぶんと[漢字]人気[/漢字][ふりがな]ひとけ[/ふりがな]を避けて暮らしていたのだな、と凱は思う。
 父も母も、何も言わずに聞いていた。
「二人とも、とても仲が良かったのよ。年頃になってすぐに結婚して、すぐにお母さまは[漢字]身籠[/漢字][ふりがな]みごも[/ふりがな]て、ここまでは まだ良かった」
 言葉を区切った。
「一番最初は、竜ヶ崎に人がよく来るようになった。」
 そのあと、あたりの木を燃やされることが頻発したらしい。
 今までに無かったことに困惑しているうちに、最初の死亡者が出た。鎮火しようとしたところ、何者かに襲われたらしい。
「人を使って 誰が殺したか、誰が火を付けたのかを調べたら、一般人だった。でも、ただの一般人じゃない、何かの信者みたいな感じの人だった、って」
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2025/10/28 08:05

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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