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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#92

第六章 真実(6)

「多分これで最後になるから、挨拶しに来たんです。あとは伝えたいことがあって」
 久世が答える。
「……最後になる?」
「そう。」
「兄妹で、どこか行くのか」
「どこか……どこでしょう」
 久世が回答を濁す。
「伝えたいこととは、何かしら」
 母が会話に割って入る。久世が答えた。
「[漢字]朝水[/漢字][ふりがな]あさみ[/ふりがな]さんはこちらで預かってます、ということです」
 両親がどちらも目を見開いた。
 凱にとっては、予想通りの回答だった。
 ますます、斎の憶測に確信を持つ。
「それだけか?」
 父が、娘のことなどどうでも良いというように聞く。久世は頭を振った。
「あとは、———仁井戸さんを信用しないでください。これで以上です。」
「は……? 何故?」
父が怪訝そうにする。
「あの人がどんな思想を持っているか。ご存知ですか?」
「さあ……? 知らん。」
「『魔法使い』を滅ぼす、と———」
「ああ、あの噂か。でも仁井戸さんがそれに関わってようと、私たちには関係ないだろう」
「……自分の上司なのに?」
 久世が 信じられない、といったように目を見開く。
「あの噂については私の仕事ではない。業務外のことには、お互い関わっていない」
「———よくそんなことが言えますね」
 低い声だった。
「事実だから仕方ないだろう」
「は……? 『事実』?」
「そうだ。しつこいな。……お前は一体何がしたい?」
 久世が目を見開き、父を見る。何か言おうとしても、何も言えないようだった。
 やがて、その顔に冷たい笑みを浮かべる。
「『お互い関わってない』? 嘘でしょう?」
「どこがだ?」
「———久世さん、何にもならない話をするのはやめてちょうだい」
 黙ってその様子を見ていた母が、久世を制止する。
 久世が目を背け、[漢字]俯[/漢字][ふりがな]うつむ[/ふりがな]く。

 ———久世に聞くなら、今かもしれない。
「久世さん」
 意を決して、凱は口を開いた。
 久世が顔を上げて、視線だけを凱に向けた。
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2025/10/26 09:18

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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