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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#91

第六章 真実(5)

 翌々日。
 相変わらず学校に行けず、暇だったので庭の草むしりをしていた。
 名家の長男とはいえ学校で度々草むしりはさせられていたので、苦にはならない。
「あら、凱君じゃない」
 後ろから声をかけられ、振り向く。
 ———[漢字]久世[/漢字][ふりがな]くぜ[/ふりがな]だった。
 整った顔立ち、薄茶の髪と薄橙の瞳。
「あ、……久しぶりです」
 驚きでしばらく声が出なかった。
「そうね。久しぶりね」
 斎の憶測のこともあり、何と言えば良いか分からなかった。
 久世の顔をじっと見つめていると、「何? 顔に何かついてる?」と言われてしまった。
「えっと、何も無いです」
 そう答えると、久世は[漢字]訝[/漢字][ふりがな]いぶか[/ふりがな]しみつつ「そう」と返した。
「———どなたですか?」
 誰が来た。親戚の一人だった。
「百鬼久世です。凱君の知り合いです。邸に上げてもらえるかしら」
 [漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]、と名乗った。
「凱様の知り合い? わかりました。どうぞ」
 何か起こるかと凱は思ったが、特に何も起こらず久世は邸に上がった。

「お茶をどうぞ」
 使用人の一人が、久世に茶を渡す。
「ありがとう」
 久世が少し頭を下げて、茶を一気に飲み干した。
 空になった湯呑みを眺めつつ、久世はふっと[漢字]物憂[/漢字][ふりがな]ものう[/ふりがな]げな表情をする。
「久世さん?」
 声をかけてみたが、反応はなかった。
「———私。」
 そして、ポツンとつぶやく。
「え?」
「何のために生まれたのかなーって。死んだ母さまも、同じ気持ちだったのかしら」
 [漢字]自嘲[/漢字][ふりがな]じちょう[/ふりがな]するような横顔がそこにあった。
 何も言えず、沈黙が流れる。

「——あら? お客様がいらっしゃるのかしら」
 外から母の声がした。
 そっと引き戸が開けられる。そこから、両親が入ってきた。
 特に最近忙しくしていたから、父の姿を見るのは久しぶりだった。
 二人とも、久世の姿を認めるなり[漢字]渋[/漢字][ふりがな]しぶ[/ふりがな]い顔をする。
「お久しぶりです、父さん。お仕事は忙しくないのですか」
 凱が声をかける。
「ああ。仁井戸さんが、休みをくれたんだ」
 それは意外だと思った。
「そうだったんですか」

「こんにちは。お邪魔しております」
 二人が座るのを見て、久世が挨拶した。
「……ええ。」
「何しにきた?」
 母は軽く頷きを返したが、父は疑うように久世を見た。
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2025/10/25 17:55

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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