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【カウントダウン投稿#22】郵便受けの秘密

朝、ポストを開けると、見慣れない封筒が入っていた。
 宛名も差出人も書かれていない。
 封筒は白く、紙の手触りは少し厚めで、わずかに冷たかった。
 中を開けると、一枚の紙が入っている。
 そこには、短い文章だけが書かれていた。
――「三日後、ここを見よ」
 最初は、いたずらだと思った。
 だが、なぜか背筋にぞくりとした感覚が走った。
 日常の中に突然差し込まれる、不可解なもの。
 それだけで、朝のコーヒーが少し苦くなる。
 次の日も、何も変わらなかった。
 封筒は届かず、通りすがる人も普段通り。
 ただ、紙に書かれた言葉が頭の隅から離れない。
 昼間は忘れられる。
 仕事や家事で忙しい時間を過ごすと、文字の存在は薄れる。
 だが、夜になると必ず思い出す。
 三日後。
 その日、郵便受けを開けると、再び封筒が入っていた。
 先日の紙と同じ質感。開くと、今度は簡単な地図が書かれていた。
 地図は、自宅周辺の道を示している。
 目的地は、近所の公園のベンチだ。
 なぜか、そこに向かわなければならない気がする。
 恐る恐る歩くと、公園には誰もいなかった。
 ただ、ベンチの上に小さな箱が置かれている。
 箱を開けると、古びた鍵と紙片が入っていた。
 紙片には、こう書かれていた。
――「答えは、日常のどこかにある」
 鍵の形は、見たことがある。
 以前、近所の古い倉庫の扉に似ていた。
 倉庫は普段、立ち入り禁止で、鍵が必要なことは誰も知らない。
 夜、倉庫へ向かう。
 鍵はぴったり合った。扉を開けると、内部は埃っぽいが、整然としている。
 棚には、古い箱や道具が並んでいた。
 その中で、ひときわ目を引く箱がある。
 開けると、そこには過去に自分が探していた小物や忘れていた手紙が入っていた。
 探していたことさえ忘れていたものたち。
 日常の中で失われたと思っていた小さな記憶。
 それを手に取り、触れると、妙に安心する。
 封筒と鍵は、偶然ではない。
 誰かが意図的に、日常の隙間に「小さな事件」を置き、忘れかけた時間を取り戻させようとしている。
 その夜、帰宅すると郵便受けには何もなかった。
 ただ、日常の風景が少しだけ違って見えた。
 小さな冒険を経た後は、同じ通り道も特別なものに感じられる。
 日常は、静かだが、いつも謎に満ちている。
 そして、その謎を見つけるのは、自分自身の好奇心だけだ。

2026/01/22 20:51

愛麗ちゃん@ありがとう
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