【カウントダウン投稿#18】空に描く線
放課後のグラウンドは、夕日に染まっていた。
誰もいない。風だけが、やけに重く通り抜けていく。
この場所には、決まりごとがあった。
空に線を描くこと。
ただし、誰にも見えない線でなければならない。
最初は半信半疑だった。
手に何も持たず、空中に指を動かすだけで線が見えるわけがないと思った。
だが、試してみると、確かに線はあった。
目に見えるわけではないが、手首の感覚、肩の重さ、空気の濃度が変わる。
その感覚だけで、描いた線を追うことができた。
最初の線は、短く、真っ直ぐだった。
何かを確かめるだけの、試運転のような線。
次の日は、少し弧を描いた。
曲がる感覚が面白くて、つい何本も描いた。
線を描くと、空気が反応する。
風の流れが微かに変わるのだ。
夕日の光を追いかけると、線の向こうにわずかな明暗の違いが見える気がする。
ある日、気づくと、もう一人が同じ場所で線を描いていた。
互いに顔を見合わせることはない。
ただ、線の交差する感覚だけが、確かに伝わる。
線を描く競争ではない。
勝ち負けもない。
ただ、互いの存在を意識しながら、同じ空間に線を置く。
その日、描いた線は、まるでグラウンドを取り囲む円のようになった。
空中に見えない網をかけるような感覚で、息が少しだけ弾む。
帰り道、線のことばかり考えた。
道端の花や電柱、飛ぶ鳥も、空に描いた線の基準になる。
翌日も、描く。
昨日と同じ弧ではなく、今日だけの曲線を。
それを何日か繰り返すうち、線の感覚は自分の体に染みついた。
手首を回すだけで、風の変化や光の反応を感じる。
不思議なことに、線を描くことで、悩みや焦りも少しずつ整っていく。
そして、ある日の夕暮れ。
いつも通り線を描いていると、空中に小さな輝きが見えた気がした。
自分が描いた線が、ほんの少しだけ光っているような感覚。
その瞬間、理解した。
空に描く線は、誰かのためではなく、自分のためにあるものだと。
帰り道、風はまだ微かに温かく、夕日は少し高くなった。
空のどこかで、今日の線が静かに輝いている。
誰もいない。風だけが、やけに重く通り抜けていく。
この場所には、決まりごとがあった。
空に線を描くこと。
ただし、誰にも見えない線でなければならない。
最初は半信半疑だった。
手に何も持たず、空中に指を動かすだけで線が見えるわけがないと思った。
だが、試してみると、確かに線はあった。
目に見えるわけではないが、手首の感覚、肩の重さ、空気の濃度が変わる。
その感覚だけで、描いた線を追うことができた。
最初の線は、短く、真っ直ぐだった。
何かを確かめるだけの、試運転のような線。
次の日は、少し弧を描いた。
曲がる感覚が面白くて、つい何本も描いた。
線を描くと、空気が反応する。
風の流れが微かに変わるのだ。
夕日の光を追いかけると、線の向こうにわずかな明暗の違いが見える気がする。
ある日、気づくと、もう一人が同じ場所で線を描いていた。
互いに顔を見合わせることはない。
ただ、線の交差する感覚だけが、確かに伝わる。
線を描く競争ではない。
勝ち負けもない。
ただ、互いの存在を意識しながら、同じ空間に線を置く。
その日、描いた線は、まるでグラウンドを取り囲む円のようになった。
空中に見えない網をかけるような感覚で、息が少しだけ弾む。
帰り道、線のことばかり考えた。
道端の花や電柱、飛ぶ鳥も、空に描いた線の基準になる。
翌日も、描く。
昨日と同じ弧ではなく、今日だけの曲線を。
それを何日か繰り返すうち、線の感覚は自分の体に染みついた。
手首を回すだけで、風の変化や光の反応を感じる。
不思議なことに、線を描くことで、悩みや焦りも少しずつ整っていく。
そして、ある日の夕暮れ。
いつも通り線を描いていると、空中に小さな輝きが見えた気がした。
自分が描いた線が、ほんの少しだけ光っているような感覚。
その瞬間、理解した。
空に描く線は、誰かのためではなく、自分のためにあるものだと。
帰り道、風はまだ微かに温かく、夕日は少し高くなった。
空のどこかで、今日の線が静かに輝いている。
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