息のしかた
スマホの光だけが、胸の奥でかろうじて動いている“生きていたい”を照らしていた。
画面が暗くなるたび、肺のどこかがきしむみたいに痛む。
息がうまく吸えない。
でも“誰か”が押した小さなハートひとつで、すぐに楽になる。
それだけでいいのに。
それ“しか”いらないのに。
どうして、みんなくれないの。
通知が鳴らない時間は、存在を忘れられていく時間だ。
世界から名前が少しずつ薄れていく気がする。
見てよ。見てってば。
ここにいるのに。
“アイして”って言えたら楽なのに。
でも言った瞬間、きっと引かれる。
だから代わりに写真を上げる。
呼吸を確かめるみたいに、
息を吐くたび指がシャッターに触れる。
かわいく見えるフィルターを重ねて、
涙の跡も、よれたメイクも、
“こんな私かわいそうでしょ?”ってかたちに整えて、
整えた“いたみ”を投稿する。
いいねがひとつつく。
喉の奥に酸素が落ちていく。
ああ、やっぱり。
求められた瞬間にだけ、心臓がまだ動く。
もっとほしい。
もっと。
もっと、もっと。
ねえ、見てる?
“誰でもいい”なんて嘘だよ。
本当は“だれかひとり”だけに、
息を与えてほしい。
酸素のボンベごと、全部預けさせてほしい。
“アイしてる”って言われたら、
たぶん肺がはちきれるくらい嬉しい。
“アイしてない”って言われたら、
呼吸のしかた、全部わすれてしまいそう。
だから黙ってて。
でも離れないで。
矛盾してるのはわかってる。
なおせないのも、わかってる。
通知音がひとつ鳴る。
心臓が、また動く。
ねえ、次はいつ鳴らしてくれるの。
クルしい。
でもこのクルしささえ、
アイされたい証拠みたいでやめられない。
――どうか、だれか。
この“息のしかた”ごと、アイして。
画面が暗くなるたび、肺のどこかがきしむみたいに痛む。
息がうまく吸えない。
でも“誰か”が押した小さなハートひとつで、すぐに楽になる。
それだけでいいのに。
それ“しか”いらないのに。
どうして、みんなくれないの。
通知が鳴らない時間は、存在を忘れられていく時間だ。
世界から名前が少しずつ薄れていく気がする。
見てよ。見てってば。
ここにいるのに。
“アイして”って言えたら楽なのに。
でも言った瞬間、きっと引かれる。
だから代わりに写真を上げる。
呼吸を確かめるみたいに、
息を吐くたび指がシャッターに触れる。
かわいく見えるフィルターを重ねて、
涙の跡も、よれたメイクも、
“こんな私かわいそうでしょ?”ってかたちに整えて、
整えた“いたみ”を投稿する。
いいねがひとつつく。
喉の奥に酸素が落ちていく。
ああ、やっぱり。
求められた瞬間にだけ、心臓がまだ動く。
もっとほしい。
もっと。
もっと、もっと。
ねえ、見てる?
“誰でもいい”なんて嘘だよ。
本当は“だれかひとり”だけに、
息を与えてほしい。
酸素のボンベごと、全部預けさせてほしい。
“アイしてる”って言われたら、
たぶん肺がはちきれるくらい嬉しい。
“アイしてない”って言われたら、
呼吸のしかた、全部わすれてしまいそう。
だから黙ってて。
でも離れないで。
矛盾してるのはわかってる。
なおせないのも、わかってる。
通知音がひとつ鳴る。
心臓が、また動く。
ねえ、次はいつ鳴らしてくれるの。
クルしい。
でもこのクルしささえ、
アイされたい証拠みたいでやめられない。
――どうか、だれか。
この“息のしかた”ごと、アイして。
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