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 になりたい。

いじめは、きっと嫉妬とか優越感が欲しいからとか得体の知れない何かに対する恐怖とか凄く無駄で醜い感情から生まれた。

大事件だとか、そういう事柄の原因は限界まで切り捨てれば起きないちっぽけな感情から始まること。

だから、捨てたいし捨てれなかった。





























[太字]フィン・エイムズ[/太字]「はぁ…………………………」

ぴちゃぴちゃと滴る汚い赤。

先日までは教科書を破ってたり机に落書きしてた[漢字]人達[/漢字][ふりがな]死体[/ふりがな]。

感情のある人なら人殺しがどうのこうの、最低だとかどうのこうの喚くのだろう。

まぁ、どうでもいいけど。

仕方のない事、バッサリ諦める。それですべて丸く収まる。

ぶっちゃけ、顔も知らないし名前も知らない人が知らない時に知らない場所で死んだって可哀想とか思わない。

ニュースに取り上げられない無名の親密な関係のあった人。

そういう人が死んだなら、悲しむだろう。

けど、全く知らない人が、全く知らない場所で何時の間にかたくさん死んでても、可哀想とか思わないし涙は一滴も出ない。

きっと関わりがないからだと思う。

もう感情は捨てたい。人間やってる意味分かんなくなってきた。

関係の深かった親戚にたらい回しにされ邪険にされ大切な人に突き放された気分は最悪だった。

そう思ったのも全部感情があるせい。

今、何かになれるのなら。
















[太字]フィン・エイムズ[/太字]([打消し]                  [/打消し]杖になりたい)

必要とされて。

身近にあって。

かけがえのなくて。

考えることもなくて。

一人じゃなくて。

感情がなくて。

本当に杖に嫉妬する。

数年前を振り返る。










骨まで凍り付く程の息苦しさ。

誰かに見られるのに怯えた幼少期。

日々を重ねるごとに増える青い[漢字]花[/漢字][ふりがな]痣[/ふりがな]と古く鋭い[漢字]葉[/漢字][ふりがな]傷[/ふりがな]。

寒空の中体を寄せあった仄かな希望の[漢字]光[/漢字][ふりがな]兄[/ふりがな]。

冷たくて苦しくても心は未来を信じて縋っていた。





















イーストン魔法学校に入ってからは…………………………………………………………………?

広い部屋。

寒いのも、お腹が空いて理性を貪られることもない。

知らない人に白い目で見つめられることもない。

優秀な兄に近づくために媚び諂ってくる視線。

塵を見るような目で貫く兄の視線。

決して追い抜くことも追いつくことも出来ない。

必死に学んでも誰よりも優れない。

誰かを庇える勇気もない。

もう死ぬ不安はない、広い空の下で空腹に喘ぐこともないはずなのに、どうしてか孤独に押しつぶされる。

こんなの、心があるせいだ。

…………あの人が何かを思ってそうしてるのは分かってるよ。

でも、そうじゃなかったら?

ただ嫌いになっただけだったら?

怖い。分からないのが怖い。ひとりにしないでよ。

[打消し]                     [/打消し]だから。






























[太字]フィン・エイムズ[/太字]「[小文字][小文字]もう嫌だな、全部[/小文字][/小文字]」

ぎゅっとロープを握る手の力が強くなる。本当は、こんなことしたくなかったのに。

たった一言すら話すことも出来ない僕に生きる資格は存在しない。

頭ではわかっているのに兄様にこの思いを伝えることが出来ないのなら。




















ガクンッ










































このまま[漢字]向こう[/漢字][ふりがな]死後[/ふりがな]の世界にまで持って行こう。

それが正しい行動じゃなくっても。

それがしてはいけないことだとしても。

それが問題の先送りだけだとしても。

整理したい。

落ち着きたい。

考える時間が欲しい。

でもここじゃそんな時間はないんだよ。

この世界で整理できないのだから、それくらいは許してほしい。

そして、巡り合ったなら伝えるんだ。

いい夢じゃなく、いい現実が刻まれることを信じて。

この世界からおやすみなさい。

まだ来ないでね、兄様。





[太字]????????[/太字]「[小文字][小文字][小文字]おい、開けるぞ[/小文字][/小文字][/小文字]」











キィ[大文字]ィ[/大文字]イ[大文字]イ[/大文字]…

無機質な音がする。

カランッと杖の落ちる音がする。

ひゅぅ、ひゅぅと微かな風が体を揺らす、繋がれたものも揺れる。




























[太字]レイン・エイムズ[/太字]「……………………………………え、[小文字]ぁ[/小文字]」

ゆらゆらと、

ぷつり、と音を立ててフィンに繋がれていたロープは古かったからか千切れ、ドサリとフィンの体は落ちる。

まるでそのロープが、2人の関係を示していたかのように。































[漢字]また[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]、失っちゃった。

作者メッセージ

フィン・エイムズとレイン・エイムズは両親が死んで親戚にたらい回しに引き取られたりして兄から突然冷たくされたら絶望とかストレスに押し潰された死んじゃうかなと思った結果。
きっと改善点はいくらでもあったはずなのに、やるべきことはそれではなかったはずなのに、その時だけはそれが一番正しいと妄信する。「こうすればよかった」、「こんなことしなければよかった」と思っても何にも意味を成さない。心の傷は見えないし殆ど治らない。悲しいとかそういう感情があるせいだと思ってしまったフィンは、何も考えることも出来ないけれど、大勢から必要とされる杖になりたいと思った。
どんなに相手のことを考えた結果の行動も、意図が伝わらなければ無意味。ただレインはフィンに冷たく接したという事実しか残らなかった。
彼は、弟に幸せになってほしかっただけなのに。
……………「彼」が失ったのは何だろうか。そもそも誰なのか。

2025/03/11 21:10

ビターチョコ
ID:≫ 01tP/3FyKl7KA
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