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東方終焉譚~蓬莱山輝夜編~

迷いの竹林、その中に存在する永遠亭。


カサカサと竹の葉の擦れあう音が静かに響く。その音を、月人たる蓬莱山輝夜が永遠亭内で聞き入っていた。












[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「……………はぁ、もう今日で何日目かしらね」
月人である彼女には、一見、人と同じ姿をしていれど、人と違って彼女には寿命というものが存在しない。であれば藤原妹紅と同じような存在に見えるが、妹紅はれっきとした人である。不死の薬を飲んでしまったため、寿命が[漢字]無くなった[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]ようなもので、輝夜は[漢字]元から[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]寿命というもの自体が存在しないのが違う所。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「[漢字]ここ[/漢字][ふりがな]幻想郷[/ふりがな]に来る前はずっと暇なものだったけど、案外悪くないわね。それに、時間が初めて惜しくなったわ」
そう。人間ではなく月人という種族である彼女にとって、人間が思うことを思わない場合がある。一番分かりやすいものが、「時間」に関する考えだ。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字](今までなら時間なんて嫌になる程有り余ってると思っていたはずなのに)
今では時間が足りないなどと人間のようになっていると彼女自身が感じていた。それを不快とは思わなかった。むしろ、
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「こういうのも悪いわけじゃないなんてね。初めて知ったわ」
竹と竹の隙間からわずかに漏れ出る日光。その光に照らされながら、手元にあったお月見団子を1口で頬張った。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「……美味しいわ」





























[太字]藤原妹紅[/太字]「輝夜かよ」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「あら、もこたんじゃないの」
わざとらしい輝夜の声に、呆れたようにライバルである藤原妹紅が呟く。
[太字]藤原妹紅[/太字]「[小文字]傲慢なこった[/小文字]」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「も・こ・た・ん?」
[太字]藤原妹紅[/太字]「…知るか」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「あ、そういえば、1個思い出したわ」
[太字]藤原妹紅[/太字]「……どーでもいいことだろうからもう帰っていいか?」
そう言って踵を返し、去ろうとする妹紅。普段の事である。

































そう、[漢字]普段[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]なら。












[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「言っておかなきゃいけないことがあるのよ、[漢字]妹紅[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]」
[太字]藤原妹紅[/太字]「…!」
妹紅の瞳がわずかに拡大された。輝夜を見据えるその深紅の瞳は、驚きと動揺、そしていつもの事ではないと知り、次にくる言葉を待っていた。
[太字]藤原妹紅[/太字]「…で、何だよ」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「まぁね、最近は嫌な予感がするの…頭の中にある警報がずっと響いて鳴りやまないのよ」
[太字]藤原妹紅[/太字]「予想でもあるんか?」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「それは…幻想郷の住民じゃないことぐらいね」
[太字]藤原妹紅[/太字]「はぁ?それ以外誰がいるんか?」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「それは………」


























[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「さぁ?[漢字]分からないわ[/漢字][ふりがな]喋れないわ[/ふりがな]」
[太字]藤原妹紅[/太字]「[大文字]はぁ!?[/大文字]」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「まぁまぁ、落ち着きなさい」
[太字]藤原妹紅[/太字]「あんだけ溜めた結果『分からない』みたいな馬鹿な返答いらねぇよ」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「も~、かっかしないのよ?」
[太字]藤原妹紅[/太字]「ああもう!やめようと思ったけどいい!!今日と言う今日こそお前をブチ殺す!!」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「やってみなさいよ、も・こ・た・ん?(笑)」
[太字]藤原妹紅[/太字]「[大文字]絶っっっっっ対に、[/大文字][大文字][大文字]ぶっ殺すからなぁ!?[/大文字][/大文字]」

~少女激闘中~












[太字]藤原妹紅[/太字]「ゼェッ、ハァ、クソッ…」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「残念~これでまた私の勝ちね!」
[大文字][中央寄せ]ドパァンッ!![/中央寄せ][/大文字]
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「[打消し]                             [/打消し]ッ!?」
息切れしていた彼女の姿は何処にもない。ただ、血溜まりの中に倒れている妹紅の下半身だけだった。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「[小文字]どういうことかしら?…ボソッ[/小文字]」
[太字]藤原妹紅[/太字]「隙アリ」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「んなっ!?」













[大文字]ゴォ[/大文字][大文字][大文字]ォオ[/大文字][/大文字][大文字][大文字][大文字]オ[/大文字][/大文字][/大文字][大文字][大文字][大文字][大文字]オ[/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][大文字][大文字][大文字][大文字][大文字]オ[/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][大文字][大文字][大文字][大文字][大文字][大文字]オッ[/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][大文字][大文字][大文字][大文字][大文字][大文字][大文字]!![/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][/大文字][/大文字]





















[小文字]ジュゥウ[/小文字]ウ[大文字]ウ[/大文字][大文字][大文字]ウウ…[/大文字][/大文字]
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「ぁ”っつ…やってくれたわね、もごだん”…」
[太字]藤原妹紅[/太字]「やっと1勝だ、いつ私が降参って言ったんだよ馬鹿が」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「……してやられたわ、今回は私の負けね」
気付けばもう夕方で、景色のほとんどはオレンジ色に飲み込まれていた。
[太字]藤原妹紅[/太字]「…はぁ、[漢字]またな[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「…えぇ、[漢字]さようなら[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]」











































[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「………。[小文字]まさか負けるなんて思わなかったんだから、私が負け逃げしただなんて思わないでよね、[/小文字][小文字][小文字][小文字][漢字]妹紅[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな][/小文字][/小文字][/小文字][小文字][小文字][小文字][打消し]     [/打消し][/小文字][/小文字][/小文字]」




















[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「[小文字][小文字][小文字]ありがと、今まで[/小文字][/小文字][/小文字]」


















































その日の夜中。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「……」
静かな中、1人ぽつんと立っていた。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「ねぇ、これはもう、どうにもならないのかしら」
彼女の手は僅かに光の膜に覆われている様に見える。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「ぁ”[打消し]           [/打消し]ぐッ、」
次第に光は彼女の手からゆっくりと伸びていく。それと同時に、輝夜は膝から崩れ落ちた。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「………ぅ[小文字]っ[/小文字]、かはっ」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「頼るのはあんまり好きじゃないんだけど…今回ばかりは、ね…」
その光は形を変えながらも彼女の体から離れていく。まるでどこかから引っ張られるように。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「嫌ね、今まで退屈だったはずなのに今では永遠の死から逃れたいなんて思っちゃってる」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「はぁ…魂を抜かれるなんて最悪の気分。存在ごと消せるはずなのに」
ずるんっと音を立てて彼女の掌にふよふよと光……………………ではなく、魂は浮かんだ。
しかし、それも束の間。




























[小文字]ぽろ[/小文字]……………………
少しずつ、魂の形が崩れていった。それと同時に、輝夜の体も連動するように崩れていく。
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「知ってるわ、見えてないけれど」
独り言の様に呟く。


[小文字]ぽろ、ぽろぽろ[/小文字]……………………
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「あ~あ、死にたくなくなっちゃったわ…」






















ぼろ…っ










[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「な~んて、」
[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「全部言わされてるだけなんだけどね」



























[太字]蓬莱山輝夜[/太字]「でも、今まで楽しかったのは事実だし、[漢字]妹紅[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]のことも嫌いじゃないわよ」
その言葉を最後に、彼女は跡形も無く塵になった。





ヒュゥゥウウウ………………………
月に儚く舞うそれは、どこか美しく見えた。




































[打消し]                       [/打消し]東方終焉譚に新たなページが追加された

作者メッセージ

長年にわたって続けられた2人の殺し合い。常々勝ち続けてきたお姫様が初めて負けたあの日から、いや、「東方終焉譚」がつづられたあの日から、全て変わっていた。魂が崩壊すれば、体も朽ち果てる。きっと彼女は悟ってたのだろう。この世界が偽物だろうと、楽しかったのは事実。東方終焉譚のページが新たに追加される。最終章はまだ、未公開のようだった。

2025/07/15 19:43

ビターチョコ
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