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【参加型】虚迷宮

#1

F1 : エレベーターガイド


「???」
 おはようございます。私はエレベーターガイドと申します。

「エレベーターガイド」
 行き先の階のボタンを押してください。

「私」
 うーん・・・。

  身体がガチガチに痛い。この狭くて硬い床で寝ていたみたいだ。
  ここはどこ?

  辺りを見回す。狭い、ピカピカの金属で作られたエレベーターだ。

「エレベーターガイド」
 行き先の階のボタンを押してください。

  再び機械音声が流れる。何か怒っているように感じる。
  とりあえず立ち上がって、ボタンが並ぶ場所を見る。

  上の表示には「F1」とある。今、このエレベーターは一階にいるんだろう。
  とりあえず、「1」のボタンを押す。

「エレベーターガイド」
 1階でございます。

  チン、と音が鳴って、エレベーターのドアが開いた。
  広がっていたのは、ただ無機質な空間。壁も天井も床もグレーだった。

  眼の前にあったのは、大きな木。ただ、直方体だけで形づくられていて、カクカクだった。
  葉っぱの色は緑。幹の色は、壁と同じグレー。床とつながって生えているように見える。

  木の前に、何か大きな箱があった。遠すぎて、よく見えない。

  とりあえず、一歩目を踏み出す。
  すると、水の波紋が広がるように、空間の色ががらりと変わった。

  壁と天井は柔らかいアイボリーに、床は緑色に。木の幹は、薄めの茶色に。
  心なしか、踏み出した足の裏がやわらかい。まるで芝生のような。

「エレベーターガイド」
 [漢字]お客様[/漢字][ふりがな]チャレンジャー[/ふりがな]の緊張を感知しました。F1の内装を親しみやすい内装へ変えました。

「エレベーターガイド」
 ようこそいらっしゃいました、[漢字]お客様[/漢字][ふりがな]チャレンジャー[/ふりがな]。
 本館は、[漢字]お客様[/漢字][ふりがな]チャレンジャー[/ふりがな]に「諦め」を提供する安らぎの場です。

「私」
 ねえ、ここは、どこ・・・?

  咄嗟に尋ねる。
  とりあえず、木の下の何かを確かめるために、歩き出す。

「エレベーターガイド」
 繰り返します。本館は、[漢字]お客様[/漢字][ふりがな]チャレンジャー[/ふりがな]に「諦め」を提供する安らぎの場です。
 [漢字]お客様[/漢字][ふりがな]チャレンジャー[/ふりがな]には、こちらの「サポートガイド」を配布しております。
 ぜひ、お受け取り下さい。

  見てみると、木の下の何かは、ロッカーだった。
  1番から60番まで、同じ大きさのロッカーが並んでいる。

  ガシャン、と音がした。ビクッ、と思わず飛び退く。
  1番のロッカーが勢いよく開けられただけだった。なんだ、と思って胸を撫で下ろす。

  背伸びして、ギリギリで1番ロッカーの中身を取り出す。
  白いタブレットだった。

「エレベーターガイド」
 そちらはサポートガイド。お客様のチャレンジに役立つことでしょう。
 では、いってらっしゃいませ。幸運をお祈りしています。

「私」
 えっ、ちょっ、ガイドさん!?

  天の声(仮名)に、上を向いて呼びかける。応答はなかった。
  その代わり、別の方向から声がした。

「???」
 おっはよー! 私はサポートガイドだよ。

「サポートガイド」
 これからよろしくね! あーっと、お名前は?

  タブレットが起動し、某ファミレスの配膳ロボの顔のような、可愛らしい猫の顔が映し出された。

「私」
 え、私? 名前・・・知らないなぁ。

「サポートガイド」
 じゃあ、私が名付けちゃおう!
 今日から君は、「セラフ」ね!

「セラフ」
 セラフ、セラフ・・・。うん、わかった! ありがと、サポート、ガイ、ド?

「サポートガイド」
 私に名前はないよ! あだ名で呼びたいなら、「姉ちゃん」って呼んで!
 私の人格は「頼れる優しい元気なお姉ちゃん」だからね!

「セラフ」
 え、何それ・・・。

「サポートガイド」
 人格変更もできるよ! 「ツンデレお兄ちゃん」とか、「メンヘラ彼氏」とか・・・。

「セラフ」
 別に今のままでいいからっ!

「サポートガイド」
 オッケー! わかったよ!

「セラフ」
 で、ここはどこなの?

「サポートガイド」
 ここは「[漢字]虚迷宮[/漢字][ふりがな]ウツロめいきゅう[/ふりがな]」。皆に「諦め」を提供する安らぎの場。
 セラフには、これからこの迷宮を登ってもらう。その先に、答えは在るから。

「セラフ」
 ・・・分かった。

  サポート、じゃなくて、お姉ちゃんの声は異様に低かった。

「サポートガイド」
 さ、エレベーターに行こうか!

「セラフ」
 うん。

  不安を引きずりつつ、私達はエレベーターに乗り込んだ。

2026/01/25 19:16

シロツメクサと朝ぼらけ
ID:≫ 1rbH5j8ImDtsI
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