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《参加型》天使と悪魔の狭間に

#6

《本編 #1》日常

「さよーならー」

 ホームルームが終わり、俺は階段を駆け下りる。
 部活がある奴らを嘲りながら、下駄箱から靴を取り出す。
 バラバラといくつかの封筒が落ちるが、気にせず俺は昇降口を飛び出る。

 見慣れた下校ルートを辿り、ボロアパートの古い階段を駆け上がる。
 ギシギシという悲鳴が聞こえる。
 アパート二階の階段から3つめの部屋。それが俺等のアジトだった。

「ただいまー!」
「おかえり」
「おかえりなさい」

 こいつらは神楽世と式川。〝夕暮れ特攻隊〟の仲間だ。
 リーダーを務めるのは神楽世。悪魔と契約する前から、こういう職業に就いていたらしいから。
 俺は、こいつらに拾ってもらったんだ。

「二人とも、今日暇?」
「僕は暇です」
「行ける」
「じゃ、悪魔殲滅部隊の本部殴り込みに行こうぜ」
「行くかあ」
「分かりました」

 三つ並べられたロッカーの一番右のロッカーを開き、レザージャケットを着る。
 そして、ロッカーの中のリングを取り出す。右手に白いリング、左手に黒いリングを装着する。
 ロッカーを閉じる。ボロボロで錆びたロッカーは、バン、と音を立てて閉まった。

 二人はすでに、左手に黒いリングを装着していた。
 そして神楽世は、右手に灰色の石ころを持っていた。
 転移石だ。

「行くぞ」

 俺と式川が神楽世に近寄ると、転移石は白く輝いた。
 次の瞬間には、俺達は悪魔殲滅部隊の本部の入口前に居た。

「お、お前達は・・・!」

 警備員が、こちらを見つめていた。
 左手に〝呪怨の大鎌〟を出し、大きく振りかぶって投げた。

「こちらグリーン3、入口前にッ――」

 大鎌は回転しながら警備員を蹴散らした。
 帰って来た大鎌を左手にキャッチしながら、歩みを進める。
 俺達は真っ二つに切断された遺体を通り過ぎ、本部に入った。

「よお、天使持ち共。皆殺しにしてやるよ!」

 建物の中には、天使の消毒液の匂いが蔓延していた。
 そして、右手に白いリングを装着した奴らがたくさんうろついていた。

「キャー!」
「非戦闘員は逃げろ! 応援を呼べ!」

 おもに女の天使持ちたちが、奥のほうに戻っていく。
 そして、戦闘員たちが残る。

「天使のリングを落とすか、俺等に殺されるか。選べ」
「お前らを殺すのみだ」

 火蓋が切られた。
 俺等は連携なんてものはなく、多対一で天使持ちどもを薙ぎ倒すだけだった。

「《呪縛》」

 ズンッ、と突然に空気が重くなる。――俺達以外は。
 俺の悪魔の能力、《呪縛》。移動速度低下、目眩などのデバフ付与スキルだ。
 何度も使ってるから、一気に数十人くらいはかけられる。

 大鎌を振り回し、敵を薙ぎ倒す。
 回避し、大鎌を振りかぶって投げ、回収して、回避して、攻撃。その繰り返し。
 隙があったら、床に無数に転がる天使のリングを回収し、ポケットに突っ込む。

 「リング」。白なら天使、黒なら悪魔が宿っている。
 装着していなければ、能力を使えない。
 悪魔派の世界では、白いリングは「天使討伐の証」として扱われ、スペードの連中が高値で買ってくれる。
 これは、ちょっとした金稼ぎなのだ。
 残酷だとは思うが、天使派だしなぁ。
 それが当たり前。

 敵を軽く一掃し、式川のほうに目を向ける。

 式川は、能力を使わず、素の自分だけで戦ってる。
 暗視、通話、暴走。今のシチュエーションだと、どれも使わない。使うほどの相手でもないのが事実。
 ナイフで戦い、破損したらそのナイフの欠片を投げつける。足場には刃物の欠片。いい戦法だと思う。

 神楽世は、槍の長さを上手く使っている。
 敵が攻撃できない中距離から攻撃し、詰めてくる近距離タイプは薙ぎ払う。
 かっけぇ。あの槍も、神楽世も。

 その時、俺の腹に激痛が走る。
 反動で俯くと、俺の腹から血しぶきが上がるのが見える。

「なっ・・・?」
「戦場で油断は禁物だぞ?」

 俺の腹は、奴の槍で貫かれていた。

「・・・《呪縛》!」

 とりあえず呪縛。動かれたら困る。

「動けねぇ? なるほど、そういう戦法か」
「はっ、はっ」

 息が上がる。右手を腹に当て、「っ、《治療》」と唱える。
 たちまち、傷が塞がる。

「な? お前、今、天使の・・・」
「だから何だよ、この野郎!」
「俺には名前がある! 俺は天竺 蒼白だ! 悪魔は大嫌いだね!」
「じゃあ殺してやるよ・・・、腹を貫かれた仕返しにな!」

2025/10/15 22:28

シロツメクサと朝ぼらけ
ID:≫ 1rbH5j8ImDtsI
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