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曲パロです

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《リクエスト募集中》曲パロ / プレイリスト

#18

アンヘル / かいりきベア

 十月十日を経て出会った君。
 生まれてきてくれて嬉しいよ。
 病気にかかって悶えて涙を流していても、生きているならそれで幸せ。
 生きているなら、なんとかなる。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 望んでもないのに産み落とされ。
 望んでないのに罹った病に蝕まれ。
 それでも幸せ?
 ふざけてるね。
 でも、生きてさえいれば、何度でもやり直せる。
 いつか絶対に、やり直してやる。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 断頭台の刃が落ちる音。
 ザシュッとか、グザッとかだと思っていた。
 でも違うんだ。
 「ガタン」。
 それだけなんだ。

 囚人番号218の奴の首がぽろりと落ち、血がどろりと広がる。
 その姿を無表情に見つめる看守たち。
 お前らのほうが。

 そう叫びたいが、俺にはもう逃げ場がない。

 看守たちによって、紅く血塗れた断頭台の刃が、また高い位置に戻される。
 「219番」
 そう呼ばれ、俺は一歩踏み出した。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 まったく。
 くだらない。
 くだらぬ命の連鎖に辟易する。
 この腐り切った世界を見守ることに何の意義がある?
 なぜ、醜いものを見なければならない?

 生に執着してもいつかは死ぬ。
 何故、人間は死を受け入れないのか、心の底から理解できない。
 心の底から分かりあえない。
 いや、分かりあいたくないのだ。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 「あっやばいっ」
 若い看護師の声。ぷつんっ。
 意識が切れる――。

 「あっ!先生! 患者起きましたっ!!」
 騒がしい。
 「××さん。貴方の死期はそう遠くありません」
 はぁっ? と声を出したいが、出ない。
 「延命治療できますが、しますか? 大丈夫なら、目を三度連続で瞬きしてください」
 躊躇う。
 でも、生きてさえいれば。
 パチ、パチ、パチ。
 「延命治療を承りました」
 医師はそういって去って行った。
 生きてさえいればいいんだ。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 「さて、219番。お前は罪人だ。お前の存在価値を証明してみろ」
 看守の冷たい声が響く。心做しか、彼の目が紅く光っているように見える。

 「・・・はっ、働けます。たくさん働きますっ! だからっ・・・!」
 「なるほど。地下へ連れていけ」
 「はっ」

 敬礼した看守に、地下に連れていかれる。

 「今日からお前はここで働け。もちろんタダ働きだ。存在価値がないと判断されたら即刻お前の首を刎ねるし、ノルマに達しなかったら飯抜きだ」

 炭鉱、のように見えた。
 それから俺は、必死に働いた。
 死にたくないから、生きたいから、必死に。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 踏まれようが、蹴られようが、穢れようが、死にかけようが、断頭台の前に立たされようが、
 生きていれば、やり直せる。

▛▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝▝ ▜▙ ▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▖▟

 確定している「終わり」を受け入れないとは・・・。
 人間とはどこまで愚かなのか。
 「始まり」に「終わり」はつきものだ。
 「始まり」を受け入れたということは、「終わり」を受け入れたことと同義なのに。
 どこまで愚鈍なのだろうか。

 醜い生存競争。
 もう見たくない。

 だが、天使としての務めを放棄してはならない。
 天使として、[漢字]地獄[/漢字][ふりがな]hell[/ふりがな]を[漢字]否定[/漢字][ふりがな]un[/ふりがな]する。
 天使として生を受け入れたからには、その義務も受け入れなければならない。

 私も大概、人のこと言えないものだな。

2025/10/05 22:05

シロツメクサと朝ぼらけ
ID:≫ 1rbH5j8ImDtsI
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