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曲パロです

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《リクエスト募集中》曲パロ / プレイリスト

#17

ギラギラ / Ado


 生まれたときから、私は忌み嫌われる運命の上に立たされていた。

 左目の周りに、青黒い墨を零したような痣みたいなものがあった。
 さらに、忌み嫌われる黒に似た青い髪を持って生まれた。
 その上、神様が左手で描いたような顔を持ち合わせていた。

 家でも、学院でも、どんなところに行こうとも、私は忌み嫌われ続けた。

 でも。
 自分の醜悪さは一番分かっているつもりなのに。
 絶対に、私を受け入れてくれる人なんていないのに。
 私は「恋情」を一人分抱えていた。

 私は、「一番な嫌いな人間だーれ?」と聞かれたら、
 「自分」と即答する自信があった。
 いっそ、美醜逆転した世界に行きたい。

 重い足を引き摺りながら、私は寮の一人部屋を出た。
 原則、寮は部屋を二人で分けるものだというのに、私は一人部屋。

 辛い。嫌だ。
 どんなに自分を嫌っていても、私は、自殺するなんて度胸はなかった。

「おはようございます」
「ああ、おはよう。すまないけど、手伝ってもらえるかい?」
「もちろんです、寮母さん」

 寮母さんだけは、私を嫌わなかった。
 恐らくだけれど、寮母さんは高齢のために目が見えていない。常に杖を持ち歩いている。
 私の醜悪さを知らないから、私に優しくしてくれるのだろう。

 複雑な感情を抱えながら、寮母さんの後ろについていく。
 寮母さんは、厨房のドアを開けた。

「お皿洗いを頼めるかな?」
「はい」

 洗い場には、様々な食器が小高く積まれていた。
 グラス、皿、カトラリー。

 黙々と皿洗いを終え、食器についた水滴を拭き取っていると、グラスの中に紙が入っていることに気づいた。
 すっと取り出し、開いて読む。

「××へ
 中央棟地下三階に神殿があり、神はそこで君を待っている」

 ドクン。
 心臓が、大きく高鳴った。

◇─◆──◇─────◇──◆─◇

 カツン、カツン――・・・

 冷たい音が響き渡る。
 暗く、寒く、どこか寂しげな地下三階には、白い彫刻されたアーチがあった。天使像が、手を取り合っている。

 私は、無意識にそのアーチをくぐった。

 シャリン。

 鈴の音が聞こえ、景色が一変した。
 白い宮殿の中に居た。

 神が住まう神殿、それは正しかったようだ。
 辺りを見回すと、天使像がたくさんある。

 シャリン。

 再び鈴の音が響くと、背後に誰かが立っていた。
 〝それ〟は、白いレースだけで作られた服を身に纏っていた。

 思わず、へなへなと座り込む。
 〝それ〟の顔が、視界に入る――・・・

◇─◆──◇─────◇──◆─◇

 気づけば、宮殿からは追い出されていた。

「おいっ、こら! お前、勝手に神殿に入ったな!」

 知らない教師の声。

 ゆらりと後ろを向く。

「ひっ!」

 教師は、私の醜悪さを見て声を落とした。

「神に付け入ろうとした無礼者め!」
「まあお待ちなさい」

 学院長の声。

「××さんではないですか。もしや、神と出会ったりしました?」
「・・・」
「そうですか。・・・貴方は赦されざる罪を犯しました。その審判は、神に委ねるとしましょう」
「そうだ! 醜女が神に出会っていいはずがない!」

 ぐさり。
 違う。違うんだ。
 私が醜いんじゃない。
 お前らの心が醜いんだ。
 狂っているのは私じゃない。私じゃない。
 狂っているのは、お前らなんだ。世界のほうだ。
 私は、狂ってなんかいない。私は正しい。

◇─◆──◇─────◇──◆─◇

 両手を鎖で拘束され、無理やりアーチをくぐらされる。

 シャリン。

 鈴の音。それと同時に、両手を拘束していた鎖も崩れ落ちた。

 シャリン。

 鈴の音。また、白いレースを身に纏った〝あれ〟が――・・・
 許せない。

 なんで。
 なんで。
 なんで、なんで、なんで。
 なんで、そんな、姿なの?

 機械で作られた躰。ツギハギの後が残る、プラスチックでできた彫刻の顔。欠けて青黒い内部が見える、左目付近。

 ふざけるな。
 お前が、私を、自分に模して作ったのなら。
 なぜ、神に似た容姿の私が、神の創った世界に受け入れられないんだ?
 意味が分からない。
 許せない。いや、赦さない。

 この怒りは、どんな奴であろうとも、鎮められない。

 ずしり、と途端に右手が重くなる。
 私の右手にあったのは―――ハンマーだった。
 白く、レース模様の装飾のされた、いかにも荘厳なハンマー。

 左手で支えながら、〝あれ〟の前でハンマーを眺める。
 ああ、つまり。
 そういうことね、理解したよ。

 ガキンッ、ガキンッ。
 金属音が響く。

 私は〝あれ〟を刻み続けた。

 ガシャッ、ガチンッ。
 気づけば、金属音は変わり、〝あれ〟の姿は一変していた。
 レースの抜け殻と、〝あれ〟の頭上にあったティアラが残っている。

「ははっ。あはははははっ、はははははっ」

 無理やり引き摺り出された、乾いた笑いが零れ落ちる。

 こんな狂った世界なんて大嫌いだ。

――だから。
 一度、〝リセット〟する必要がある。
 私の眼の前には、それができる権力がある。

 私は、ティアラを頭上に乗せた。
 かつてないフィット感と全能感に打ち震えた。



 誰も彼も、ずっと変わらずにはいられない。
 ありのままなんてものは、疾っくの疾うに、[漢字]あの狂った世界[/漢字][ふりがな]ゴミ箱[/ふりがな]に捨てたんだ。
 さあ、始めようか。

作者メッセージ

タグに「#ボカロ」ってついてますが、リクエストはボカロ以外でも大丈夫でーす

2025/09/27 22:06

シロツメクサと朝ぼらけ
ID:≫ 1rbH5j8ImDtsI
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