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曲パロです

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《リクエスト募集中》曲パロ / プレイリスト

#11

アスノヨゾラ哨戒班 / Orangestar

 私は、テントで、毛布にうずくまって震えていた。
 戦争に駆り出されるのだ。それも五回目。

 一度目も、私は震えていた。
 だけど、周りの子どもたちが、「悪魔どもを殺してやるぞ!」と盛り上がっていたから、恐怖が中和されたんだ。。

 でも、今は違う。
 「周りの子どもたち」は、今はいない。
 大半が死に、残った数少ない子どもたちは自殺した。

 残ったのは、私と「君」だけだった。
 「君」は、二回目を終えた私に、笑いながら私に話しかけてくれた。嬉しかった。
 戦争に賛成するような、終わってる人格を持っている訳でもなく、私は安心した。

 「君」がいれば、私はいくらでも爆弾を投げられるし、いくらでも屍の山を築き上げられる。
 「君」は、私の生きがいだったんだ。

 「君」と出会うまでは、本当に戦争に出たくなかった。
 明日なんて来ないでくれ、太陽よ昇らないでくれ。そうひたすらに念じていた。
 だが太陽は理不尽なほどに昇り、回る。そして、永遠と私を嘲り笑うのだ。

 死にたかった。
 でも、兵士さんたちはそれを許さなかった。それはそうだ、有用な使い捨てのコマだったから。

 だけど、「君」と出会うことができた。私は生き抜く覚悟ができた。
 どんなに過酷な任務が課されようとも、「君」のためなら、生きるためなら何でもできたんだ。
 一回目の後、兵士さんたちは私と「君」を会わせてくれなかったことが疑問に残るほどだ。

 今日も、「頑張ろう」と「君」は言いながら、自分のテントに入って行った。
 そうだ。「君」がいれば、私は最強なんだ。

 そんなことを考えていると、テントのジッパーが開けられる音がした。

「管理番号--番、出陣だ。ついて来い」

 兵士さんだった。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 今日も、たくさん人を殺したと思う。
 二日、夜が明けても今回の戦いは続いた。
 でも、勝利した。敵国もそろそろ傾きはじめると、兵士さんが言っていたから、そろそろ戦争が終わるはずだ。

 軍隊の拠点で、夕食の招集がかけられ、テントから出た。
 私は自然と、「君」の姿を探していた。

 「君」を見つけられないまま、薄いスープと堅パンを受け取り、それを食べていると、隊長が大きな声で言った。

「速報だ。停戦協定が結ばれた。戦争は、終わったんだ」

 兵士さんたちが、両手を挙げ、立ち上がり、歓喜の声を上げた。
 私も、心の中では同じポーズをしていた。

「明日の早朝、列車に乗って本土に帰る。皆、支度をしておけ。そして、よく休め」

 隊長は、優しかった。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

「はい、どうぞ」

 駅員さんに切符を渡し、ところどころ錆びれた列車に乗り込む。
 座席なんてものはなく、床に座り込む。足を伸ばし、その上に荷物を乗せた。

 「君」は、どこにも居なかった。
 でも、私の中には、根拠のない、ゆるがない自信があった。「君」は生きていると。

 八時間近くかかる列車の旅で、色々な人と話したが、誰も「君」の安否は知らなかった。
 自信はあったけど、知りたかったから、色々な人に尋ねた。でも、分からなかった。

 諦めはじめたのは、四時間が過ぎたころ。兵士さんたちも皆疲れて、眠っていた。
 私も眠った。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 目を覚ますと、まだ列車の中だった。あと一時間だった。
 水がほしくて、隊長のもとを訪ねた。隊長は起きていたし、元気なようだった。

「おう、水か。ほれ」

 水を飲み、諦めかけた低い声で彼に尋ねた。

「あの、――はどこに居るんですか?」
「・・・・・・知らない。天国かもしれないし、敵国の捕虜になっているかもしれない」

 隊長は、思いも寄らない返答をした。
 私は目を見張った。

「ど、どうして、ですか」
「俺が最後に見たのは、彼が土手っ腹を撃ち抜かれ、大量の出血をして、倒れたところだ。
 拠点が落とされかけていたから、仕方なく撤退した。すまん。俺の、力不足だ。ごめんな。ごめんな」

 隊長は優しかった。ぼろぼろと泣き、私に詫びた。
 私は、涙が出なかった。呆然としていた。
 隊長が立ち直った後、私はもとの場所に戻り、寝た。

――死にたい気分だった。

 久しぶりに、夢を見た。
 「君」との会話だった。

 星降る夜空の下、隊長に秘密で二人で話していた。
 私は、「弱くて臆病な自分を捨てたい。強くなりたい。それで、この辛い日々を壊したい」と意味の分からないことを打ち明けていた。
 「君」は、それを笑うことなく、「願ったんなら、その夢を叶えよう。約束だ」と、小指を差し出した。
 私は、「君」との約束を交わした。

 でも、「君」は死んだ。約束は果たされなかった。

 そこで目が覚めた。

 そうだ。私は、
 強くならなければならない。

 死んだかもしれない君への手向けに。
 何もすることができなかった、僕の、せめてもの償いに。

 すっと立ち上がる。
 列車は未だに走っている。

 でも、少しずつ景色が薄れる。
 光の粒子となり、また別の景色を形成する。



『私には、やらなければならないことがある。』



 ――目が覚めた。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 目が覚めた。
 病院だった。
 白い清潔感のある天井のタイルが目に入る。

 そうだ、「君」は。
 重病に倒れた私に、僅かな希望をくれた。
 毎日毎日、ただのクラスメイトだった私に、お見舞いに来てくれた。

 最愛の親友だ。

 でも、「君」は、引っ越して、この街から消えた。



『私には、やらなければならないことがある。』

 あの日の約束。

 「私は強くなって、この病院から退院する。それで、君に・・・」

 会いに行くよ。

作者メッセージ

夢オチだけど許して。
微妙なラストだけど許して。

次のお話も読んで。
くれると嬉しいね。

2025/09/27 09:35

シロツメクサと朝ぼらけ
ID:≫ 1rbH5j8ImDtsI
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