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曲パロです
クソ長いです。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ママ! ハッピーバレンタインデー!」
ここは孤児院。
そして、カレンダーは2月14日を示している。
外から、わーわーきゃーきゃー騒がしい声がする。
「まあ皆。ありがとね」
彼女はママ、と呼ばれているが、彼らと血の繋がりがある訳じゃない。
「嬉しいけれど、廊下では静かにね。
え、まだあるの? 嬉しいわ。皆、食堂に移動しましょう。廊下で立ち話もあまりよろしくないわ」
ママは、俺が騒音が嫌いなことを知った上で、煩い皆を食堂に連れて、俺から引き剥がしたんだ。
俺は、親に捨てられ、この孤児院に居る。
そして俺は、孤児院の中にあるこの檻から出ることすらも拒んでいる。
――もう懲り懲りなんだ。
人と関わりを持つのも。社会に出るのも。
俺は社会不適合者なんだ。だから、この牢獄に閉じ込められ、死を待つだけの死刑囚なんだ。
すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「・・・どうぞ」
ぼそりと、低音が響いた。
古いドアの「キィィ」という音がして、ドアが開いた。ママだった。
「ごめんなさいね。いつも煩くて」
「・・・別に」
「今日もオレンジの服なのね」
「気に入ってるだけ」
「ああそう、子どもたちから貰ったんだけど。食べきれないからあげる」
「ありがとう」
ママは、机の上にどっさりとチョコの山を築いた。
すべてビターチョコの山。皆は、ママがビターチョコ好きと知って、毎年大量のビターチョコを贈るのだ。
俺は一つ拾い上げ、包装をちぎって開き、食べた。
苦み。
「・・・苦」
「ビターチョコ、嫌い?」
「イマイチ」
「じゃあ、なんで毎年食べてくれるの?」
「さあ」
「・・・そう。授業始めていいかしら?」
「うん」
ママの授業が始まった。
俺は、社会に出られるように、ママから人付き合いの授業を受けている。
受けておいて損はない。
「じゃ、私の授業は今日で終わりよ」
「え」
「明日、一旦外出てみたら? あの子たちは優しいわよ」
「・・・」
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「大丈夫。私もついてるから」
ママはそう言って、部屋から出て行った。
頭を掻きむしった。腹が痛かった。喉が、嫌悪感で埋められていく感覚がした。
まだ出ていないのに、息苦しかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
翌朝、ママはマジで俺を外に引っ張り出した。
いくら説得しても、聞く耳を持たなかった。
朝の食堂。数億年ぶりかのような感覚だった。
ママの向かい側に、俺は座らされた。
皆の奇異の視線が痛かった。
「は、はじめまして。
俺は◯◯。よろしく」
「・・・」
静寂が怖かった。
「実はな・・・、俺は、二階の真ん中の部屋に封印されてた幽霊なんだ!」
ジョーク。俺だったら一ミリも笑えない。
「はははっはは!」
爆笑が巻き起こった。安堵した。
ママは微笑んで、俺を見守っていた。
目立たず、目立たなすぎず。
難しいと思っていたことは、思ったより簡単だった。
――孤児院では。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
その夕方、ママは素っ頓狂なことを言い出した。
「明日、学校に行きましょう!」
ママはいくら説得しても、聞く耳を持たなかった!
「大丈夫! 今日も上手く振る舞えたんだから!」
孤児院に入る前、学校でイジメに遭っていた記憶が全身を駆け巡った。
「嫌だ! それだけは!」
「チャレンジしないと何も始まらないわ! さあ、準備しなさい!」
喉が、首が、ギリギリと何かに締められてゆく気がした。
リュックを背負い、仕方なく学校に向かった。
足が、鉄球がいくつもつけられたかのように、重かった。
でも、ママは容赦なく俺を引きずって、学校に連れて行った。
「◯◯さんですね。こちらへ」
大丈夫。前の学校とは違うんだ。
大丈夫。俺は良く振る舞える。
クラスのドアをガラリと開いた。
目が合った。
アイツが居た。
俺をイジメた主犯格の、俺のトラウマ。
「お前、◯◯か? 久しぶりだな!」
嫌悪感。今すぐにでも逃げ出したかった。
だが、恐怖で足が[漢字]竦[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]んで、動かなかった。
「お前、またイジメられに来てくれたんだなあ? マジで感謝するぜ!
サンドバッグがほしかったところだからな!」
アイツはまた、ヒエラルキーの頂点に君臨していた。
アイツは、ここらへんの領主の息子だったから。
教師も、年長者も、アイツにへらへらして、媚びへつらっていた。
社会と隔離された、独自のルールやカースト、ヒエラルキーが存在する閉鎖的学校。
まるで宗教的社会だ。
それから数日、俺は永遠とイジメられるだけだった。
思い出したくもない。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「学校、楽しかった?」
「うん」
ママにイジメを伝えれば、こんな小さな孤児院はアイツによっていとも容易く破壊されてしまう。
だから、伝えられない。
ママは、キッチンに立って、夕飯の支度をしていた。
包丁が、視界に入った。
包丁。ナイフ。
アイツらを殺せば。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
翌朝。俺はリュックに盗んだ包丁を入れて、登校した。
いつもより、足取りは軽かった。
「よお、◯◯。またアレやるから、サンドバッグ係してくれよ」
「・・・ああ」
教室に入れば、アイツが腕を肩に回して、俺に囁きかけて来た。
隙ありだ。
俺はすぐさま包丁をリュックから取り出し、アイツを殺害した。
俺をイジメた奴らも皆殺しにした。
もちろん、アイツに媚びへつらってた教師も。
でも、いくら復讐をしても、気持ちは晴れなかった。
恨んでいた奴らを全員殺し、ぼんやりしていると・・・。
「はじめての殺しなのにね、◯◯、君センスあるよ」
ママの声がした。
「帰ろうか、◯◯」
抗える気がしなかったから、俺は素直に従った。
孤児院に戻ると、血で染められていた。
「あれ、ママ? 皆は?」
「食べちゃった。でも、あんまり美味しくなかった」
ああ、なるほど。
「一番美味しく育てたのは君なんだよ、◯◯。やっぱり、ちょっぴり苦い方が美味しいんだよね」
「ああ、だから。俺を。なるほど」
ママは、俺に、ビターチョコのデコレーションを施したんだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ママ! ハッピーバレンタインデー!」
ここは孤児院。
そして、カレンダーは2月14日を示している。
外から、わーわーきゃーきゃー騒がしい声がする。
「まあ皆。ありがとね」
彼女はママ、と呼ばれているが、彼らと血の繋がりがある訳じゃない。
「嬉しいけれど、廊下では静かにね。
え、まだあるの? 嬉しいわ。皆、食堂に移動しましょう。廊下で立ち話もあまりよろしくないわ」
ママは、俺が騒音が嫌いなことを知った上で、煩い皆を食堂に連れて、俺から引き剥がしたんだ。
俺は、親に捨てられ、この孤児院に居る。
そして俺は、孤児院の中にあるこの檻から出ることすらも拒んでいる。
――もう懲り懲りなんだ。
人と関わりを持つのも。社会に出るのも。
俺は社会不適合者なんだ。だから、この牢獄に閉じ込められ、死を待つだけの死刑囚なんだ。
すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「・・・どうぞ」
ぼそりと、低音が響いた。
古いドアの「キィィ」という音がして、ドアが開いた。ママだった。
「ごめんなさいね。いつも煩くて」
「・・・別に」
「今日もオレンジの服なのね」
「気に入ってるだけ」
「ああそう、子どもたちから貰ったんだけど。食べきれないからあげる」
「ありがとう」
ママは、机の上にどっさりとチョコの山を築いた。
すべてビターチョコの山。皆は、ママがビターチョコ好きと知って、毎年大量のビターチョコを贈るのだ。
俺は一つ拾い上げ、包装をちぎって開き、食べた。
苦み。
「・・・苦」
「ビターチョコ、嫌い?」
「イマイチ」
「じゃあ、なんで毎年食べてくれるの?」
「さあ」
「・・・そう。授業始めていいかしら?」
「うん」
ママの授業が始まった。
俺は、社会に出られるように、ママから人付き合いの授業を受けている。
受けておいて損はない。
「じゃ、私の授業は今日で終わりよ」
「え」
「明日、一旦外出てみたら? あの子たちは優しいわよ」
「・・・」
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「大丈夫。私もついてるから」
ママはそう言って、部屋から出て行った。
頭を掻きむしった。腹が痛かった。喉が、嫌悪感で埋められていく感覚がした。
まだ出ていないのに、息苦しかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
翌朝、ママはマジで俺を外に引っ張り出した。
いくら説得しても、聞く耳を持たなかった。
朝の食堂。数億年ぶりかのような感覚だった。
ママの向かい側に、俺は座らされた。
皆の奇異の視線が痛かった。
「は、はじめまして。
俺は◯◯。よろしく」
「・・・」
静寂が怖かった。
「実はな・・・、俺は、二階の真ん中の部屋に封印されてた幽霊なんだ!」
ジョーク。俺だったら一ミリも笑えない。
「はははっはは!」
爆笑が巻き起こった。安堵した。
ママは微笑んで、俺を見守っていた。
目立たず、目立たなすぎず。
難しいと思っていたことは、思ったより簡単だった。
――孤児院では。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
その夕方、ママは素っ頓狂なことを言い出した。
「明日、学校に行きましょう!」
ママはいくら説得しても、聞く耳を持たなかった!
「大丈夫! 今日も上手く振る舞えたんだから!」
孤児院に入る前、学校でイジメに遭っていた記憶が全身を駆け巡った。
「嫌だ! それだけは!」
「チャレンジしないと何も始まらないわ! さあ、準備しなさい!」
喉が、首が、ギリギリと何かに締められてゆく気がした。
リュックを背負い、仕方なく学校に向かった。
足が、鉄球がいくつもつけられたかのように、重かった。
でも、ママは容赦なく俺を引きずって、学校に連れて行った。
「◯◯さんですね。こちらへ」
大丈夫。前の学校とは違うんだ。
大丈夫。俺は良く振る舞える。
クラスのドアをガラリと開いた。
目が合った。
アイツが居た。
俺をイジメた主犯格の、俺のトラウマ。
「お前、◯◯か? 久しぶりだな!」
嫌悪感。今すぐにでも逃げ出したかった。
だが、恐怖で足が[漢字]竦[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]んで、動かなかった。
「お前、またイジメられに来てくれたんだなあ? マジで感謝するぜ!
サンドバッグがほしかったところだからな!」
アイツはまた、ヒエラルキーの頂点に君臨していた。
アイツは、ここらへんの領主の息子だったから。
教師も、年長者も、アイツにへらへらして、媚びへつらっていた。
社会と隔離された、独自のルールやカースト、ヒエラルキーが存在する閉鎖的学校。
まるで宗教的社会だ。
それから数日、俺は永遠とイジメられるだけだった。
思い出したくもない。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「学校、楽しかった?」
「うん」
ママにイジメを伝えれば、こんな小さな孤児院はアイツによっていとも容易く破壊されてしまう。
だから、伝えられない。
ママは、キッチンに立って、夕飯の支度をしていた。
包丁が、視界に入った。
包丁。ナイフ。
アイツらを殺せば。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
翌朝。俺はリュックに盗んだ包丁を入れて、登校した。
いつもより、足取りは軽かった。
「よお、◯◯。またアレやるから、サンドバッグ係してくれよ」
「・・・ああ」
教室に入れば、アイツが腕を肩に回して、俺に囁きかけて来た。
隙ありだ。
俺はすぐさま包丁をリュックから取り出し、アイツを殺害した。
俺をイジメた奴らも皆殺しにした。
もちろん、アイツに媚びへつらってた教師も。
でも、いくら復讐をしても、気持ちは晴れなかった。
恨んでいた奴らを全員殺し、ぼんやりしていると・・・。
「はじめての殺しなのにね、◯◯、君センスあるよ」
ママの声がした。
「帰ろうか、◯◯」
抗える気がしなかったから、俺は素直に従った。
孤児院に戻ると、血で染められていた。
「あれ、ママ? 皆は?」
「食べちゃった。でも、あんまり美味しくなかった」
ああ、なるほど。
「一番美味しく育てたのは君なんだよ、◯◯。やっぱり、ちょっぴり苦い方が美味しいんだよね」
「ああ、だから。俺を。なるほど」
ママは、俺に、ビターチョコのデコレーションを施したんだ。
- 1.1000年生きてる / いよわ
- 2.くろうばあないと / いよわ
- 3.ビターチョコデコレーション / syudou
- 4.Overdose / なとり
- 5.あの夏が飽和する。 / カンザキイオリ
- 6.モニタリング / DECO*27
- 7.化けの花 / なきそ
- 8.混沌ブギ / jon-YAKITORY
- 9.グッバイ宣言 / Chinozo
- 10.DAYBREAK FRONTLINE / Orangestar
- 11.アスノヨゾラ哨戒班 / Orangestar
- 12.電機 / 原口沙輔
- 13.共依存 / ちいたな
- 14.今はいいんだよ。 / MIMI
- 15.Be My Guest / Azari
- 16.ウルフィズム / ふぁるすてぃ
- 17.ギラギラ / Ado
- 18.アンヘル / かいりきベア
- 19.堕落ちゃん / ¿?
- 20.あいしていたのに / MARETU
- 21.IMAWANOKIWA / いよわ
- 22.Shadow Shadow / Azari
- 23.雨乙女 / Raon
- 24.ゆびきりレイン / カラフルピーチ