君が愛したあの空を見上げて
俺は、ただ夜空を見上げていた。
君が愛した、新月の夜空を見上げてため息をつく。
どうして、こうなってしまったのだろうか?
俺は幸せだった。
普通の高校生で、結構頭の良い進学校に通って、可愛くて優しい彼女もいて、厳しくも優しい両親と素直じゃなくて不器用な妹もいた。
俺と彼女は星が好きだった。
出会いはプラネタリウム。
一人で向かった会場の隣にいたのが彼女だった。
青みがかかった黒髪に、ぱっちりとした大きい目。
少し低めの身長で、ふんわり系の青いワンピースを着ていた。
まるで、天使のようだと思った。
話しかけたのは俺だった。
「星が好きなんですか?」
返ってきたのは、
「はい。とても」
だけだった。
そのまま何もなく、プラネタリウムの上映が始まる。
照明がゆっくりと落ちていき、今夜のここらへんの空の予想が映し出された。
「今日は新月です。きっと今日はいつも以上に綺麗な星空が見えるはずです」
というナレーションの解説を聞きながら、
「へえ、いつものとどう違うんだろう」
と呟く。
『きっと星がたくさん見えるのでしょうね』
と、彼女が返してくれた。
驚いた。まさか独り言に反応してくれるなんて本当に思わなかった。
そんなプラネタリウムの上映が終わったあと。
「俺がいつも星を見ている場所、ここの近くなんです。よかったら、行きませんか。」
と誘った。
『はい!行きましょう!いつもとどう違うのか、楽しみですね!』
と笑ってくれた。
そして、向かったいつもの丘の上。
とても綺麗な星空が浮かんでいた。
月がない分星がよく見えるのだろう。
『綺麗ですね……』
「星が綺麗ですね」
『そうですね…………え!?』
伝わったようだった。
星が綺麗ですね、は〈あなたは私のことをどう思っているのでしょうか?〉や〈手に届かないもどかしい想い〉が込められている一文。簡単に言うと、月が綺麗ですね、の違うバージョン。
「^ ^ニコ」
『!//』
かわいいと思いながらも、自分は意味が伝わったことにドキドキしてしまう。
『………私も好きですよ』
「!//」
不意打ち。やられた。恥じらいながらも、してやったりという彼女の顔にドキッとする。
「……不意打ちがお上手ですね」
『(^-^)フフ』
ふわっと笑った彼女は、星よりも綺麗で、月よりも輝かしかった。
そうして、俺たちは恋人となった。
いろいろな場所へ行って、笑った。
『えへへ』
そう言って笑う彼女は、誰よりも可愛らしく、愛しかった。
彼女のお気に入りのビルの屋上で星を見たり、遊園地や海、映画館や買い物へ行ったり。
大切で綺麗で、空に浮かぶ星一つ一つのように輝いている優しい思い出。
だが、その幸せは唐突に終わりを迎える。
彼女が、自殺をしたのだ。
彼女はいじめられていて、ついに限界を迎えたのだろう。
落ちていくのを、俺は上から見ていたのだ。
俺が殺したんじゃないかって?そんなはずがあるわけ無い。
また、彼女とビルの屋上で星を眺めていた。
『楽しかった。また、ね』
ぽろぽろと涙を流しながら告げた彼女の言葉が頭をぐるぐると巡り、3周くらいしたとき、やっと理解できた。
しかし、もう遅かった。
「おい!待てよ………」
置いていかれたのだ。
落ちていった彼女を見て、驚く。
彼女は笑っていたのだ。
『まだ、こっち来ちゃ、ダメだからね』
口がそう動いたように見えた後、俺の意識は暗転した。
時間は経ち、季節が一周した。
悲しさは消えず、心に穴が空いたような焦燥感にかられる。
俺は、ただ星空を見上げていた。
君が愛した新月の星空を見上げて。
風が俺の背中を支え、まだこっちに来るんじゃない!というように押し返してくる。
ああ、悪いな。俺には無理だ。
最後に、君に手紙を書こうか。
まあ、いない君に書いても意味がないかもしれないが_____________
君が愛した、新月の夜空を見上げてため息をつく。
どうして、こうなってしまったのだろうか?
俺は幸せだった。
普通の高校生で、結構頭の良い進学校に通って、可愛くて優しい彼女もいて、厳しくも優しい両親と素直じゃなくて不器用な妹もいた。
俺と彼女は星が好きだった。
出会いはプラネタリウム。
一人で向かった会場の隣にいたのが彼女だった。
青みがかかった黒髪に、ぱっちりとした大きい目。
少し低めの身長で、ふんわり系の青いワンピースを着ていた。
まるで、天使のようだと思った。
話しかけたのは俺だった。
「星が好きなんですか?」
返ってきたのは、
「はい。とても」
だけだった。
そのまま何もなく、プラネタリウムの上映が始まる。
照明がゆっくりと落ちていき、今夜のここらへんの空の予想が映し出された。
「今日は新月です。きっと今日はいつも以上に綺麗な星空が見えるはずです」
というナレーションの解説を聞きながら、
「へえ、いつものとどう違うんだろう」
と呟く。
『きっと星がたくさん見えるのでしょうね』
と、彼女が返してくれた。
驚いた。まさか独り言に反応してくれるなんて本当に思わなかった。
そんなプラネタリウムの上映が終わったあと。
「俺がいつも星を見ている場所、ここの近くなんです。よかったら、行きませんか。」
と誘った。
『はい!行きましょう!いつもとどう違うのか、楽しみですね!』
と笑ってくれた。
そして、向かったいつもの丘の上。
とても綺麗な星空が浮かんでいた。
月がない分星がよく見えるのだろう。
『綺麗ですね……』
「星が綺麗ですね」
『そうですね…………え!?』
伝わったようだった。
星が綺麗ですね、は〈あなたは私のことをどう思っているのでしょうか?〉や〈手に届かないもどかしい想い〉が込められている一文。簡単に言うと、月が綺麗ですね、の違うバージョン。
「^ ^ニコ」
『!//』
かわいいと思いながらも、自分は意味が伝わったことにドキドキしてしまう。
『………私も好きですよ』
「!//」
不意打ち。やられた。恥じらいながらも、してやったりという彼女の顔にドキッとする。
「……不意打ちがお上手ですね」
『(^-^)フフ』
ふわっと笑った彼女は、星よりも綺麗で、月よりも輝かしかった。
そうして、俺たちは恋人となった。
いろいろな場所へ行って、笑った。
『えへへ』
そう言って笑う彼女は、誰よりも可愛らしく、愛しかった。
彼女のお気に入りのビルの屋上で星を見たり、遊園地や海、映画館や買い物へ行ったり。
大切で綺麗で、空に浮かぶ星一つ一つのように輝いている優しい思い出。
だが、その幸せは唐突に終わりを迎える。
彼女が、自殺をしたのだ。
彼女はいじめられていて、ついに限界を迎えたのだろう。
落ちていくのを、俺は上から見ていたのだ。
俺が殺したんじゃないかって?そんなはずがあるわけ無い。
また、彼女とビルの屋上で星を眺めていた。
『楽しかった。また、ね』
ぽろぽろと涙を流しながら告げた彼女の言葉が頭をぐるぐると巡り、3周くらいしたとき、やっと理解できた。
しかし、もう遅かった。
「おい!待てよ………」
置いていかれたのだ。
落ちていった彼女を見て、驚く。
彼女は笑っていたのだ。
『まだ、こっち来ちゃ、ダメだからね』
口がそう動いたように見えた後、俺の意識は暗転した。
時間は経ち、季節が一周した。
悲しさは消えず、心に穴が空いたような焦燥感にかられる。
俺は、ただ星空を見上げていた。
君が愛した新月の星空を見上げて。
風が俺の背中を支え、まだこっちに来るんじゃない!というように押し返してくる。
ああ、悪いな。俺には無理だ。
最後に、君に手紙を書こうか。
まあ、いない君に書いても意味がないかもしれないが_____________
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