「正直言って、狂ってるよ。あんた」
今宵は余りにも静かすぎる。雲に隠れる今宵の月は、俺の隣に腰掛ける此奴の言葉の音以外は忘れてしまったみたいだ。
此奴とは今宵偶然すれ違っただけの奴。初対面の人間に対して、お互いに警戒しているのに妙な仲間意識も芽生えたのは今宵が初めてだ。
「普通の人間じゃねぇなって。俺もかも知らんけど」
鋭い月が吐いたような冷たい風が、此奴の言葉を俺に運ぶ。そうだ。俺達が、普通の人間であってたまるものか。俺に至っては、人間の仮面を被った白狼。人間界に蔓延る妖魔の血を求める牙を潜めているような「人間」は、普通の人間であってはならないのだ。
深い灰色の鈍間な分厚い雲が、夜空を通り過ぎて時は静かに過ぎていく。傍らに生える木から追い出されるようにして零れ落ちた木の葉が宙を舞う微かな音。
[明朝体][斜体]シャン……!!
[/斜体][/明朝体]
何かを斬ることへの躊躇を失った刃が空気を引き裂いた。木の葉の葉脈が切断される極僅かな感覚の名残が、刀の柄を握り締める俺の右手の平に感じられた。
「お見事ぉ」
そう言ってわざとらしくパチパチと其奴は手を叩く。葉の香りがまだ残っている刀を俺は納めた。
俺が正真正銘の獣になってしまう前から、俺は自分である理由を探し求めてきたが徒労に終わった。間に合わなかった。長く生きすぎた。人を愛するには人は短命で、本当の俺を思い出すには俺は手遅れだ。
「夜が明けるから別れの時かな」
まるで其奴が雲を操ったみたいに、黒い雲の向こうから光を宿した紫色の空が顔を出した。足音も立てずに其奴は立ち上がると、スススッと叢に溶け込むようにして姿を消した。明日は休日だから寝坊をしようと囁く睡魔の隣で、俺は其奴の姿を目で追った。
結局、お互いの名前すら知らないまま終わったな。
そう思った矢先、俺は其奴の姿を見失った。煙のように、風と共に其奴が消えていく寸前、叢の中で紫色と緑色の小さな光が真っ直ぐ俺を見ていた気がした。
[水平線]
「あ」
俺がとある組織に入った数ヶ月後、またまた偶然にもとある男とすれ違った。見覚えのある紫と緑。間もなく、オッドアイの男は俺が其奴と呼んでいた者と同一人物なのだと悟った。
「あ」
其奴も俺を見て、ポカンと口を開けた。初めて明るい所で見た其奴の顔は、存外少年らしかった。
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