[明朝体]
「月だ」
珍しく幼かった頃を思い返して、俺は月明かりに手を伸ばして追い掛けた。淡いその光に夢中だった。フワフワとした雲の上みたいな地面を進めど進めど、俺が求めた光は星屑と共に遥か先にあった。
「あ……夢?」
気付けば、僕の視界には食べかけの焦げた食パンと埃の浮かんだ牛乳。
「あ……え……?」
寝起きで頭が上手く働かない。
俺って……何だっけ。
目の前の朝食が冷めていく。俺は取り敢えず、硬くなった食パンに手を伸ばして、黒焦げになった耳を齧った。乾いた味がした。
[水平線]
昨日、道を歩いていた俺の隣に誰かがいた。彼は俺の事を守るような歩き方をしていた。何かを俺に話しかけている。
「俺の話?」
そう言うと彼は寂しそうに小さく笑って、「かもな」と呟いた。
[小文字]「あいつ、人間じゃないらしいよ」[/小文字]
どこからともなく、男とも女とも分からない声が聞こえた。あぁ、そう言えばそうでしたね。俺の隣にいた彼は、どこかを睨んだ。
「何か聴こえた?」
そして俺は無知なふりをした。
[水平線]
そうだった、そうだった。昨日は、そんなことがあったんでした。
俺は食べ終わった朝食の皿を洗い終わって、ボンヤリとシンクの前に立っていた。水が滴る音がする。
何のメロディーにもなっていない鼻歌を唄いながら、僕は寝室に戻った。積み重ねてきた記憶を蛸に奪われて、再び重ねて漸く塵の山くらいになった記憶のアルバムを見返した時、誰かの温もりを感じた。
「あれ……誰だっけ…」
窓の外は、まだ薄暗い朝ぼらけ。夜更かしをした蛍が一匹、網戸に張り付いていた。
[水平線]
あの一瞬以来、俺たちの日常は変わってしまった。あの八足の怪物を前に、俺は何の役にも立てない。あいつの目が虚空を見つめるような無機質なものになっていくのを、黙って見ることしか出来ない。俺は自分が嫌いになった。そしていつしか俺の目も光を手放していた。
誰も見たことのない世界に、秘密基地を作りたいと願う。
睨むことしか出来なかった昨日の俺の姿がフラッシュバックしてしまうまでは。
俺はお前の、記憶の欠片にすらなれないと何度も悟って、俺は俺の影の行方を探す。お前は何もかも忘れたまま、新しい記憶を作りに果てしない命を生きていく。
神よ仏よ化け物よ
俺から夢を奪ってほしい
少年時代に「いつか見よう」と約束した花火に、俺は別れを告げた。
お前に取り憑いた怪物の住処には、月明かりがゆらゆら揺れていた。不安定に揺れて時折闇が走る光の中に、嘗て心に描いた花火を重ねる。
お前の顔の右半分が割れたのは、向日葵が咲き蝉が鳴く寸前の春。時が止まったままの記憶を、いつかお前に渡そうと今も持ち運ぶ俺をお前は笑うだろうか。
東と対を成す闇の始まりにいても、心臓の音はする。それならば、果てしない旅を続けよう。
正体のしれない何かを閉じ込めたパンドラの箱を握り締めるお前の手は、まだ温かいから。
[/明朝体]
「月だ」
珍しく幼かった頃を思い返して、俺は月明かりに手を伸ばして追い掛けた。淡いその光に夢中だった。フワフワとした雲の上みたいな地面を進めど進めど、俺が求めた光は星屑と共に遥か先にあった。
「あ……夢?」
気付けば、僕の視界には食べかけの焦げた食パンと埃の浮かんだ牛乳。
「あ……え……?」
寝起きで頭が上手く働かない。
俺って……何だっけ。
目の前の朝食が冷めていく。俺は取り敢えず、硬くなった食パンに手を伸ばして、黒焦げになった耳を齧った。乾いた味がした。
[水平線]
昨日、道を歩いていた俺の隣に誰かがいた。彼は俺の事を守るような歩き方をしていた。何かを俺に話しかけている。
「俺の話?」
そう言うと彼は寂しそうに小さく笑って、「かもな」と呟いた。
[小文字]「あいつ、人間じゃないらしいよ」[/小文字]
どこからともなく、男とも女とも分からない声が聞こえた。あぁ、そう言えばそうでしたね。俺の隣にいた彼は、どこかを睨んだ。
「何か聴こえた?」
そして俺は無知なふりをした。
[水平線]
そうだった、そうだった。昨日は、そんなことがあったんでした。
俺は食べ終わった朝食の皿を洗い終わって、ボンヤリとシンクの前に立っていた。水が滴る音がする。
何のメロディーにもなっていない鼻歌を唄いながら、僕は寝室に戻った。積み重ねてきた記憶を蛸に奪われて、再び重ねて漸く塵の山くらいになった記憶のアルバムを見返した時、誰かの温もりを感じた。
「あれ……誰だっけ…」
窓の外は、まだ薄暗い朝ぼらけ。夜更かしをした蛍が一匹、網戸に張り付いていた。
[水平線]
あの一瞬以来、俺たちの日常は変わってしまった。あの八足の怪物を前に、俺は何の役にも立てない。あいつの目が虚空を見つめるような無機質なものになっていくのを、黙って見ることしか出来ない。俺は自分が嫌いになった。そしていつしか俺の目も光を手放していた。
誰も見たことのない世界に、秘密基地を作りたいと願う。
睨むことしか出来なかった昨日の俺の姿がフラッシュバックしてしまうまでは。
俺はお前の、記憶の欠片にすらなれないと何度も悟って、俺は俺の影の行方を探す。お前は何もかも忘れたまま、新しい記憶を作りに果てしない命を生きていく。
神よ仏よ化け物よ
俺から夢を奪ってほしい
少年時代に「いつか見よう」と約束した花火に、俺は別れを告げた。
お前に取り憑いた怪物の住処には、月明かりがゆらゆら揺れていた。不安定に揺れて時折闇が走る光の中に、嘗て心に描いた花火を重ねる。
お前の顔の右半分が割れたのは、向日葵が咲き蝉が鳴く寸前の春。時が止まったままの記憶を、いつかお前に渡そうと今も持ち運ぶ俺をお前は笑うだろうか。
東と対を成す闇の始まりにいても、心臓の音はする。それならば、果てしない旅を続けよう。
正体のしれない何かを閉じ込めたパンドラの箱を握り締めるお前の手は、まだ温かいから。
[/明朝体]
- 1.シビルアイ 星導ショウ/にじさんじ
- 2.【リクエスト作品】 ビターチョコデコレーション syudou feat.初音ミク
- 3.【リクエスト作品】1000年生きてる いよわ ⚠nmnm(星導ショウ)
- 4.⚠暴力⚠ 命に嫌われている カンザキイオリ ⚠nmnm(セラフ・ダズルガーデン)
- 5.【リクエスト】絶対敵対メチャキライヤー メドミア ⚠nmnm(小柳ロウ、赤城ウェン)
- 6.【リクエスト】MECHA-MECHA MECHATU-A ⚠nmnm(MECHATU-A全員)
- 7.⚠ハァ?⚠ 熱異常 いよわ ⚠nmnm(佐伯イッテツ、宇佐美リト)
- 8.夜明けと蛍 ⚠nmnm(星導ショウ×小柳ロウ)
- 9.怪物 YOASOBI ⚠nmnm(渡会雲雀)
- 10.天ノ弱 164 ⚠nmnm(風楽奏斗×セラフ・ダズルガーデン)
- 11.MANIAC Straykids ⚠nmnm(VOLTACTION)
- 12.スピカ ロクデナシ ⚠nmnm(榊ネス、魁星)
- 13.【リクエスト】Dec. Kanaria ⚠nmnm(星導ショウ)
- 14.⚠ハァ?⚠【リクエスト】DNA Azari ⚠nmnm(星導ショウ)
- 15.逆夢 King Gnu ⚠nmnm(Oriens)
- 16.セレナーデ なとり ⚠nmnm(セラフ・ダズルガーデン×星導ショウ)
- 17.【卒業式ソング定番】旅立ちの日に
- 18.ヴィラン てにおは (伊波ライ)
- 19.まにまに r-906 (小柳ロウ×叢雲カゲツ)
- 20.【リクエスト作品】地球の裏 いよわ (佐伯イッテツ)
- 21.私が明日死ぬなら キタニタツヤ (登場するのは読者さんの推し)
- 22.紅蓮華 LiSA (小柳ロウ)
通報フォーム
この小説の著作権は花火さんに帰属します