「ご来店ありがとうございます〜」
毎度のごとく画面の向こうは賑やかになる。目で追えないくらいのスピードで似通った文言がコメント欄に現れては消えていく。
皆の見えない視線を感じる。称賛の言葉で誤魔化されてはいるけれど、これは、今に始まったことじゃない。
地球が生まれた日を知っている俺にとって、度重なる「今」という瞬間は、すべて誤差。
「スパチャありがとうございます〜」
皆が俺を見ている。汚れてしまわないように、大事に大事に透明な檻に閉じ込められて飾られる俺を。
[水平線]
あの日、俺は夢を見た。紫色の太い蛸の触手が俺の身体に巻き付いていた。沢山の吸盤が貼り付く感覚に俺は目を覚ました。
そこには、俺の知らない世界が広がっていた。
「目が…」
俺は片方の目が全く見えないことに気が付いて、慌てて身体を起こした。髪の毛がいつもよりも重い。そう思った時には既に、夢の中で見たのと同じ触手が俺の頭皮に根を張って蠢いていることに気が付いた。
「嘘だ!助けてくれ」
俺ではない誰かが、そう叫んだ。
友達…?
俺の知らない概念を唱える彼は、全てを無かったことにしようと足掻いていた。
俺は、彼との過去を捨てたのだろうか。それとも、捨てさせられたのか。ありもしない記憶。考えるのが面倒になって、全てがどうでもよく見える。
そんなある日、俺は鏡の前に立った。「前」があったらしい俺の姿はもう忘れた。俺はあの日見た蛸を、呼び戻した。目を瞑り、心の中で何度も呪文のように唱えて。
目を開けると、案の定、髪の毛は触手に姿を変えてしまった。人間であるという意識はあるからこそ困惑して、俺は理由もなく片目に手を伸ばした。その時、俺は彼の叫び声を思い出した。そして、俺の右目があるはずの場所には、ポッカリと穴が空いてその向こうには宇宙が広がっていた。
[水平線]
「あーちょっと俺、記憶喪失なんで。よく分かんないです〜」
俺がなぜ生まれてきたのかを教えてくれる人の名残は、何処にもない。俺は、宇宙のすべてを知りたかった。神たる何かが宇宙を創った時に紡いだ詩を聴きたくて、そんな俺を見初めた何かはこの世界に俺を堕とした。
スポットライトが全身に当たる中、常に仮面を被って自分の本当の姿は闇に葬り去る。俺にとって何ら価値はない「一瞬」は幾重にも積み重なって、俺の寿命と同じくらいの永遠となる。そんな皮肉な海に溺れる俺に、あの蛸が語った。
「ずっと前からそうだったろう?やっと、気付いたのか、と」
「異端者」から「英雄」になる方法も、「サイコパス」になる方法も「臆病者」になる方法も忘れてしまったらしい。栄枯盛衰の狭間を彷徨う人間社会の成れ果てには、匿名という武器を振りかざして、自他の命を弄ぶ。数多の命を紡いできた過去の苦しみは、もはや何の意味も持っていないみたいだね。
「ちょっと面白いことがあって——」
「記憶喪失」という便利なカード。俺の過去を、偽物にも本物にもしないもの。
「草」「ワロタ」「マジで草」「www」
俺は、色とりどりの大きな箱の中で生きている。過去の欠片を綺麗に片付けてから、「人間味溢れる星導ショウ」を演じている。貴方たちは皆、実体のない俺に人生を空費している。それを知っても尚、貴方たちは俺を愛してくれるのかな。
「きっと愛してくれる」って、信じてみたいんだ。
[水平線]
[水平線]
お前はこのままずっと、浅はかな誇りに拘るのか?
お前の友人は、まだ俺を憎んでいるかい?
さぁ、余興は始まったばかり。良いから私を楽しませてみなさい。お前が生きようがどうでも良いが、お前が生きるなら、愛を信じる気持ちに多少は浸っていられるだろうからね。
[水平線]
[水平線]
毎度のごとく画面の向こうは賑やかになる。目で追えないくらいのスピードで似通った文言がコメント欄に現れては消えていく。
皆の見えない視線を感じる。称賛の言葉で誤魔化されてはいるけれど、これは、今に始まったことじゃない。
地球が生まれた日を知っている俺にとって、度重なる「今」という瞬間は、すべて誤差。
「スパチャありがとうございます〜」
皆が俺を見ている。汚れてしまわないように、大事に大事に透明な檻に閉じ込められて飾られる俺を。
[水平線]
あの日、俺は夢を見た。紫色の太い蛸の触手が俺の身体に巻き付いていた。沢山の吸盤が貼り付く感覚に俺は目を覚ました。
そこには、俺の知らない世界が広がっていた。
「目が…」
俺は片方の目が全く見えないことに気が付いて、慌てて身体を起こした。髪の毛がいつもよりも重い。そう思った時には既に、夢の中で見たのと同じ触手が俺の頭皮に根を張って蠢いていることに気が付いた。
「嘘だ!助けてくれ」
俺ではない誰かが、そう叫んだ。
友達…?
俺の知らない概念を唱える彼は、全てを無かったことにしようと足掻いていた。
俺は、彼との過去を捨てたのだろうか。それとも、捨てさせられたのか。ありもしない記憶。考えるのが面倒になって、全てがどうでもよく見える。
そんなある日、俺は鏡の前に立った。「前」があったらしい俺の姿はもう忘れた。俺はあの日見た蛸を、呼び戻した。目を瞑り、心の中で何度も呪文のように唱えて。
目を開けると、案の定、髪の毛は触手に姿を変えてしまった。人間であるという意識はあるからこそ困惑して、俺は理由もなく片目に手を伸ばした。その時、俺は彼の叫び声を思い出した。そして、俺の右目があるはずの場所には、ポッカリと穴が空いてその向こうには宇宙が広がっていた。
[水平線]
「あーちょっと俺、記憶喪失なんで。よく分かんないです〜」
俺がなぜ生まれてきたのかを教えてくれる人の名残は、何処にもない。俺は、宇宙のすべてを知りたかった。神たる何かが宇宙を創った時に紡いだ詩を聴きたくて、そんな俺を見初めた何かはこの世界に俺を堕とした。
スポットライトが全身に当たる中、常に仮面を被って自分の本当の姿は闇に葬り去る。俺にとって何ら価値はない「一瞬」は幾重にも積み重なって、俺の寿命と同じくらいの永遠となる。そんな皮肉な海に溺れる俺に、あの蛸が語った。
「ずっと前からそうだったろう?やっと、気付いたのか、と」
「異端者」から「英雄」になる方法も、「サイコパス」になる方法も「臆病者」になる方法も忘れてしまったらしい。栄枯盛衰の狭間を彷徨う人間社会の成れ果てには、匿名という武器を振りかざして、自他の命を弄ぶ。数多の命を紡いできた過去の苦しみは、もはや何の意味も持っていないみたいだね。
「ちょっと面白いことがあって——」
「記憶喪失」という便利なカード。俺の過去を、偽物にも本物にもしないもの。
「草」「ワロタ」「マジで草」「www」
俺は、色とりどりの大きな箱の中で生きている。過去の欠片を綺麗に片付けてから、「人間味溢れる星導ショウ」を演じている。貴方たちは皆、実体のない俺に人生を空費している。それを知っても尚、貴方たちは俺を愛してくれるのかな。
「きっと愛してくれる」って、信じてみたいんだ。
[水平線]
[水平線]
お前はこのままずっと、浅はかな誇りに拘るのか?
お前の友人は、まだ俺を憎んでいるかい?
さぁ、余興は始まったばかり。良いから私を楽しませてみなさい。お前が生きようがどうでも良いが、お前が生きるなら、愛を信じる気持ちに多少は浸っていられるだろうからね。
[水平線]
[水平線]
- 1.シビルアイ 星導ショウ/にじさんじ
- 2.【リクエスト作品】 ビターチョコデコレーション syudou feat.初音ミク
- 3.【リクエスト作品】1000年生きてる いよわ ⚠nmnm(星導ショウ)
- 4.⚠暴力⚠ 命に嫌われている カンザキイオリ ⚠nmnm(セラフ・ダズルガーデン)
- 5.【リクエスト】絶対敵対メチャキライヤー メドミア ⚠nmnm(小柳ロウ、赤城ウェン)
- 6.【リクエスト】MECHA-MECHA MECHATU-A ⚠nmnm(MECHATU-A全員)
- 7.⚠ハァ?⚠ 熱異常 いよわ ⚠nmnm(佐伯イッテツ、宇佐美リト)
- 8.夜明けと蛍 ⚠nmnm(星導ショウ×小柳ロウ)
- 9.怪物 YOASOBI ⚠nmnm(渡会雲雀)
- 10.天ノ弱 164 ⚠nmnm(風楽奏斗×セラフ・ダズルガーデン)
- 11.MANIAC Straykids ⚠nmnm(VOLTACTION)
- 12.スピカ ロクデナシ ⚠nmnm(榊ネス、魁星)
- 13.【リクエスト】Dec. Kanaria ⚠nmnm(星導ショウ)
- 14.⚠ハァ?⚠【リクエスト】DNA Azari ⚠nmnm(星導ショウ)
- 15.逆夢 King Gnu ⚠nmnm(Oriens)
- 16.セレナーデ なとり ⚠nmnm(セラフ・ダズルガーデン×星導ショウ)
- 17.【卒業式ソング定番】旅立ちの日に
- 18.ヴィラン てにおは (伊波ライ)
- 19.まにまに r-906 (小柳ロウ×叢雲カゲツ)
- 20.【リクエスト作品】地球の裏 いよわ (佐伯イッテツ)
- 21.私が明日死ぬなら キタニタツヤ (登場するのは読者さんの推し)
- 22.紅蓮華 LiSA (小柳ロウ)
通報フォーム
この小説の著作権は花火さんに帰属します