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曲パロ、気楽にやってこ〜

#1

JANE DOE 米津玄師/宇多田ヒカル

いつからだっただろうか。僕には、貴方と自分の姿しか見えなくなった。甘ったるい世界に酔っていただけだとは知らずに。遥か無限に広がる宇宙の果てまでも、僕らは2人だけだと思い込んでた。

夜の窓ガラスに僕の顔が反射している。無機質で冷たい空気が僕の足先から徐々に全身を包んでいく。僕の虚ろな瞳には、月が一際まぶしく光って見えた。

ふと思い立って僕は家を出た。僕が進む先は、月明かりで出来た道。閑静な住宅街の路傍にこぢんまりと咲く、名前も知らない赤い花に目が留まる。貴方との思い出が、蘇る。だけど、それは時が経てば経つほどに色褪せていくもの。

明日、僕は成人を迎える。貴方とは、別の世界に行かなきゃいけない。既に時は来た。僕が貴方の元を去る瞬間が。

この世界は、破片だらけ。壊された自然。壊された幸せ。壊された本当の自分。誰もが皆、壊れたまま機械みたいに社会を動かしていく。硝子みたいに脆い真実の欠片が至る所に散った道の上を、僕は歩き出す。その鋭利な破片が、僕の足の裏に突き刺さる。逃げることも出来ず、誇りと使命感の裏に諦めと不安感を隠して、歩いていく。

「痛いよ」

そうやって口に出すことは許されない。僕の身体は平気なふりをして、赤い涙を流していく。

貴方は嘗て、教えてくれた。僕は光り輝いているって。だけど、怨恨や愛憎で錆びた世界にいちゃあ、僕はくたばってしまいそうだ。貴方の過去を誰よりも知っている僕は、誰にも知られちゃいけない何かを僕も抱えて、闇の中を光を求めて彷徨う。光の向こうには貴方が見える。僕は貴方を求めているんだ。貴方の居場所を問いかければ胸のうちから返事は返ってくる。僕の人生の歩みだって、貴方は他の誰よりも知ってくれている。

どうして大人たちは皆、嘘という名の真実の仮面を被って生きるのだろう。外してしまえばいいのに。僕のそんな独り言に、貴方は何も言葉を発さない。

鋭い痛みが身体に走るとともに、僕は虚空を仰いで願った。

会いに来てよ———。

作者メッセージ

敢えて恋愛とは違う方向性で描いてみました。

僕=間もなく成人を迎える
貴方=子供時代の僕

僕は大人になるために、子供時代の記憶に縋ってはいられないと奮い立つものの、心はなかなか大人になりきれない様子を描いてみました。また、心の何処かで自分はまだ子供でいたいと願う僕の気持ちも表現してみました。

この歌が恋愛ソングであることは重々承知しておりますが、こんな解釈をする人もいるんだなと寛大な心でお読み頂ければ幸いです。

2026/02/05 21:44

花火
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