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「馬鹿みたい、と笑えよ」



誰もいない教室の、一番後ろの席みたいな夜だ。


おやすみ。


この一言で、世界との通信をぶち切れるから、夜は好きだ。



日中、あんなに「個性が大事」だと言っていた先生も、SNSで「ありのままの君を愛して」と呟く名前も知らない誰かも、夜になればみんな同じように、泥みたいな眠りに落ちて、ただの肉の塊になる。


皮肉だよね。

目立とうと必死だった僕らも、暗闇の中じゃ等しく透明だ。



世界は愛で溢れているらしい。


でも、その愛とやらは、賞味期限付きのコンビニ弁当みたいに、都合が悪くなればすぐにゴミ箱に捨てられる。


「君のため」なんて言葉の裏には、「僕を嫌いにならないで」っていう自分勝手な欲求が張り付いている。


みんな、自分を愛してほしくて、誰かを愛したフリをしているだけ。



だけど、この深くて、底なし沼みたいな暗闇だけは、嘘をつかない。


僕がどれだけ惨めで、性格が悪くて、独りよがりでも、ただ黙って、冷たく抱きしめてくれる。


この静寂だけが、僕に与えられた唯一の本物の愛だと思うんだ。




さあ、スマホの光を消して。


綺麗な言葉も、汚い本音も、全部この闇に溶かしてしまおう。


明日になれば、また「いい子」の仮面を被らなきゃいけないから。







…それじゃ、また。


何者でもない、ただの僕に戻る時間だ。



作者メッセージ

必死に『何者か』であろうとした一日の終わりに、せめてもの花向けを。

2026/02/07 21:54

人間
ID:≫ .17gmtoznyuzg
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