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復 讐 のお時間

#4

3

「あ、あの、どこに行くんですか……?」
金重が震えた声で言う。
「黙れ」
兄が怒った口調で言った。
「は、はい……」

ガラガラガラと古い引き戸の音がする。
「あ……」
金重は言葉が出ない状態だった。
扉を開いた瞬間、暖かい空気と共に中華の油っこい匂いが漂ったのだ。
それと同時に、金重の腹が「ぐぅー」っと大きな音で鳴った。
「あっ」
金重は顔を赤くしてどうにか隠そうとしたが、兄にはバレバレだ。
「いつもの二つ」兄が大きな声で言う。
「あいよ」
店主の威勢のいい声がする。
常連さんなのだろうか。
「あい、お待ち」
テーブルに出されたのは出来立てのラーメンだった。
一口食べる。
「うま……!」
それは声が漏れるほどのおいしさで、今まで食べてきたラーメンで一番美味しかった。
「だろ?」
この人、意外と優しいな、と金重は思った。
俺のために菜奈恵さんを残してラーメン屋に……
そう思った時、急に眠くなった。
バタンッ。
金重は眠ってしまった。
「効いた」
「じゃあ下に連れていくぞ」
そう、店主も協力していたのだ。

「ん……」
目を覚ますと金重は椅子に座っていて、体を丈夫な紐で縛られていた。
「ん……!」
ガムテープが口に貼られ、喋れない状態だった。
「黙れ」
お前の仕業か? という目で金重は兄を見た。
「お前、亜悠をいじめただろ」
「ん! ん!」
していませんと答えようとしたが、 ガムテープを口に貼られているので喋れなかった。
「はぁ。」
兄がため息を吐く。そして、ガムテープをべりっと勢いよく剥がす。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
金重は聞いた事のない声を出していた。
「黙れ。上には客がいるんだぞ」
店主は少し声を抑えて言った。


「上手くいってるようだね」

「さあ! 次は……じゃんけんだ!」
「まず、二人組を作り、じゃんけんをする。負けた人と勝った人とじゃんけんをする。最後に負けた人と勝った人でじゃんけんをする。ただそれだけ」

「それじゃあいくよ」
「よーい、すたーぁと!」

「うわ」「やべぇ」「どうしよう」そんな声が聞こえてくる。
「待って、私、勝った」
そう言ったのは五番、小曽根亜由加だった。
「さすが亜由加!」
「すっごー!」
そう皆は祝福しているが、どうかな……?
「ビリは?」
「お、俺」
六番、柿谷泰晴は静かに答えた。
きっと、怖いのだろう。
だけど、周りの男子は「いけー!」「お前ならいけるー!」と騒いでいる。
「じゃあ、勝った人がご褒美ね!」

「最初はグー……」
ぽいっ!
柿谷はグー、小曽根はパーだった。
「おめでとうございまーす!」

「ご、ご褒美っていうのは?」
「あーまだ!あと一人いないとダメ。」
「じゃあ、また同じルールでじゃんけんね!」

「最初はグー……」
ぽいっ!

「あ……か、負けちゃった……ど、どうしよう……」
そう怯えるのは、私の現・親友である、出席番号十六番、高藤歌だ。
私がいじめられている時も、陰で支えてくれた。
「あ、大丈夫! ヤバいことはしないから」
「か、勝った……」
少し嬉しそうにして言ったのは出席番号十八番、丹羽宗祐だ。
「じゃあ二人でじゃんけんして!」
そう元気な声で私は言ったが、全然元気ではなかった。
もし、歌が勝てしまえば、私が考えたご褒美が当たってしまう……私は不安に思った。

2025/04/03 07:07

貴志柚夏
ID:≫ 14ODATaJ5tCFM
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PG-12 #暴力表現暴力復讐いじめ

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