同じ空を見ていた。
#1
プロローグ
──夢を見た。
町から少し離れた城跡。
辺りは暗くなったが、いつもと違う賑やかさがある。
体がきつく感じ視線を下に向けると、私は浴衣を身につけ、下駄を履いていた。
きっと、今日は祭りなのだろう。
更に、隣に人の気配を感じて視線を横に向けると、そこには茶髪の男性が腕を組みながら空を見つめていた。
顔は見えなかったが、私はあの人に似ていると思った。
彼は私の……
──夢を見た。
開けた場所。
ほんの少し遠くにある小さな商店街が目立つような灯りを放っている。
俺は浴衣を着ていた。今日は祭りか。
隣には黒髪の女性が頬を赤らめながら立っている。
顔は横髪で隠れて見えなかったが、俺はあの人に似ていると思った。
彼女は俺の……
“推しだ”
目が覚めたのは午前八時。
最近はあまりよく眠れていないが、今日はよく眠れたと感じる。
普段は夜中や早朝に目が覚めるが、今日は全く起きなかった。
夏休みに入り、気持ちが上がっているのが要因だったのだろうか。
──夏祭りまであと五日か。
去年までは友達と一緒に行ったが、今年は誰とも約束をしていない。
中学時代は友達は結構いる方だった。
それぞれ違う高校に通うことになり、結果、私は友達がいないまま入学を迎えてしまったのだ。
クラスは中学の頃よりも民度が低く、気が合いそうな人が見つからず、ひとりぼっちとなってしまった。
──中学生に戻りたいよ。
何度も思った。
SNSを見ると友達が写真を投稿していた。
高校の友達とのツーショットや、彼氏とのデー卜写真を投稿していた。
「いいなぁ」
祭りも誘いたい。だが、私と違って予定が沢山入っているだろう。
空気を読まずに『祭り一緒に行こ』と送っても迷惑になるに違いない。
私と彼女たちは違う世界にいる。
きっと私がこんな人生を送っていると知ったら笑われるだろう。
──そういえばあの夢は何だったのだろうか。
推しと[漢字]喜赤[/漢字][ふりがな]きせき[/ふりがな]城跡の開けた場所に居た。
確かあそこは花火が綺麗に見れる独り占めできる場所だったはず。
私は夢に出てきた城跡へ向かった。
「やっぱりここだ……」
「ここに私が立ってて、ここに[漢字]和也[/漢字][ふりがな]かずや[/ふりがな]くんがいて……」
想像しただけでニヤニヤしてしまう。
──[漢字]畑下[/漢字][ふりがな]はたした[/ふりがな] 和也。
彼は人気アニメ『星屑のクローバー』の主人公。
内容は簡単に略すと、写真部所属の畑下 和也は、数年に一度、特定の条件下でしか現れない星群『星屑のクローバー』を写真に収めてほしい、と言葉を交わしたこともない同じクラスで天文部の[漢字]橋崎 陽平[/漢字][ふりがな]はしざき ようへい[/ふりがな]に頼まれる話だ。
このアニメのおかげで私は星に興味を持ち始め、天文部に入部しようと思ったが、地元には天文部がある高校が全く無く、私は写真部に入部した。
「確か……あそこだっけ? あっちだっけ? うーん。そこかな? そこから打ち上げられるんだよね……」
夢の中では打ち上げられるだろう所に目を向けていた。
夢は大体不自然だ。
さっきまで家にいたのにすぐに遠い海岸にいたり。自分だけが大きくかったり、小さかったり。知らない場所にいたり。存在する場所にあるはずない物があったり。
でも、あの夢は違う。
ちゃんと存在意義る場所。打ち上げ場所が同じ。城跡から見える景色が同じ。
本当にリアルだ。こんな夢は見たことも無かったのに。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
俺はいつも通り目が覚めた。
今日は何もない日。
部活もだいぶ落ち着き、のんびりと夏休みを過ごすことができるようになった。
何も変わりない普通の夏休み。──あの夢を見る前はそう思っていた。
あの人は俺の推しであるドラマ『今日も、いつもの場所で』の[漢字]掛札 利砂[/漢字][ふりがな]かけふだ りさ[/ふりがな]役の[漢字]内浦[/漢字][ふりがな]うちうら[/ふりがな] さやかだ。そのドラマはマイナーで知っている人が少ない。何年も好きだか、まだファンには会ったことがない。
このドラマは恋愛でもなくミステリーでもなくごく普通の学校生活を舞台とした物語。
俺は小学三年生の時に知り、高校生になった今でも毎週観ている。
段々と俺は、内浦さやかが好きになり、彼女が出演するドラマやテレビ番組を欠かさず観ている。
──でも、何故あんな夢を?
今まで推しが出る夢なんて見たことがない。
「見れますように」
寝る前にそう祈りながら眠るが効果はナシ。
一体なぜだろう。そしてあの開けた場所はどこなのか。いや、本当に存在するのか。
謎に包まれる夢だった。
──もしかしたら予知夢なのかもしれない。
そう思いながら、ベッドから降りた。
町から少し離れた城跡。
辺りは暗くなったが、いつもと違う賑やかさがある。
体がきつく感じ視線を下に向けると、私は浴衣を身につけ、下駄を履いていた。
きっと、今日は祭りなのだろう。
更に、隣に人の気配を感じて視線を横に向けると、そこには茶髪の男性が腕を組みながら空を見つめていた。
顔は見えなかったが、私はあの人に似ていると思った。
彼は私の……
──夢を見た。
開けた場所。
ほんの少し遠くにある小さな商店街が目立つような灯りを放っている。
俺は浴衣を着ていた。今日は祭りか。
隣には黒髪の女性が頬を赤らめながら立っている。
顔は横髪で隠れて見えなかったが、俺はあの人に似ていると思った。
彼女は俺の……
“推しだ”
目が覚めたのは午前八時。
最近はあまりよく眠れていないが、今日はよく眠れたと感じる。
普段は夜中や早朝に目が覚めるが、今日は全く起きなかった。
夏休みに入り、気持ちが上がっているのが要因だったのだろうか。
──夏祭りまであと五日か。
去年までは友達と一緒に行ったが、今年は誰とも約束をしていない。
中学時代は友達は結構いる方だった。
それぞれ違う高校に通うことになり、結果、私は友達がいないまま入学を迎えてしまったのだ。
クラスは中学の頃よりも民度が低く、気が合いそうな人が見つからず、ひとりぼっちとなってしまった。
──中学生に戻りたいよ。
何度も思った。
SNSを見ると友達が写真を投稿していた。
高校の友達とのツーショットや、彼氏とのデー卜写真を投稿していた。
「いいなぁ」
祭りも誘いたい。だが、私と違って予定が沢山入っているだろう。
空気を読まずに『祭り一緒に行こ』と送っても迷惑になるに違いない。
私と彼女たちは違う世界にいる。
きっと私がこんな人生を送っていると知ったら笑われるだろう。
──そういえばあの夢は何だったのだろうか。
推しと[漢字]喜赤[/漢字][ふりがな]きせき[/ふりがな]城跡の開けた場所に居た。
確かあそこは花火が綺麗に見れる独り占めできる場所だったはず。
私は夢に出てきた城跡へ向かった。
「やっぱりここだ……」
「ここに私が立ってて、ここに[漢字]和也[/漢字][ふりがな]かずや[/ふりがな]くんがいて……」
想像しただけでニヤニヤしてしまう。
──[漢字]畑下[/漢字][ふりがな]はたした[/ふりがな] 和也。
彼は人気アニメ『星屑のクローバー』の主人公。
内容は簡単に略すと、写真部所属の畑下 和也は、数年に一度、特定の条件下でしか現れない星群『星屑のクローバー』を写真に収めてほしい、と言葉を交わしたこともない同じクラスで天文部の[漢字]橋崎 陽平[/漢字][ふりがな]はしざき ようへい[/ふりがな]に頼まれる話だ。
このアニメのおかげで私は星に興味を持ち始め、天文部に入部しようと思ったが、地元には天文部がある高校が全く無く、私は写真部に入部した。
「確か……あそこだっけ? あっちだっけ? うーん。そこかな? そこから打ち上げられるんだよね……」
夢の中では打ち上げられるだろう所に目を向けていた。
夢は大体不自然だ。
さっきまで家にいたのにすぐに遠い海岸にいたり。自分だけが大きくかったり、小さかったり。知らない場所にいたり。存在する場所にあるはずない物があったり。
でも、あの夢は違う。
ちゃんと存在意義る場所。打ち上げ場所が同じ。城跡から見える景色が同じ。
本当にリアルだ。こんな夢は見たことも無かったのに。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
俺はいつも通り目が覚めた。
今日は何もない日。
部活もだいぶ落ち着き、のんびりと夏休みを過ごすことができるようになった。
何も変わりない普通の夏休み。──あの夢を見る前はそう思っていた。
あの人は俺の推しであるドラマ『今日も、いつもの場所で』の[漢字]掛札 利砂[/漢字][ふりがな]かけふだ りさ[/ふりがな]役の[漢字]内浦[/漢字][ふりがな]うちうら[/ふりがな] さやかだ。そのドラマはマイナーで知っている人が少ない。何年も好きだか、まだファンには会ったことがない。
このドラマは恋愛でもなくミステリーでもなくごく普通の学校生活を舞台とした物語。
俺は小学三年生の時に知り、高校生になった今でも毎週観ている。
段々と俺は、内浦さやかが好きになり、彼女が出演するドラマやテレビ番組を欠かさず観ている。
──でも、何故あんな夢を?
今まで推しが出る夢なんて見たことがない。
「見れますように」
寝る前にそう祈りながら眠るが効果はナシ。
一体なぜだろう。そしてあの開けた場所はどこなのか。いや、本当に存在するのか。
謎に包まれる夢だった。
──もしかしたら予知夢なのかもしれない。
そう思いながら、ベッドから降りた。