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春の匂いが、まだ少し肌寒い教室の空気を柔らかくしていた。
[漢字]春野 愛[/漢字][ふりがな]はるの まな[/ふりがな]は、いつものように窓側の席から外を眺めながら、ホームルームの開始を待っていた。今日から新学期だ。
わくわくと不安が混ざった感情でよく分からない。
──でも、今日はひとつだけ、ちょっと特別なことがある。
「ねえ、今日、転校生来るんだって!」
「男子? 女子?」
愛は反射的に言った。
「男子らしいよー。しかも、なんか都会から来たって!」
──転校生かー。どんな人かな?
愛は、わくわくした気持ちを隠しきれず、心の中で勝手に人物像を妄想していた。背が高くて、クールで、学校一の人気者で、優しくて──なんて想像をしていたところに、先生が教室に入ってきた。
「はい、席ついてー! 今日は転校生を紹介します」
「[漢字]河盛 直樹[/漢字][ふりがな]かわもり なおき[/ふりがな]くんです。東京の中学校から来ました」
思ったより背が高くなかった。細身で制服も少し大きく、髪は黒くて短めで下を向いていて、顔がよく見えない。
「……河盛です。よろしくお願いします」
先生が、空いている席を示す。
「じゃあ、春野さんの隣、空いてるから河盛くん、そこに座って」
「……はい」
愛は思わず姿勢を正した。隣⁉︎
緊張と期待が混ざった気持ちでとても複雑だった。
彼が椅子を引いて、静かに座る。横顔だけが見えた。
──え、思ってたより全然静か。めっちゃ無口じゃん。
そんな彼に、愛は思いきって話しかけることにした。
隣の席になったなら、やっぱり最初が肝心!
いつもの調子で、自然体でいけばいい──!
「ねえねえ、河盛くんってさ、趣味とかあるのー?」
一瞬、彼の目がこちらを向いた。
「え、何で俺に話しかけるんだよ」という目をしていた。だけど、遠くを見ていて、どこか嬉しげな目にも見えた。
「……ない」
即答だった。
「……えっ、ないのか……そっか……」
会話、終了。
──え、ちょっと待って⁉︎ どういうこと⁉︎
戸惑う愛をよそに、河盛 直樹は黙って前を向いたままだった。
──なんか、気になるかも
そのとき愛は、心の奥が小さくざわめくのを感じた。初めて見るタイプ。だけど、決して嫌な感じじゃない。
むしろ──
「……仲良くなりたいかも⁉︎」
昼休み、私は勇気を出して言った。
「直樹くん。人見知り? それとも話しかけてほしくないタイプ?」
突然の質問に直樹は少し戸惑ったように固まる。
「……人見知り」
「そうかー、じゃあ私がいじってもいいってことね!」
「……いじる?」
「そう! つまり、仲良くなるための私の必殺技だよ!」
クラスメイトの前で愛は大声で宣言した。
「……へぇ」
直樹は小さくつぶやく。
「じゃあ早速! 放課後、すぐに帰らないでね!」
約束通り放課後、直樹は教室に残っていた。
「ねぇ直樹くん、その無口な顔、まるで猫みたいだよね」
「は?」
「ほらほら、にゃーって言ってみてよ」
「言わない」
「つまんないー。でもその反応、かわいいね!」
直樹は無言だった。
[漢字]春野 愛[/漢字][ふりがな]はるの まな[/ふりがな]は、いつものように窓側の席から外を眺めながら、ホームルームの開始を待っていた。今日から新学期だ。
わくわくと不安が混ざった感情でよく分からない。
──でも、今日はひとつだけ、ちょっと特別なことがある。
「ねえ、今日、転校生来るんだって!」
「男子? 女子?」
愛は反射的に言った。
「男子らしいよー。しかも、なんか都会から来たって!」
──転校生かー。どんな人かな?
愛は、わくわくした気持ちを隠しきれず、心の中で勝手に人物像を妄想していた。背が高くて、クールで、学校一の人気者で、優しくて──なんて想像をしていたところに、先生が教室に入ってきた。
「はい、席ついてー! 今日は転校生を紹介します」
「[漢字]河盛 直樹[/漢字][ふりがな]かわもり なおき[/ふりがな]くんです。東京の中学校から来ました」
思ったより背が高くなかった。細身で制服も少し大きく、髪は黒くて短めで下を向いていて、顔がよく見えない。
「……河盛です。よろしくお願いします」
先生が、空いている席を示す。
「じゃあ、春野さんの隣、空いてるから河盛くん、そこに座って」
「……はい」
愛は思わず姿勢を正した。隣⁉︎
緊張と期待が混ざった気持ちでとても複雑だった。
彼が椅子を引いて、静かに座る。横顔だけが見えた。
──え、思ってたより全然静か。めっちゃ無口じゃん。
そんな彼に、愛は思いきって話しかけることにした。
隣の席になったなら、やっぱり最初が肝心!
いつもの調子で、自然体でいけばいい──!
「ねえねえ、河盛くんってさ、趣味とかあるのー?」
一瞬、彼の目がこちらを向いた。
「え、何で俺に話しかけるんだよ」という目をしていた。だけど、遠くを見ていて、どこか嬉しげな目にも見えた。
「……ない」
即答だった。
「……えっ、ないのか……そっか……」
会話、終了。
──え、ちょっと待って⁉︎ どういうこと⁉︎
戸惑う愛をよそに、河盛 直樹は黙って前を向いたままだった。
──なんか、気になるかも
そのとき愛は、心の奥が小さくざわめくのを感じた。初めて見るタイプ。だけど、決して嫌な感じじゃない。
むしろ──
「……仲良くなりたいかも⁉︎」
昼休み、私は勇気を出して言った。
「直樹くん。人見知り? それとも話しかけてほしくないタイプ?」
突然の質問に直樹は少し戸惑ったように固まる。
「……人見知り」
「そうかー、じゃあ私がいじってもいいってことね!」
「……いじる?」
「そう! つまり、仲良くなるための私の必殺技だよ!」
クラスメイトの前で愛は大声で宣言した。
「……へぇ」
直樹は小さくつぶやく。
「じゃあ早速! 放課後、すぐに帰らないでね!」
約束通り放課後、直樹は教室に残っていた。
「ねぇ直樹くん、その無口な顔、まるで猫みたいだよね」
「は?」
「ほらほら、にゃーって言ってみてよ」
「言わない」
「つまんないー。でもその反応、かわいいね!」
直樹は無言だった。