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夢の中で逢いましょう

#4

四話

 次の日、私は普通に起きた。
リビングに行き、「おはようございます」と挨拶をした。
「おはよう。……そうだ。るりちゃん。今日、碧と学校に行くんだよ」と思い出したかのようにひとみさんが言った。
「ええ⁉︎ 今日⁉︎」
昨日言って、今日行けるのか、という驚きでいっぱいだ。
「昨日、手続きしたら明日から行ける、って言われてね」
私はとても嬉しかった。碧くんと学校に行けるなんて、夢のようだ。

「いってきます」と私と碧くん、二人で声を合わせて外に出た。
 色々がリアルだ。自分の声や気持ち、生活音など色々が。

 学校の校門が見えてきた。『[漢字]聖桜[/漢字][ふりがな]せいおう[/ふりがな]学園』という文字が刻まれている校門が。
「ここだよ」
五月なのに桜が咲いている。しかも満開だ。桜の木が左右にあるのでトンネルのようだった。私は思わず「わぁー」と声を上げた。

「八神るりです。……えっと、よろしく」と普通の自己紹介をした。
私は碧くんのクラスである、三年D組に所属することになった。
「八神は水無月の隣へ」
先生が私の席を教えてくれた。
「よろしく」と私は碧くんに言った。だけど碧くんは何も言わずに頷いただけだった。
……なんか、家と態度が違うな。
そう私は思った。家では積極的に話す。だけど、学校では無口だ。
すると、「碧ー。おはよー」と一人の男子──[漢字]朝比奈 陽翔[/漢字][ふりがな]あさひな はると[/ふりがな]くんが碧くんの席に駆けつけた。
「おはよ」と碧くんは軽く挨拶をし、机の中に閉まっている一冊の本を取り出し、それを読んだ。
 彼は碧くんの親友だ。
私は彼を見つめた。やっぱり、『青空の中で君と』の世界に居るんだ、と実感した。
彼は私に気付き、「あ、転校生の八神るりさんだー! 俺、朝比奈陽翔っていうんだー! よろしく!」と言った。
「よろしく!」
私は嬉しく思った。

 休み時間、陽翔くんと二人きりになった。
「なぁ、碧の事って知ってるか?」
そう、急に言われたので驚いていた。多分、彼にも伝わっているだろう。
「そんなに知らないけど」
私が碧くんの家に居るということは誰も知らない筈だ。
「碧が言ってくれたんだよ。一緒に暮らしてるって。だけど、アイツはさ……そーいう……無口だからさ、あまり言わないんだけど……」
私は「へぇ」としか言えなかった。いや、どう返せばいいのか分からなかった。
「アイツ、元々さ、無口じゃなかったんだよ」
その言葉を聞いて私ははっとした。アニメではそんな事なんて分からない。
中学校生活からスタートしているので小学生の頃なんて、全くアニメや漫画、小説に描かれていない。
「え? 何で……?」
私は気になり、訊いてみた。陽翔くんは目を丸くした。
それを見て、私はすぐに恥ずかしくなった。訊いてはいけない事を訊いて。
「八神さんなら言っていいか」と彼は呟やき、「アイツ、小学生の頃、振られたんだ」
振られたって、まさか、あのフラれた……? 私は疑問に思い、考えていたことをそのまま言った。彼は小さく「うん」と頷いた。
 すると、チャイムが鳴った。
「詳しいことは碧に訊いて。多分、八神さんなら口を開くと思うから」と言い、教室に戻っていった。
私は訊きたかったが、どうやって訊けばいいのか分からなかった。
 帰り、私は碧くんと帰ることになった。碧くんが「一緒に帰ろう」と言ってきたので、一緒に帰ることにしたんだ。
少し驚いたが、嬉しかった。
「あの……。場翔くんから聞いたんだけど……」
なんて言えばいいのだろう。どう訊けば気まずく、嫌な気持ちにならないのだろう。
不安が駆ける。だけど、碧くんは微笑み、「ああ。あの事か。いつか八神に話すつもりだったんだけど……。先にあいつか……」と言った。
私は安心し、「な、何で無口になったの?」と聞きたかったことを訊いた。
碧くんは目を丸くし、それから無表情に戻り、こう言った。
「ある日、夢に出てきた。一人の女の子が。夢だったんだけどリアルで。それで、その子と遊んだ。俺はその子の事が好きになった。明るくて、優しくて元気で、思いやりのあるその子に。そして告白した。だけど『この夢はずっと続かない』と言って消えてしまった。それから、その夢は見なくなった。」
その女の子は誰なんだろう、と気になった。
私は「その子の名前は……?」とおそるおそる訊いてみた。
だけど碧くんは「秘密」としか言わなかった。

 次の日、まだ目を覚ますことは無く、夢の中にいた。
「あの女の子は誰だったんだろう」
私は昨日、碧くんが言っていた女の子が気になって仕方が無かった。
少し不思議感があって、嫉妬感があった。
 陽翔くんなら知っているかもしれないと思い、訊いてみた。
「なんか言ってたけど忘れたな……」
本当に誰なのだろう。その子がいれば、この世界について知れるかもしれない。
だけど、その子は本当にこと世界にいるのだろうか。もしかしたら架空の人物かもしれない。夢だからだ。だけど碧くんは、私と同じようなことを言っていた。
私も今、その状態なんだ。何かが繋がりそうだった。だが、私は段々とこの世界で起こった記憶が薄れていっている。
 私は教室に戻り、反射的に机の中を見た。中には知らない日記帳が入っていた。なんだろう? と中を見ると
『今日もまた彼と話した。彼は静かだけどちゃんと私を見てくれる人』
その下には
『「白い記憶」(紅茶)「ユメノキロク」「また君に会えるといい」「瑠璃色のハンカチ“YR”」「ノートの切れ端“この夢は続かない”」「女の子」』
と書いてあった。
「あ……。私が見つけてきた物が全部……」
だけど、書いた記憶はなく、見たことのない日記帳だった。私が使っている日記帳よりも古く、高そうな物だった。
周りに見られるのがなぜか嫌だったので、咄嗟に隠した。
 十分休み、私はトイレに行き、席に戻って座ろうとした。
「何これ?」
机の上に一枚の紙が置かれていた。コピー用紙の紙で、無地だった。
裏側に『5ガツサンジュウニ日アサヒナ陽トキエル』と書いてあった。
──誰が何のために? そして三十二日って?
すると、「どうしたのー?」と陽翔くんが来た。
「あ。……なんでもない」
もしかしたら単なる嫌がらせかもしれない、と思い、その紙を机の中にしまった。
陽翔くんは「え? 何それ?」と机の中にしまった紙を不思議そうに見た。
「えっと……」
言い訳が思いつかない。
陽翔くんは勝手に机の中を見てら私がしまった紙を取り出した。
「これか……」と陽翔くんは誰にともなく呟き、「そうなんだよ」と俯いて言った。
「え……?」
それって、陽翔くんがこの世界から消えるってことなの……?
私はそう思った。陽翔くんは私の心を読んだかのように「そう。五月三十二日──六月一日に」と一言言って自分の席に戻った。
「なんで……。なんで、あの人が消えないといけないの……!」
すると、ポイっと丸めた紙が私の机に落ちた。
広げてみると『昼休み屋上へ 陽翔』と書かれていた。
私は彼の方を見た。目が合い、陽翔くんがグッドサインを笑顔で出すが、私にはどこか悲しげに見えた。

作者メッセージ

あと二日で学校終わりますよ。
九月になったらすぐに修学旅行。
その次の週は体育祭。
こぇぇ。
本当に中三なんだな、って思います。
勉強の夏ですね。
ーーーーーーーー
誕生日、一応決めてみたけどものすごく時間がかかりました。
ーーオタ恋ーー
結月 10月23日 天秤座 A型  慎二 3月21日 牡羊座 B型
遥 7月20日 蟹座 O型 由依 9月9日 乙女座 AB型
明 1月17日 山羊座 AB型 淳司 12月5日 射手座 A型
光 8月8日 獅子座 O型 莉音 5月25日 双子座 O型
りえ 4月23日 牡牛座 B型
ーー入れサイーー
あい 10月14日 天秤座 A型 令 8月3日 獅子座 B型

どうですかね?
ーーーーーーーー
プレビューで毎回確認しているのですが、千文字だと少ない気がして二千文字くらいにしようと思います。この話は約二千文字です。

2025/07/16 22:13

貴志柚夏
ID:≫ 14ODATaJ5tCFM
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