着替え中、鏡に映った自分を見て「ヤバい。めっちゃ似合わない……」と私は焦っていた。
だけど、隣にいた遥ちゃんと由依ちゃんがすかさず言う。
「え、めっちゃかわいい!」
「それなぁ!」
驚いて顔を向けると、遥ちゃんが私の耳元で「慎二くんが喜びそうだよ」小声で囁いた。
「そうかな?」と照れながら言うと、自然とえへへと笑ってしまった。
「やっぱり遥ちゃんと由依ちゃん、めっちゃ似合ってる!」
本音だった。二人の方が断然かわいい。
「そう? ありがとう!」と由依ちゃんと遥ちゃんがにっこり笑う。
その時、不自然なタイミングで莉音が話に入ってきた。
「どうかな? 私、似合ってる?」
莉音はちょっと自己中心的で、どこかナルシストなところがある。私は正直、苦手だ。
絶対、『結月ちゃんに勝てる自信ある!』って思ってるんだろうな、とつい思ってしまう。
「似合ってるよ」「そうだね」と遥ちゃんと由依ちゃんが答える。演技が上手いな、と感じる。
「ありがとう! で、結月ちゃんは?」
「うん。似合ってる」と私も笑顔で答えたが、「なんか嘘っぽくない? 私、傷ついた」と言ってきた。
……え?
私は思わず固まってしまった。
「さっき、結月ちゃんはそんな言い方してなかったよ。莉音ちゃんの考えすぎじゃない?」と遥ちゃんがすぐフォローしてくれたが、莉音は顔をしかめて言い返す。
「いや、結月ちゃんの言い方が悪いだけでしょ? 私は何も悪くない!」
(出た、自分は正しいアピール……)
すると、普段は優しい由依ちゃんが、めずらしく厳しい口調になった。
「……あのさ、莉音ちゃんは何がしたいの?」
初めて見た。由依ちゃんが怒っている姿。
莉音はしばらく黙っていた。でも次の瞬間、目を伏せてつぶやいた。
「私、結月ちゃんに嫉妬してただけなの!」と。
「嫉妬って何に?」と遥ちゃんが静かに尋ねると、莉音は一呼吸置いて言った。
「彼氏だよ。私、慎二くんが好きだったの……。でも結月ちゃんに奪われて、憎かったの……」
「え、それだけ……?」
遥ちゃんが静かに、だけどはっきり言った。
「慎二くんは、そんなふうに人の悪口を言ったり、周りに当たったりする人、好きじゃないと思う」
その言葉はまっすぐ莉音の胸に刺さった気がした。
「……分かったよ。もうしない」
莉音は肩を落として言った。少しだけ、本心に見えた。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
一方、男子更衣室。
「めっちゃ似合ってるじゃん。なんか、可愛い……」と淳司が言った。
「可愛いか……?」と慎二がちょっと照れる。
「結月さん、絶対喜ぶって」と光が言うと、「ちょっ……」とますます照れながら視線をそらした。
「ってか明、クールすぎない?」と慎二が話題を変えようとすると、明は「そう?」と答えた。
ガチャリ、と女子更衣室のドアが開く音がした。
遥は男子更衣室のドアを「コンコンコン」とノックして、「着替え終わった?」と訊く。
「全員着替え終わった」と返ってきたので、「入るねー」と言ってドアを開けた。
その瞬間──
「えっ、慎二くん、かっこかわいい……!」
「スーツ姿の慎二くん、しかも猫耳。反則級に可愛い!」
推しのスーツ姿は見たことあるけど、猫耳は初めてだった。と結月は思った。
「そう? 結月も……可愛いよ」
慎二が少し照れたように言う。
その様子を見ていた莉音は、何も言わずに少し唇を噛んでいた。
だけど、隣にいた遥ちゃんと由依ちゃんがすかさず言う。
「え、めっちゃかわいい!」
「それなぁ!」
驚いて顔を向けると、遥ちゃんが私の耳元で「慎二くんが喜びそうだよ」小声で囁いた。
「そうかな?」と照れながら言うと、自然とえへへと笑ってしまった。
「やっぱり遥ちゃんと由依ちゃん、めっちゃ似合ってる!」
本音だった。二人の方が断然かわいい。
「そう? ありがとう!」と由依ちゃんと遥ちゃんがにっこり笑う。
その時、不自然なタイミングで莉音が話に入ってきた。
「どうかな? 私、似合ってる?」
莉音はちょっと自己中心的で、どこかナルシストなところがある。私は正直、苦手だ。
絶対、『結月ちゃんに勝てる自信ある!』って思ってるんだろうな、とつい思ってしまう。
「似合ってるよ」「そうだね」と遥ちゃんと由依ちゃんが答える。演技が上手いな、と感じる。
「ありがとう! で、結月ちゃんは?」
「うん。似合ってる」と私も笑顔で答えたが、「なんか嘘っぽくない? 私、傷ついた」と言ってきた。
……え?
私は思わず固まってしまった。
「さっき、結月ちゃんはそんな言い方してなかったよ。莉音ちゃんの考えすぎじゃない?」と遥ちゃんがすぐフォローしてくれたが、莉音は顔をしかめて言い返す。
「いや、結月ちゃんの言い方が悪いだけでしょ? 私は何も悪くない!」
(出た、自分は正しいアピール……)
すると、普段は優しい由依ちゃんが、めずらしく厳しい口調になった。
「……あのさ、莉音ちゃんは何がしたいの?」
初めて見た。由依ちゃんが怒っている姿。
莉音はしばらく黙っていた。でも次の瞬間、目を伏せてつぶやいた。
「私、結月ちゃんに嫉妬してただけなの!」と。
「嫉妬って何に?」と遥ちゃんが静かに尋ねると、莉音は一呼吸置いて言った。
「彼氏だよ。私、慎二くんが好きだったの……。でも結月ちゃんに奪われて、憎かったの……」
「え、それだけ……?」
遥ちゃんが静かに、だけどはっきり言った。
「慎二くんは、そんなふうに人の悪口を言ったり、周りに当たったりする人、好きじゃないと思う」
その言葉はまっすぐ莉音の胸に刺さった気がした。
「……分かったよ。もうしない」
莉音は肩を落として言った。少しだけ、本心に見えた。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
一方、男子更衣室。
「めっちゃ似合ってるじゃん。なんか、可愛い……」と淳司が言った。
「可愛いか……?」と慎二がちょっと照れる。
「結月さん、絶対喜ぶって」と光が言うと、「ちょっ……」とますます照れながら視線をそらした。
「ってか明、クールすぎない?」と慎二が話題を変えようとすると、明は「そう?」と答えた。
ガチャリ、と女子更衣室のドアが開く音がした。
遥は男子更衣室のドアを「コンコンコン」とノックして、「着替え終わった?」と訊く。
「全員着替え終わった」と返ってきたので、「入るねー」と言ってドアを開けた。
その瞬間──
「えっ、慎二くん、かっこかわいい……!」
「スーツ姿の慎二くん、しかも猫耳。反則級に可愛い!」
推しのスーツ姿は見たことあるけど、猫耳は初めてだった。と結月は思った。
「そう? 結月も……可愛いよ」
慎二が少し照れたように言う。
その様子を見ていた莉音は、何も言わずに少し唇を噛んでいた。
- 1.とまどい
- 2.なかよく
- 3.決断
- 4.本当に、ありがとう
- 5.もう一度、キミの居る世界へ──
- 6.無理しないでね、
- 7.嫌なこと、忘れよう
- 8.ちょっと、気まずいな
- 9.不安
- 10.キミの言葉で、元気でたよ
- 11.ごめんね
- 12.本当に?
- 13.こどもに、もどろうよ
- 14.悪い日? いい日?
- 15.楽しい旅行!
- 16.ふたりだけのひみつ、だよ?
- 17.たのしいね
- 18.奇遇だね、
- 19.なんだろう?
- 20.解決
- 21.ありがとう
- 22.新学期
- 23.たのしみ
- 24.めんどくさいな、
- 25.暴露
- 26.どきどき
- 27.体育祭
- 28.修学旅行
- 29.修学旅行②
- 30.もう、そんな時期か
- 31.え……?
- 32.奇跡
- 33.新しいともだち
- 34.なぜ?
- 35.めんどくさい。
- 36.そうだったんだね
- 37.わくわくっ!
- 38.うれしくて、はずかしくて
- 39.手とキミのくせ
- 40.思いがけない展開
- 41.衣装と、私
- 42.まほうの言葉
- 43.部活動
- 44.青春だね