[中央寄せ]*[/中央寄せ]
立ち直れない。胸の奥が、ずっと痛いまま。
もう、嫌だ。
そんなときだった。
「莉音ちゃん、大丈夫?」
優しい声が聞こえた。振り返ると、そこには結月ちゃんが立っていた。
……ああ、なんで、今あの子がここにいるの。
結月ちゃんは、本当に“いい子”だ。
私より頭が良くて、私よりピアノも上手くて、慎二くんにだって好かれてて。
まあ、運動だけは私の方が得意だけど……そんなの、何の意味もない。
今となっては、全部が劣って見える。
──あの子なんか、いなければよかったのに。
気づけば、私は怒鳴っていた。
「黙って!」
「あ……ごめん……」
結月ちゃんは戸惑った顔をしていた。
私は、その顔が嫌いだった。何も悪くないみたいなその目が、何も言い返さないその声が。
どうしてあんなに“完璧”なの?
どうして、私じゃダメなの?
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
最近、莉音ちゃんの様子がおかしい。
心ここにあらずというか、いつも何かを背負ってるみたいで──。
「莉音ちゃん、大丈夫?」と声をかけたときだった。
「黙って!」という強い声が返ってきた。
「あ……ごめん……」
私は思わず謝ってしまった。けど、その理由がわからない。
多分、慎二くんなら、何か知ってる気がした。
「莉音が告ってきて、俺は……結月がいるから断った。そしたら莉音が結月の悪口を言ってきて、俺が怒った。たぶんさっきのは、結月が羨ましかったんだと思う」
「そっか……謝った方がいいのかな」
「いや、結月は悪くない。謝ってまた莉音がキレたら、今度はもっと傷つくかもしれないだろ。気をつけろよ」
「うん……」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
昼休み。
「昼ご飯、ここで食べよう」
「うん」
慎二くんと一緒にお弁当を開いた、そのときだった。
なんだろう……誰かの視線を感じる。
「ねぇ、そこにいるの、誰?」
物陰から、ひょこっと顔を出したのは──莉音ちゃんだった。
「一緒に食べよう」
私がそう言うと、莉音ちゃんは首を横に振った。
「来なよ」
慎二くんも、優しく声をかけた。
莉音ちゃんは、しばらく俯いていたけど、やがて静かに私たちの方へ歩いてきた。
「ねぇ、結月ちゃん……私、たくさん悪口言ったのに……どうしてそんな奴と関わってくれるの……?」
私は静かに、でもまっすぐに言った。
「私、小学生の頃、いじめられてたの。毎日悪口を聞かされて、友達がいなくなった。信じてた二、三人にも裏切られて……だから、莉音ちゃんみたいに感情を出せる人と、友達になってみたかったんだ」
莉音ちゃんは、目を見開いて、唇を噛んだ。
「……ごめん……悪口言ったり、当たったりして……」
「大丈夫。私たち、友達でしょ?」
「友達……」
ぽつりと、莉音ちゃんはつぶやいた。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
──あんなにひどいことをしたのに、“友達”って言ってくれるなんて。
私は今まで、一体何をしてきたんだろう。
何もかもが手に入らないようで、全部持っているように見えるあの子。
でも本当は、誰よりも深い孤独と優しさを知っている人だった。
私は、少しずつ──本当の意味で、変わっていける気がした。
立ち直れない。胸の奥が、ずっと痛いまま。
もう、嫌だ。
そんなときだった。
「莉音ちゃん、大丈夫?」
優しい声が聞こえた。振り返ると、そこには結月ちゃんが立っていた。
……ああ、なんで、今あの子がここにいるの。
結月ちゃんは、本当に“いい子”だ。
私より頭が良くて、私よりピアノも上手くて、慎二くんにだって好かれてて。
まあ、運動だけは私の方が得意だけど……そんなの、何の意味もない。
今となっては、全部が劣って見える。
──あの子なんか、いなければよかったのに。
気づけば、私は怒鳴っていた。
「黙って!」
「あ……ごめん……」
結月ちゃんは戸惑った顔をしていた。
私は、その顔が嫌いだった。何も悪くないみたいなその目が、何も言い返さないその声が。
どうしてあんなに“完璧”なの?
どうして、私じゃダメなの?
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
最近、莉音ちゃんの様子がおかしい。
心ここにあらずというか、いつも何かを背負ってるみたいで──。
「莉音ちゃん、大丈夫?」と声をかけたときだった。
「黙って!」という強い声が返ってきた。
「あ……ごめん……」
私は思わず謝ってしまった。けど、その理由がわからない。
多分、慎二くんなら、何か知ってる気がした。
「莉音が告ってきて、俺は……結月がいるから断った。そしたら莉音が結月の悪口を言ってきて、俺が怒った。たぶんさっきのは、結月が羨ましかったんだと思う」
「そっか……謝った方がいいのかな」
「いや、結月は悪くない。謝ってまた莉音がキレたら、今度はもっと傷つくかもしれないだろ。気をつけろよ」
「うん……」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
昼休み。
「昼ご飯、ここで食べよう」
「うん」
慎二くんと一緒にお弁当を開いた、そのときだった。
なんだろう……誰かの視線を感じる。
「ねぇ、そこにいるの、誰?」
物陰から、ひょこっと顔を出したのは──莉音ちゃんだった。
「一緒に食べよう」
私がそう言うと、莉音ちゃんは首を横に振った。
「来なよ」
慎二くんも、優しく声をかけた。
莉音ちゃんは、しばらく俯いていたけど、やがて静かに私たちの方へ歩いてきた。
「ねぇ、結月ちゃん……私、たくさん悪口言ったのに……どうしてそんな奴と関わってくれるの……?」
私は静かに、でもまっすぐに言った。
「私、小学生の頃、いじめられてたの。毎日悪口を聞かされて、友達がいなくなった。信じてた二、三人にも裏切られて……だから、莉音ちゃんみたいに感情を出せる人と、友達になってみたかったんだ」
莉音ちゃんは、目を見開いて、唇を噛んだ。
「……ごめん……悪口言ったり、当たったりして……」
「大丈夫。私たち、友達でしょ?」
「友達……」
ぽつりと、莉音ちゃんはつぶやいた。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
──あんなにひどいことをしたのに、“友達”って言ってくれるなんて。
私は今まで、一体何をしてきたんだろう。
何もかもが手に入らないようで、全部持っているように見えるあの子。
でも本当は、誰よりも深い孤独と優しさを知っている人だった。
私は、少しずつ──本当の意味で、変わっていける気がした。
- 1.とまどい
- 2.なかよく
- 3.決断
- 4.本当に、ありがとう
- 5.もう一度、キミの居る世界へ──
- 6.無理しないでね、
- 7.嫌なこと、忘れよう
- 8.ちょっと、気まずいな
- 9.不安
- 10.キミの言葉で、元気でたよ
- 11.ごめんね
- 12.本当に?
- 13.こどもに、もどろうよ
- 14.悪い日? いい日?
- 15.楽しい旅行!
- 16.ふたりだけのひみつ、だよ?
- 17.たのしいね
- 18.奇遇だね、
- 19.なんだろう?
- 20.解決
- 21.ありがとう
- 22.新学期
- 23.たのしみ
- 24.めんどくさいな、
- 25.暴露
- 26.どきどき
- 27.体育祭
- 28.修学旅行
- 29.修学旅行②
- 30.もう、そんな時期か
- 31.え……?
- 32.奇跡
- 33.新しいともだち
- 34.なぜ?
- 35.めんどくさい。
- 36.そうだったんだね
- 37.わくわくっ!
- 38.うれしくて、はずかしくて
- 39.手とキミのくせ
- 40.思いがけない展開
- 41.衣装と、私
- 42.まほうの言葉
- 43.部活動
- 44.青春だね