「ん……んん」
目が覚めると、そこは見慣れた自分の部屋だった。
机には読みかけの本と、推しのグッズたち。
私は[漢字]三次元[/漢字][ふりがな]元の世界[/ふりがな]に戻っていた。
いじめと孤独に耐え続けた中学校生活は、ついに幕を下ろした。
そして、私は高校生になった。
アニメキャラクターに恋していることも、自分がオタクであることも、誰にも話さなかった。
明るくなろう。
そうすればきっと、今度こそ本当の友達ができると思ったから。
思った通りだった。
少しずつ、友達が増え、笑顔も増えていった。
放課後におしゃべりして、たまにカフェに寄って、勉強して……。家に帰るのが惜しくなるほど楽しかった。
だけど──そんな日々は、長くは続かなかった。
「結月……」
ある日、母が沈んだ声で私を呼んだ。
「何?」
「……転校することになるかもしれないの」
意外な言葉が出た。
……え?
その言葉が、胸に突き刺さる。
仲良くなったばかりなのに。ようやく“普通”の高校生活を手に入れたのに。
「ここからは……遠いの?」
母は無言でうなずいた。
「……必ず?」
「うん」
私はゆっくりと息を吐いて、口を開いた。
「分かった。転校するよ」
転校前日、クラスの友達が泣きながら私の手を握ってきた。
「結月ちゃんがいなくなるなんて……寂しいよぉ」
「私も……みんな、短い間だったけどありがとう!」
私も思わず泣いてしまった。
初めてできた、かけがえのない友達。別れがこんなに苦しいなんて、思いもしなかった。
転校当日。新しい制服に袖を通すと、気持ちが少し引き締まる。
「と、[漢字]塔原[/漢字][ふりがな]とうのはら[/ふりがな]高校から来ました、田中結月です。よろしくお願いします」
教室の空気が、一瞬止まったように感じた。
私はおそるおそる教室を見渡す。
──その瞬間、息が止まった。
なぜ、ここに慎二くんがいるの……? それに、あの五人も……!
休み時間、私は勇気を出して慎二くんに声をかけた。
「慎二くん、だよね……?」
彼がここにいるはずがない。
彼は、[漢字]二次元[/漢字][ふりがな]別の世界[/ふりがな]の人間なのだから。
だけど、返ってきた言葉は、「そうだけど?」だった。
もし、本当にそうだったら、私の事を絶対に覚えているはずだ。
「……私のこと、覚えてる?」
「覚えてるよ」
即答だった。
でも私は疑った。本当に“あの慎二くん”なのか。
試すように、もう一つ質問を投げかけた。
「じゃあ……私と慎二くんって、何をした?」
彼が少し笑って、答える。
「結月は三次元から来て……俺と、付き合った」
心臓が跳ねた。
「恥ずかしいけど……正解」
そのとき、背後から聞き覚えのある声がした。
「あ! 結月さんだ! なぜここに!?」
「光くん!」
次々と懐かしい顔が現れる。
「ってかどうやってここに来たの?」と訊くと、「まぁ、色々だよな? 淳司?」
「えっ、俺? ……うん、まぁ……」
「言ってよ!」
私がくすっと笑うと、慎二くんが照れたように言った。
「今の結月、かわいい」
その言葉に、私も思わず笑ってしまった。
「照れてる慎二くん、かっこよすぎ」
「また……一緒になれたね」
「本当によかった!」と由依ちゃんと遥ちゃんが駆け寄ってくる。
「うん。私も、そう思う」
「みんな揃ったし、騒ごーっっ!」
「迷惑だっ!」
淳司くんの、いつものツッコミ。
そう、この空気。この日常。
私は──こんな日々を、また三年間過ごせるんだ。
一日一日、大切にしよう。
もう、後悔なんてしたくないから。
目が覚めると、そこは見慣れた自分の部屋だった。
机には読みかけの本と、推しのグッズたち。
私は[漢字]三次元[/漢字][ふりがな]元の世界[/ふりがな]に戻っていた。
いじめと孤独に耐え続けた中学校生活は、ついに幕を下ろした。
そして、私は高校生になった。
アニメキャラクターに恋していることも、自分がオタクであることも、誰にも話さなかった。
明るくなろう。
そうすればきっと、今度こそ本当の友達ができると思ったから。
思った通りだった。
少しずつ、友達が増え、笑顔も増えていった。
放課後におしゃべりして、たまにカフェに寄って、勉強して……。家に帰るのが惜しくなるほど楽しかった。
だけど──そんな日々は、長くは続かなかった。
「結月……」
ある日、母が沈んだ声で私を呼んだ。
「何?」
「……転校することになるかもしれないの」
意外な言葉が出た。
……え?
その言葉が、胸に突き刺さる。
仲良くなったばかりなのに。ようやく“普通”の高校生活を手に入れたのに。
「ここからは……遠いの?」
母は無言でうなずいた。
「……必ず?」
「うん」
私はゆっくりと息を吐いて、口を開いた。
「分かった。転校するよ」
転校前日、クラスの友達が泣きながら私の手を握ってきた。
「結月ちゃんがいなくなるなんて……寂しいよぉ」
「私も……みんな、短い間だったけどありがとう!」
私も思わず泣いてしまった。
初めてできた、かけがえのない友達。別れがこんなに苦しいなんて、思いもしなかった。
転校当日。新しい制服に袖を通すと、気持ちが少し引き締まる。
「と、[漢字]塔原[/漢字][ふりがな]とうのはら[/ふりがな]高校から来ました、田中結月です。よろしくお願いします」
教室の空気が、一瞬止まったように感じた。
私はおそるおそる教室を見渡す。
──その瞬間、息が止まった。
なぜ、ここに慎二くんがいるの……? それに、あの五人も……!
休み時間、私は勇気を出して慎二くんに声をかけた。
「慎二くん、だよね……?」
彼がここにいるはずがない。
彼は、[漢字]二次元[/漢字][ふりがな]別の世界[/ふりがな]の人間なのだから。
だけど、返ってきた言葉は、「そうだけど?」だった。
もし、本当にそうだったら、私の事を絶対に覚えているはずだ。
「……私のこと、覚えてる?」
「覚えてるよ」
即答だった。
でも私は疑った。本当に“あの慎二くん”なのか。
試すように、もう一つ質問を投げかけた。
「じゃあ……私と慎二くんって、何をした?」
彼が少し笑って、答える。
「結月は三次元から来て……俺と、付き合った」
心臓が跳ねた。
「恥ずかしいけど……正解」
そのとき、背後から聞き覚えのある声がした。
「あ! 結月さんだ! なぜここに!?」
「光くん!」
次々と懐かしい顔が現れる。
「ってかどうやってここに来たの?」と訊くと、「まぁ、色々だよな? 淳司?」
「えっ、俺? ……うん、まぁ……」
「言ってよ!」
私がくすっと笑うと、慎二くんが照れたように言った。
「今の結月、かわいい」
その言葉に、私も思わず笑ってしまった。
「照れてる慎二くん、かっこよすぎ」
「また……一緒になれたね」
「本当によかった!」と由依ちゃんと遥ちゃんが駆け寄ってくる。
「うん。私も、そう思う」
「みんな揃ったし、騒ごーっっ!」
「迷惑だっ!」
淳司くんの、いつものツッコミ。
そう、この空気。この日常。
私は──こんな日々を、また三年間過ごせるんだ。
一日一日、大切にしよう。
もう、後悔なんてしたくないから。
- 1.とまどい
- 2.なかよく
- 3.決断
- 4.本当に、ありがとう
- 5.もう一度、キミの居る世界へ──
- 6.無理しないでね、
- 7.嫌なこと、忘れよう
- 8.ちょっと、気まずいな
- 9.不安
- 10.キミの言葉で、元気でたよ
- 11.ごめんね
- 12.本当に?
- 13.こどもに、もどろうよ
- 14.悪い日? いい日?
- 15.楽しい旅行!
- 16.ふたりだけのひみつ、だよ?
- 17.たのしいね
- 18.奇遇だね、
- 19.なんだろう?
- 20.解決
- 21.ありがとう
- 22.新学期
- 23.たのしみ
- 24.めんどくさいな、
- 25.暴露
- 26.どきどき
- 27.体育祭
- 28.修学旅行
- 29.修学旅行②
- 30.もう、そんな時期か
- 31.え……?
- 32.奇跡
- 33.新しいともだち
- 34.なぜ?
- 35.めんどくさい。
- 36.そうだったんだね
- 37.わくわくっ!
- 38.うれしくて、はずかしくて
- 39.手とキミのくせ
- 40.思いがけない展開
- 41.衣装と、私
- 42.まほうの言葉
- 43.部活動
- 44.青春だね