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オタクは今日も恋をする

#4

本当に、ありがとう

私はあと一週間でこの世界を去る。慎二くんと過ごせる、最後の時間。
二人で色々な場所に行った。この世界を満喫した。本当に楽しい一週間だった。
 そして、私は今日、転校すると嘘を吐き、元の世界に戻る。
「ありがとう。世界は違うけど、一緒だよ」
そう言うと慎二くんは笑って「分かってるって」と言った。
「じゃあ、またね」
その言葉を口にした瞬間、目眩がした。目眩と同時に頭痛もした。意識が遠のいて体がふわふわする感覚がしてきた。

 目が覚めると、そこは見慣れた学校の保健室だった。
「大丈夫?」
由美の声がした。
「大丈夫」と私は言って上半身だけ起き上がった。
「ここに何時間いたの……?」
私はおそるおそる尋ねた。慎二くんと半年過ごしたので、何時間を眠っていたはずだと思った。しかし、由美は不思議そうな顔で答えた。
「三分だけど? どうしたの?」
あの世界の半年は、この世界ではたったの三分だった。

 私は普通の生活に戻った。
──それは、慎二くんと出会う前の孤独な生活。
だけど辛くはなかった。たって、慎二くんがいるから。

 教室に戻り、ぼんやりと何かを考えながらスカートのポケットに手を入れる。
「ん……?」
小さな何かが手に触れた。
「お守りと紙……?」
慎二くん“忘れないように”という思いでくれた手作りのお守り。
紙を開くと文字がずらっと並んでいた。
『結月へ無事に元の世界に戻れた? 結月との生活は本当に楽しかった。結月は自分は一人だってよく言ってるけど、結月は決して一人じゃない。俺がいるから。じゃあらまた会う日まで! 慎二』
慎二くんらしさが伝わる文章だった。私は小さく笑った。
──もう、一人じゃない。
気付いたら窓の外は雪景色だった。もう冬なんだ。

作者メッセージ

これで「オタクは今日も恋をする」は完結です!!
次は「オタクは今日も恋をする〜続編〜」に入ります!!
意外と成長してますよね?

2025/09/19 13:20

貴志柚夏
ID:≫ 14ODATaJ5tCFM
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オタ恋推し二次元トリップ

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