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君の名前を呼ぶまで

#46

第46話 わがままじゃない

初めてのデートの余韻がまだ胸の奥に残っている。
昨日の帰り道でつないだ手の温度が、ふとした瞬間に蘇る。

――また会いたい。

その気持ちが、昨日よりもずっと強い。

放課後。
校門を出ると、蒼真がいつもの場所で待っていた。

「……行こ」

その声は静かで、でも昨日より少しだけ柔らかい。

二人で歩き出す。
自然と歩幅が揃う。
手はまだつないでいないのに、距離が近い。

しばらく歩いたあと、蒼真がぽつりと言った。

「昨日……帰りたくないって言ったけどさ」

胸がぎゅっとなる。

「うん」

蒼真は少しだけ視線を落とし、
それから、ゆっくりと顔を上げた。

「今日も……ちょっとだけ思ってる」

その言葉に、胸がじんわり熱くなる。

「……私も思ってるよ」

蒼真は驚いたように目を瞬き、
それから、ほんの少しだけ笑った。

「……そっか」

夕陽が沈みかけ、街がオレンジ色に染まる。

蒼真は、迷うように指先を動かしながら言った。

「今日も……手、つないでいい?」

胸があたたかくなる。

「うん」

差し出した手を、蒼真はそっと包んだ。
昨日よりも自然に。
昨日よりも強く。

指が絡む。
温度が伝わる。
胸があたたかくなる。

しばらく歩いたあと、蒼真がぽつりと言った。

「もっと一緒にいたいって思うの……わがままじゃないよな」

その言葉に、胸がぎゅっとなる。

「わがままじゃないよ。
 だって……私も思ってるから」

蒼真は少しだけ息を吸い、
そして、ゆっくりと言った。

「結衣といる時間……もっと増やしたい」

その一言が、胸の奥にそっと触れる。

「私も……蒼真くんともっと一緒にいたいよ」

夕暮れの帰り道で、
二人は“もっと一緒にいたい”という気持ちを確かめ合った。

それは、恋人になったからこそ生まれた、
小さくて大切な願いだった。
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2026/03/14 21:34

おひめ
ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
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