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君の名前を呼ぶまで

#45

第45話 特別

初めてのデートから一夜明けた今日。
教室で交わした「おはよう」だけで胸があたたかくなった。

――昨日のこと、思い出してるのかな。

そんなことを考えるだけで、頬がゆるむ。

放課後。
校門を出ると、蒼真がいつもの場所で待っていた。

「……行こ」

その声は静かで、でも昨日より少しだけ柔らかい。

二人で歩き出す。
手はまだつないでいないのに、
歩幅が自然と揃っていく。

しばらく歩いたあと、蒼真がぽつりと言った。

「今日……なんか、道が違って見える」

「え?」

蒼真は少しだけ照れたように視線をそらした。

「昨日……結衣と歩いたからかな。
 いつもの帰り道なのに、ちょっと特別に感じる」

胸がぎゅっとなる。

「私も……そう思ってたよ」

蒼真は驚いたように目を瞬き、
それから、ゆっくりと笑った。

「……そっか」

夕陽が沈みかけ、街がオレンジ色に染まる。

蒼真は、迷うように指先を動かしながら言った。

「今日も……手、つないでいい?」

胸がじんわり熱くなる。

「うん」

差し出した手を、蒼真はそっと包んだ。
昨日よりも自然に。
昨日よりも強く。

指が絡む。
温度が伝わる。
胸があたたかくなる。

「……あったかい」

「蒼真くんの手も……あったかいよ」

二人で歩く帰り道。
昨日と同じ道なのに、
手をつないで歩くだけで、世界が少し優しく見えた。

蒼真が、ふとつぶやく。

「結衣と歩くと……いつもの景色が、少しだけ特別になる」

その言葉に、胸がぎゅっとなる。

「私も……そう思ってるよ」

恋人になったからこそ生まれた、
小さな変化。

それが、今日の帰り道をそっと照らしていた。
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2026/03/14 21:33

おひめ
ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
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