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君の名前を呼ぶまで

#44

第44話 胸の温度

初めてのデートの翌日。
目が覚めた瞬間、昨日の景色がふっと浮かんだ。

――帰りたくないって思った。

蒼真のあの言葉が、胸の奥で何度も反響する。

学校へ向かう道を歩きながら、
自然と頬がゆるんでしまう。

教室に入ると、蒼真はいつもの席にいた。
でも、今日は本を開いてすらいなかった。

「……おはよう」

声をかけると、蒼真は少しだけ照れたように顔を上げた。

「……おはよう、結衣」

名前を呼ばれただけで、胸が跳ねる。
昨日よりも近い声。
昨日よりも優しい響き。

席に戻ろうとしたとき、蒼真がぽつりと言った。

「昨日……ありがとう」

胸がぎゅっとなる。

「私こそ……誘ってくれてありがとう」

蒼真は視線をそらし、
でも、ほんの少しだけ笑った。

「……楽しかった」

その一言が、胸の奥にじんわり広がる。

放課後。
校門を出ると、蒼真が待っていた。

昨日と同じ場所。
でも、昨日よりも少しだけ近い距離。

「……行こ」

その声は静かで、どこか照れが混ざっていた。

二人で歩く帰り道。
昨日のデートの余韻が、まだ手のひらに残っている気がする。

しばらく歩いたあと、蒼真がぽつりと言った。

「昨日……帰りたくないって言ったの、後悔してない」

胸が熱くなる。

「私も……言ってくれて嬉しかったよ」

蒼真は少しだけ息を吸い、
そして、ゆっくりと言った。

「結衣といると……昨日のこと思い出すだけで、胸があたたかくなる」

その言葉に、胸がぎゅっとなる。

「私も……だよ」

夕陽が沈みかけ、街がオレンジ色に染まる。

蒼真は、迷うように指先を動かしながら言った。

「今日も……手、つないでいい?」

胸がじんわり熱くなる。

「うん」

差し出した手を、蒼真はそっと包んだ。
昨日よりも自然に。
昨日よりも強く。

指が絡む。
温度が伝わる。
胸があたたかくなる。

昨日のデートの余韻が、
今日の帰り道を優しく照らしていた。
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2026/03/14 17:58

おひめ
ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
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