最寄りの銭湯は、レトロな雰囲気が漂う昔ながらの造りだった。
番台のおばちゃんに挨拶をして、ゾロゾロと男湯と女湯に分かれる。
「じゃ、1時間後にここ集合で〜」
麟月が指揮を取り、てきぱきと動く。
埃の積もった扇風機とコーヒー牛乳の瓶で溢れかえった脱衣所で着替えを済ませて、それぞれが湯船に浸かった。
「あー、やっぱ広い風呂は最高だわ…」
雪風が気持ちよさそうに湯船に身を委ねる。
彼は一見怖そうに見えるも根はいい奴だ。
背中に入った古い太刀傷のようなものは、暗黙の了解で見過ごすことにした。
一方、影華は頭にタオルを乗せて、湯船の隅で小さくなっていた。
「ふわぁ……あったかい………」
小動物のような彼に、楓や凪、空がほんわかと口角を上げる。
他人から見れば、ヤ○ザと小動物、そのセコムたち。
なんとも近寄りがたい雰囲気を放つ男達だった。
一方、女湯の脱衣所ではシェアハウスの女子軍が楽しそうに会話を弾ませる。ら
「あ、美留ちゃんは私が背中流してあげるね〜!」
明菜がもぞもぞと服を脱ぐ美留にそう告げる。
美留も嬉しそうに「ありがとう!」と礼を言った。
まるで姉妹のような関係の二人に、思わず場が和む。
「そういえば管理人さん、お風呂壊したの誰だと思う〜?」
響乃が浅葱に問いかける。
浅葱は首を傾げた。
「えー誰でしょう…?私じゃないですけど…」
「どーせあの炭ハンバーグが爆発したんでしょ〜」
今まで口を閉ざしていた辛の辛辣な発言に、浅葱は再びしょんぼりと肩を落とす。
あははっ、と美留が笑い、響乃も笑う。
そんな和やかなムードの中、女湯の暖簾がひらりと捲られた。
「どーも♪[太字][漢字]岼崎 乙妬[/漢字][ふりがな]ゆりさき おと[/ふりがな][/太字]でーす!不束者ですがよろしくね!」
そこに立っていたのは桃色の髪をツインテールにした、可憐な少女だった。
その手には大きなスーツケースが握られている。
「あたし、今日から浅葱さんとこのシェアハウスに住むことになったの!どうぞよろしく〜!」
満面の笑みを浮かべる少女に、その場にいた全員が怪訝な顔を向けた。
偶然な出会いとしては不自然すぎるし、どう考えても仕組まれていたとしか考えられない。
「え…もしかして、あなたが…?」
浅葱が恐る恐る問いかける。
すると乙妬は無邪気に首を傾げた。
「ん?あたしが何?」
「いや、なんでもないです…」
浅葱は慌てて目を逸らした。
なぜか笑顔の彼女の背後から、どす黒いオーラが見えた気がしたのだ。
まるで無駄口を叩くなとでも言うように。
「えーと…乙妬ちゃん?も風呂入りにきたんでしょ、入って入って!」
麟月が気を利かせて乙妬も着替えるように促す。
乙妬は嬉しそうに「ありがとう麟月ちゃん!」と言って大きなスーツケースを開いた。
女湯の中に入ると、乙妬は皆に愛想よく挨拶をする。
「もう本当皆大好きなんだけどどうしよう、結婚しちゃう?ねぇねぇ」
乙妬の言葉に麟月は苦笑いを浮かべ、美留と響乃、辛は戸惑いの表情を浮かべる。
浅葱は皆と乙妬を交互に見てオロオロし、年長の明菜は「あらあら〜」と微笑ましく見守っていた。
湯船に浸かった乙妬は、女湯の柵外から聞こえた仲睦まじげな男女の声に、ふと真顔になった。
「公共の場でイチャつくカップルは爆散していいに一票」
ボソッとつぶやくその声に、全員が凍り付いた。
先ほどまでの笑顔は消え、全世界のリア充に憎しみを持っていると言ってもいいほど目がギラついていた。
それまで推しの話で盛り上がっていた美留と響乃もぴたりと会話を止める。
「あっははは!乙妬ちゃん面白い子だね〜!」
麟月が乾いた笑いでごまかす。
乙妬は再び満面の笑みを浮かべ、皆に話しかけた。
「ねぇねぇ皆ってさ、モテる?」
その質問に、女湯は再び静まり返った。
先ほどまで笑顔を浮かべていた明菜でさえ固まるほどに。
番台のおばちゃんに挨拶をして、ゾロゾロと男湯と女湯に分かれる。
「じゃ、1時間後にここ集合で〜」
麟月が指揮を取り、てきぱきと動く。
埃の積もった扇風機とコーヒー牛乳の瓶で溢れかえった脱衣所で着替えを済ませて、それぞれが湯船に浸かった。
「あー、やっぱ広い風呂は最高だわ…」
雪風が気持ちよさそうに湯船に身を委ねる。
彼は一見怖そうに見えるも根はいい奴だ。
背中に入った古い太刀傷のようなものは、暗黙の了解で見過ごすことにした。
一方、影華は頭にタオルを乗せて、湯船の隅で小さくなっていた。
「ふわぁ……あったかい………」
小動物のような彼に、楓や凪、空がほんわかと口角を上げる。
他人から見れば、ヤ○ザと小動物、そのセコムたち。
なんとも近寄りがたい雰囲気を放つ男達だった。
一方、女湯の脱衣所ではシェアハウスの女子軍が楽しそうに会話を弾ませる。ら
「あ、美留ちゃんは私が背中流してあげるね〜!」
明菜がもぞもぞと服を脱ぐ美留にそう告げる。
美留も嬉しそうに「ありがとう!」と礼を言った。
まるで姉妹のような関係の二人に、思わず場が和む。
「そういえば管理人さん、お風呂壊したの誰だと思う〜?」
響乃が浅葱に問いかける。
浅葱は首を傾げた。
「えー誰でしょう…?私じゃないですけど…」
「どーせあの炭ハンバーグが爆発したんでしょ〜」
今まで口を閉ざしていた辛の辛辣な発言に、浅葱は再びしょんぼりと肩を落とす。
あははっ、と美留が笑い、響乃も笑う。
そんな和やかなムードの中、女湯の暖簾がひらりと捲られた。
「どーも♪[太字][漢字]岼崎 乙妬[/漢字][ふりがな]ゆりさき おと[/ふりがな][/太字]でーす!不束者ですがよろしくね!」
そこに立っていたのは桃色の髪をツインテールにした、可憐な少女だった。
その手には大きなスーツケースが握られている。
「あたし、今日から浅葱さんとこのシェアハウスに住むことになったの!どうぞよろしく〜!」
満面の笑みを浮かべる少女に、その場にいた全員が怪訝な顔を向けた。
偶然な出会いとしては不自然すぎるし、どう考えても仕組まれていたとしか考えられない。
「え…もしかして、あなたが…?」
浅葱が恐る恐る問いかける。
すると乙妬は無邪気に首を傾げた。
「ん?あたしが何?」
「いや、なんでもないです…」
浅葱は慌てて目を逸らした。
なぜか笑顔の彼女の背後から、どす黒いオーラが見えた気がしたのだ。
まるで無駄口を叩くなとでも言うように。
「えーと…乙妬ちゃん?も風呂入りにきたんでしょ、入って入って!」
麟月が気を利かせて乙妬も着替えるように促す。
乙妬は嬉しそうに「ありがとう麟月ちゃん!」と言って大きなスーツケースを開いた。
女湯の中に入ると、乙妬は皆に愛想よく挨拶をする。
「もう本当皆大好きなんだけどどうしよう、結婚しちゃう?ねぇねぇ」
乙妬の言葉に麟月は苦笑いを浮かべ、美留と響乃、辛は戸惑いの表情を浮かべる。
浅葱は皆と乙妬を交互に見てオロオロし、年長の明菜は「あらあら〜」と微笑ましく見守っていた。
湯船に浸かった乙妬は、女湯の柵外から聞こえた仲睦まじげな男女の声に、ふと真顔になった。
「公共の場でイチャつくカップルは爆散していいに一票」
ボソッとつぶやくその声に、全員が凍り付いた。
先ほどまでの笑顔は消え、全世界のリア充に憎しみを持っていると言ってもいいほど目がギラついていた。
それまで推しの話で盛り上がっていた美留と響乃もぴたりと会話を止める。
「あっははは!乙妬ちゃん面白い子だね〜!」
麟月が乾いた笑いでごまかす。
乙妬は再び満面の笑みを浮かべ、皆に話しかけた。
「ねぇねぇ皆ってさ、モテる?」
その質問に、女湯は再び静まり返った。
先ほどまで笑顔を浮かべていた明菜でさえ固まるほどに。
コメントオフに設定されています