あの事件の続きが聞きたい?
……分かった。特別に教えるよ。
11歳の時の話だ。
[中央寄せ]あの事件の犯人は無事、警察に捕まった。[/中央寄せ]
後から聞いた話、父さんは、設計図をいつも肌身離さず持っていて、あの事件が起きた時も胸ポケットに入れていたらしい。
だから、強盗が父さんを撃った時に設計図も一緒に消し飛んだ。
と、聞いた。
[中央寄せ]父さんらしいな、と思った途端、もう居ない父さんの優しい顔を思い出して少し泣きそうになった。[/中央寄せ]
あの事件から数年が経ったある日の夕方、僕は公園のベンチに座っていた。
親戚や変な施設にたらい回しにされて早半年。最高に居心地がいい、といった引き取り手は残念ながら現れなかった。
まず最初に引き取ってくれたいとこ一家。父親が大変クズだった。顔はいいが、暇さえあれ歓楽街に赴き、キャバクラに入り浸るような奴だった。
当然そんな奴の仕事はだんだんと不調となり、ついには母親が激怒し離婚届を突き付けた。そしていとこの母親が、
「ごめんだけどもう家では育てられない、出てって。」
と言われ、僕は特別な施設か何か、よく分からない所に引き取られる事になった。
【心に傷を負った親の居ない子供たちの自立をサポートする施設】と聞かされたが、実に胡散臭い。
そうして引き取られた良く分からない施設がまた奇妙で、毎朝【心の傷を癒す】効果があるらしい謎の錠剤を飲まされたし、寝てる間に変な点滴もされた。
その変な施設に引き取られて数ヶ月が経った時、
【僕を引き取りたい】と言う家族が現れた。
勿論、僕はこの施設の事が嫌いだったから快く引き取られた。
この家族がまた酷い家庭だった。
裕福な家族だったが、家族の性格が終わっていた。
僕の事を政略結婚の手駒としか思っていない義母、
そして性的な目で見てくる義父。
僕の事が気持ち悪くて堪らない、と言うような態度の姉もいた。
そして今の家庭。変な施設から僕を引き取った家族の親戚らしく、ごく普通の家だ。しかし、こうやって引越しを繰り返していく内に、近所の人と馴染めなくなってしまった。
「はぁー……昔はこうでも無かったんだけどなぁ……」
夕方の公園で1人呟く。夕方とはいえ蒸し暑い、夏の空気が通り抜けていく。
『5時です、5時です。良い子はお家に帰りましょう。』
『ラーンラーンララーラーンラーン……』
無機質な音声とチャイムが鳴り響く、夕方の公園。公園にいた子供たちは居なくなり、どこか寂し気なチャイムの余韻が消え去ると辺りは静寂に包まれた。
???「ねぇ、ちょっと。こんな所で一人って、大丈夫?」
可夢偉「……誰、ですか?」
いきなり白髪の女性に話し掛けられた。
イージス「私はイージス。宜しくね。君は?」
可夢偉「……江雪可夢偉。ってかお姉さん、日本人でしょ?髪は白いけど、日本語が流暢。」
イージス「すごいね、その観察力!私ちゃんと日本人だよ。でもねー、ちょっと仕事の都合?でイージスって名乗ってるんだよね、あはは。」
イージス、と名乗る女性は、少し困ったような笑顔を見せた。
可夢偉「で、お姉さん。何で僕に話しかけたの?」
イージス「スパイ、なってみない?ちょっと私の所人手不足でさ~、ホント困っちゃうよ。」
可夢偉「ふーん……で、その組織ってどんな人がいるの?」
イージス「守秘義務あるから詳しくは言えないけどね、良い人ばっかりだよ。安心して。」
そう微笑んだ彼女には、何処か僕の姉さんを感じさせる様な優しさががあった。
可夢偉「…じゃあ、行ってみる。」
イージス「そっか、じゃあ案内するね!」
可夢偉「えっ、今から行くの?」
イージス「善は急げって言うでしょ?」
可夢偉「分かったよ、イージス。」
……分かった。特別に教えるよ。
11歳の時の話だ。
[中央寄せ]あの事件の犯人は無事、警察に捕まった。[/中央寄せ]
後から聞いた話、父さんは、設計図をいつも肌身離さず持っていて、あの事件が起きた時も胸ポケットに入れていたらしい。
だから、強盗が父さんを撃った時に設計図も一緒に消し飛んだ。
と、聞いた。
[中央寄せ]父さんらしいな、と思った途端、もう居ない父さんの優しい顔を思い出して少し泣きそうになった。[/中央寄せ]
あの事件から数年が経ったある日の夕方、僕は公園のベンチに座っていた。
親戚や変な施設にたらい回しにされて早半年。最高に居心地がいい、といった引き取り手は残念ながら現れなかった。
まず最初に引き取ってくれたいとこ一家。父親が大変クズだった。顔はいいが、暇さえあれ歓楽街に赴き、キャバクラに入り浸るような奴だった。
当然そんな奴の仕事はだんだんと不調となり、ついには母親が激怒し離婚届を突き付けた。そしていとこの母親が、
「ごめんだけどもう家では育てられない、出てって。」
と言われ、僕は特別な施設か何か、よく分からない所に引き取られる事になった。
【心に傷を負った親の居ない子供たちの自立をサポートする施設】と聞かされたが、実に胡散臭い。
そうして引き取られた良く分からない施設がまた奇妙で、毎朝【心の傷を癒す】効果があるらしい謎の錠剤を飲まされたし、寝てる間に変な点滴もされた。
その変な施設に引き取られて数ヶ月が経った時、
【僕を引き取りたい】と言う家族が現れた。
勿論、僕はこの施設の事が嫌いだったから快く引き取られた。
この家族がまた酷い家庭だった。
裕福な家族だったが、家族の性格が終わっていた。
僕の事を政略結婚の手駒としか思っていない義母、
そして性的な目で見てくる義父。
僕の事が気持ち悪くて堪らない、と言うような態度の姉もいた。
そして今の家庭。変な施設から僕を引き取った家族の親戚らしく、ごく普通の家だ。しかし、こうやって引越しを繰り返していく内に、近所の人と馴染めなくなってしまった。
「はぁー……昔はこうでも無かったんだけどなぁ……」
夕方の公園で1人呟く。夕方とはいえ蒸し暑い、夏の空気が通り抜けていく。
『5時です、5時です。良い子はお家に帰りましょう。』
『ラーンラーンララーラーンラーン……』
無機質な音声とチャイムが鳴り響く、夕方の公園。公園にいた子供たちは居なくなり、どこか寂し気なチャイムの余韻が消え去ると辺りは静寂に包まれた。
???「ねぇ、ちょっと。こんな所で一人って、大丈夫?」
可夢偉「……誰、ですか?」
いきなり白髪の女性に話し掛けられた。
イージス「私はイージス。宜しくね。君は?」
可夢偉「……江雪可夢偉。ってかお姉さん、日本人でしょ?髪は白いけど、日本語が流暢。」
イージス「すごいね、その観察力!私ちゃんと日本人だよ。でもねー、ちょっと仕事の都合?でイージスって名乗ってるんだよね、あはは。」
イージス、と名乗る女性は、少し困ったような笑顔を見せた。
可夢偉「で、お姉さん。何で僕に話しかけたの?」
イージス「スパイ、なってみない?ちょっと私の所人手不足でさ~、ホント困っちゃうよ。」
可夢偉「ふーん……で、その組織ってどんな人がいるの?」
イージス「守秘義務あるから詳しくは言えないけどね、良い人ばっかりだよ。安心して。」
そう微笑んだ彼女には、何処か僕の姉さんを感じさせる様な優しさががあった。
可夢偉「…じゃあ、行ってみる。」
イージス「そっか、じゃあ案内するね!」
可夢偉「えっ、今から行くの?」
イージス「善は急げって言うでしょ?」
可夢偉「分かったよ、イージス。」
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この小説の著作権は天城海月(amagi kurage🪼🫧)さんに帰属します