少し話をしよう。
[大文字]僕が姉さんたちを、家族を失った日の事を。[/大文字]
僕が10歳の時に起こった話だ。
その日は梅雨が明け、晴天が続いていた時に、久しぶりに雨が降った日だった。
可夢偉「お姉ちゃん、今日雨だからお外で遊べないね、つまんなーい……」
瑠莉奈「仕方ないよ、今日は人形で遊ぼ。」
可夢偉「そうだね、あっ、ハーブの散歩行かなきゃ!」
瑠莉奈「もうそんな時間なの?気を付けてね、最近ヘンな人多いから。」
可夢偉「はーい、行ってきまーす。」
その日、僕は何時ものようにハーブの散歩に行こうとした。
[大文字]けれど、リビングは何時もと違うような様子だった。[/大文字]
普段はこの時間リビングにいるはずの両親がいない。
ハーブは窓の外、裏庭に向かって吠えている。
可夢偉「どうしたの?ハーブ、誰もいな」
ハーブ「バウッ、バウッ、バウッ!ヴーッ……バウッ!」
僕がハーブの事をなだめようとする度に、ハーブの吠え方は勢いを増した。
裏庭に誰かいるのかな、そう思った僕は窓を開け、ハーブと一緒に裏庭へ出た。
[太字]その時だった。[/太字]
ハーブ「ヴーッ……バウッ!バウバウッ!」
可夢偉「待って、ハーブ!」
ハーブが何かの扉を引っ掻き、強引にこじ開けた。
よく見るとそれは、長年使っていない、ホコリまみれの倉庫だった。
母「ンーッ、ンーンー!」
父「ンーン、ンーンーン!」
[太字][大文字]そこには、猿轡を咥えさせられ、縛られて涙を浮かべる僕の両親がいた。[/大文字][/太字]
可夢偉「ッ………お父さん、お母さん!どう、して!?」
男「おっと、嬢ちゃん。あんまり暴れちゃいけないぜ?何だってこっちには武器がある。お前さん一人じゃあ何にもできないさ。」
と男が喋りだし、父さんと母さんを縛っている縄をきつくした。
母「ンー、ンーンーッ!」
父「ンーンーン、ンーッ!」
父と母の、普段は端正な顔が苦しみに溢れた表情に変わる。
性根が腐ってる、そんな言葉はこんな奴に使うんだ。と脳が勝手に説明しだすような嫌悪感に満ち溢れた男が、父さんと母さんを苦しめている。
[太字]それは、ハーブが正気を失うのには十分すぎる事だった。[/太字]
ハーブ「ヴーッ、ヴーッ………バウッ!」
可夢偉「ハーブ、行っちゃダメ!」
僕の指示も聞かずに、ハーブは一目散に駆け出し、僕の父さんと母さんを縛っている縄を噛みちぎった。
ハーブ「バウッ、バウバウッ!」
すかさずハーブは男にタックルした。
男「痛ぇ!何しやがるこのバカ犬!」
僕はハーブが男に攻撃している間に、父さんと母さんを助け出した。
必死に猿轡を外した僕は、父さんと母さんに話し掛けた。
可夢偉「父さん、母さん!大丈夫!?何があったの!?」
母「可夢偉、助けてくれて、本当にありがとう……」
父「母さんの言う通りだ。本当にありがとう。それと、彼奴らの名前は……」
可夢偉「何なの!父さん、早く言ってよ!」
父「そうだな…彼奴らは自分の名前を言おうとはしなかった。そして、奴等のグループの名前は……[太字][大文字]軋轢[/大文字][/太字]だ。」
可夢偉「あ……軋、轢……?」
軋轢、不和な事、平和でないこと。
意味不明な馬鹿みたいな組織のの名前にはぴったりだ。
可夢偉「で、その組織の目的は何なの!?どうしてお父さんとお母さんが捕まらなきゃいけないの!?もう訳わかんないよ……」
母「落ち着いて、可夢偉。奴等の目的は、再び[太字]世界戦争[/太字]を起こす事なの。パパ、兵器メーカーで働いてるでしょ?パパしか知らない設計図が有るみたいなの。」
可夢偉「つまり彼奴らは、お父さんの設計図を盗みに来たの?」
母「そうよ、可夢偉。慌てないで。此処は母さん達が何とかする。その隙に警察に通報するのよ。ハーブも居るし、きっと何とか出来る。頑張って」
可夢偉「うん、分かった。お母さん、僕とお姉ちゃんなら、きっとできる。」
父「きっと出来るさ。頑張っ」
男「ゴチャゴチャうるせぇ!さっさと設計図の在り処を言え!」
父「……ハッ、言えるわけ……ないだろ!」
男「…チッ……やれ。二人ともだ、早くやれ。」
男の手下「し、しかし……設計図の在り処は…」
男「良いからやれ!早く!!」
手下「…了解です」
母「可夢偉……貴方だけでも……生きて、幸せになって…ね?」
可夢偉「うっ、うん……行くよ、ハーブ!」
[太字][大文字]ズダダダダダダダッ![/大文字][/太字]
ハーブ「バウッバウッ、バウバウ!」
可夢偉「そんな……お父さん、お母さん……」
ハーブ「バウバウッ、バウッ!ヴーッ……」
可夢偉「ハーブ、行っちゃダメ!」
僕とハーブは兎に角走った。電話がある2階の書斎へ。
早く通報しないと、その一心で走った。
その時、2階の子供部屋から叫び声が聞こえた。
瑠莉奈「きゃアッ!何するのっ!」
僕とハーブは急いで2階の子供部屋へ行った。
可夢偉「ッ……お姉、ちゃん……?」
瑠莉奈「……可夢、偉……?どう、して……?此処、に、居る、の……?早く、逃げて……」
[大文字][太字]そこには誰かに斬られて横たわっている姉さんが居た。[/太字][/大文字]
可夢偉「逃げて……ってお姉ちゃん!何で!?僕お姉ちゃんを置いて逃げれないよ!!誰にやられたの!」
瑠莉奈「可夢偉……落ち着い、て……奴ら、は……再び、[太字]世界戦争[/太字]を……起こそう、と……している、そして………多分、私は……もう、駄目だと、思う、の……だから、お願い……逃げて……そして、幸せに、なってね……希望を、捨てない、で……」
可夢偉「そんな、お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
姉さんは『希望を捨てないで』その言葉を最後に動かなくなった。
可夢偉「嘘……お姉ちゃん……?嘘だよ、嘘だよね!!!!」
僕はただただ泣いた。これからどうすれば、そんな考えばかりが浮かんだ。
その時、武器を構えた男が部屋に入ってきた。
男「設計図の在り処をどうしても言わないから家族皆殺し、とは言われたが……まさかガキ2人と犬まで居るとはな。全く……かわいそうになぁ。」
さっきお父さんとお母さんを撃った男とは別の男だ。恐ろしい程に冷たく、落ち着いた視線で蛇のようにじっとりと僕とハーブを見つめている。
ハーブ「ヴーッ……バウッ!バウバウッ!」
激昂しているであろうハーブが、男に飛びかかった。
可夢偉「ハーブ!気を付け」
男「バカ犬め。敵うわけないだろう。」
ハーブ「キャンッ!」
[中央寄せ][太字]ドサッ[/太字][/中央寄せ]
何か大きな物が落ちる音がした。
ふと部屋の床を見てみる。
[太字][大文字]そこには、男に斬られたハーブが横たわっていた。[/大文字][/太字]
男「全く……馬鹿な犬だな。さて嬢ちゃん、どうするかい?」
可夢偉「…………」
男「おいどうしたぁ?嬢ちゃん。気配が薄くて気付かな」
[大文字][太字][中央寄せ]グサッ[/中央寄せ][/太字][/大文字]
これが僕の、【才能が開花した日】
だった。
[大文字]僕が姉さんたちを、家族を失った日の事を。[/大文字]
僕が10歳の時に起こった話だ。
その日は梅雨が明け、晴天が続いていた時に、久しぶりに雨が降った日だった。
可夢偉「お姉ちゃん、今日雨だからお外で遊べないね、つまんなーい……」
瑠莉奈「仕方ないよ、今日は人形で遊ぼ。」
可夢偉「そうだね、あっ、ハーブの散歩行かなきゃ!」
瑠莉奈「もうそんな時間なの?気を付けてね、最近ヘンな人多いから。」
可夢偉「はーい、行ってきまーす。」
その日、僕は何時ものようにハーブの散歩に行こうとした。
[大文字]けれど、リビングは何時もと違うような様子だった。[/大文字]
普段はこの時間リビングにいるはずの両親がいない。
ハーブは窓の外、裏庭に向かって吠えている。
可夢偉「どうしたの?ハーブ、誰もいな」
ハーブ「バウッ、バウッ、バウッ!ヴーッ……バウッ!」
僕がハーブの事をなだめようとする度に、ハーブの吠え方は勢いを増した。
裏庭に誰かいるのかな、そう思った僕は窓を開け、ハーブと一緒に裏庭へ出た。
[太字]その時だった。[/太字]
ハーブ「ヴーッ……バウッ!バウバウッ!」
可夢偉「待って、ハーブ!」
ハーブが何かの扉を引っ掻き、強引にこじ開けた。
よく見るとそれは、長年使っていない、ホコリまみれの倉庫だった。
母「ンーッ、ンーンー!」
父「ンーン、ンーンーン!」
[太字][大文字]そこには、猿轡を咥えさせられ、縛られて涙を浮かべる僕の両親がいた。[/大文字][/太字]
可夢偉「ッ………お父さん、お母さん!どう、して!?」
男「おっと、嬢ちゃん。あんまり暴れちゃいけないぜ?何だってこっちには武器がある。お前さん一人じゃあ何にもできないさ。」
と男が喋りだし、父さんと母さんを縛っている縄をきつくした。
母「ンー、ンーンーッ!」
父「ンーンーン、ンーッ!」
父と母の、普段は端正な顔が苦しみに溢れた表情に変わる。
性根が腐ってる、そんな言葉はこんな奴に使うんだ。と脳が勝手に説明しだすような嫌悪感に満ち溢れた男が、父さんと母さんを苦しめている。
[太字]それは、ハーブが正気を失うのには十分すぎる事だった。[/太字]
ハーブ「ヴーッ、ヴーッ………バウッ!」
可夢偉「ハーブ、行っちゃダメ!」
僕の指示も聞かずに、ハーブは一目散に駆け出し、僕の父さんと母さんを縛っている縄を噛みちぎった。
ハーブ「バウッ、バウバウッ!」
すかさずハーブは男にタックルした。
男「痛ぇ!何しやがるこのバカ犬!」
僕はハーブが男に攻撃している間に、父さんと母さんを助け出した。
必死に猿轡を外した僕は、父さんと母さんに話し掛けた。
可夢偉「父さん、母さん!大丈夫!?何があったの!?」
母「可夢偉、助けてくれて、本当にありがとう……」
父「母さんの言う通りだ。本当にありがとう。それと、彼奴らの名前は……」
可夢偉「何なの!父さん、早く言ってよ!」
父「そうだな…彼奴らは自分の名前を言おうとはしなかった。そして、奴等のグループの名前は……[太字][大文字]軋轢[/大文字][/太字]だ。」
可夢偉「あ……軋、轢……?」
軋轢、不和な事、平和でないこと。
意味不明な馬鹿みたいな組織のの名前にはぴったりだ。
可夢偉「で、その組織の目的は何なの!?どうしてお父さんとお母さんが捕まらなきゃいけないの!?もう訳わかんないよ……」
母「落ち着いて、可夢偉。奴等の目的は、再び[太字]世界戦争[/太字]を起こす事なの。パパ、兵器メーカーで働いてるでしょ?パパしか知らない設計図が有るみたいなの。」
可夢偉「つまり彼奴らは、お父さんの設計図を盗みに来たの?」
母「そうよ、可夢偉。慌てないで。此処は母さん達が何とかする。その隙に警察に通報するのよ。ハーブも居るし、きっと何とか出来る。頑張って」
可夢偉「うん、分かった。お母さん、僕とお姉ちゃんなら、きっとできる。」
父「きっと出来るさ。頑張っ」
男「ゴチャゴチャうるせぇ!さっさと設計図の在り処を言え!」
父「……ハッ、言えるわけ……ないだろ!」
男「…チッ……やれ。二人ともだ、早くやれ。」
男の手下「し、しかし……設計図の在り処は…」
男「良いからやれ!早く!!」
手下「…了解です」
母「可夢偉……貴方だけでも……生きて、幸せになって…ね?」
可夢偉「うっ、うん……行くよ、ハーブ!」
[太字][大文字]ズダダダダダダダッ![/大文字][/太字]
ハーブ「バウッバウッ、バウバウ!」
可夢偉「そんな……お父さん、お母さん……」
ハーブ「バウバウッ、バウッ!ヴーッ……」
可夢偉「ハーブ、行っちゃダメ!」
僕とハーブは兎に角走った。電話がある2階の書斎へ。
早く通報しないと、その一心で走った。
その時、2階の子供部屋から叫び声が聞こえた。
瑠莉奈「きゃアッ!何するのっ!」
僕とハーブは急いで2階の子供部屋へ行った。
可夢偉「ッ……お姉、ちゃん……?」
瑠莉奈「……可夢、偉……?どう、して……?此処、に、居る、の……?早く、逃げて……」
[大文字][太字]そこには誰かに斬られて横たわっている姉さんが居た。[/太字][/大文字]
可夢偉「逃げて……ってお姉ちゃん!何で!?僕お姉ちゃんを置いて逃げれないよ!!誰にやられたの!」
瑠莉奈「可夢偉……落ち着い、て……奴ら、は……再び、[太字]世界戦争[/太字]を……起こそう、と……している、そして………多分、私は……もう、駄目だと、思う、の……だから、お願い……逃げて……そして、幸せに、なってね……希望を、捨てない、で……」
可夢偉「そんな、お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
姉さんは『希望を捨てないで』その言葉を最後に動かなくなった。
可夢偉「嘘……お姉ちゃん……?嘘だよ、嘘だよね!!!!」
僕はただただ泣いた。これからどうすれば、そんな考えばかりが浮かんだ。
その時、武器を構えた男が部屋に入ってきた。
男「設計図の在り処をどうしても言わないから家族皆殺し、とは言われたが……まさかガキ2人と犬まで居るとはな。全く……かわいそうになぁ。」
さっきお父さんとお母さんを撃った男とは別の男だ。恐ろしい程に冷たく、落ち着いた視線で蛇のようにじっとりと僕とハーブを見つめている。
ハーブ「ヴーッ……バウッ!バウバウッ!」
激昂しているであろうハーブが、男に飛びかかった。
可夢偉「ハーブ!気を付け」
男「バカ犬め。敵うわけないだろう。」
ハーブ「キャンッ!」
[中央寄せ][太字]ドサッ[/太字][/中央寄せ]
何か大きな物が落ちる音がした。
ふと部屋の床を見てみる。
[太字][大文字]そこには、男に斬られたハーブが横たわっていた。[/大文字][/太字]
男「全く……馬鹿な犬だな。さて嬢ちゃん、どうするかい?」
可夢偉「…………」
男「おいどうしたぁ?嬢ちゃん。気配が薄くて気付かな」
[大文字][太字][中央寄せ]グサッ[/中央寄せ][/太字][/大文字]
これが僕の、【才能が開花した日】
だった。
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この小説の著作権は天城海月(amagi kurage🪼🫧)さんに帰属します