〈F〉
わたし「フィメール・ガルデ・ザウゼガーズ」はザウゼガーズ王国の第4王女だ。
王族というものは威厳に満ち溢れ、強大な力を持ち、見目も美しいものだ…と思う民も多い。
わたしは違う。
威厳があるとはまったくもって言えないのだ。
背は低い。
強大な力…わたしに与えられた魔術なんて治癒魔術の最低級、「ミニマムヒール」ぐらいだ。
この国では多くの人間が神に選ばれて魔術の才能を頂く。
平民でも選ばれる人もいるし、貴族はほぼ100%が選ばれる。
魔術にも当たり外れがあって、魔術を使う力、「魔力」さえあれば人々の傷を癒すことができる治癒魔術は当たりの部類に入るのだろう。
まあ、わたしに与えられたのなんて軽い傷しか治せない最低級魔術なのだが。
平民ならまだしも、無駄に高くて低い生まれのせいで苦労することになってしまった。
見目の良さ。腕も腰も細い…とは言われるがもう骨の域である。細すぎてゾンビである。
まあ、病弱であるというだけではなく、親族がご飯を抜いたりゴミを入れたりするからなのだろうが…
肉親たちが持っているものをわたしは何一つ〈いや、第三夫人生まれだが王族という身分ならある〉持っていないのだ。
王族の身分しかなく王族に迷惑しかかけない通称「お荷物王女様」には、王立学園の図書室、それも小さな第3書庫の隅がお似合いなのだ。
いつもと同じように学園の支配者は第2王女で、わたしは「かわいそうなことにあまり動けないので仕方なく社交できない」というレッテルがあるため今日も第3書庫に居る。
予定だった。
端的に言えば「第2王女が行くはずだったセレモニーに身代わりで出席してほしい!」というものだった。
だから厚着をして体型を誤魔化し、仮面を被り、いま第三王女が乗るはずだった馬車に乗っている。
もうこんな扱いには慣れているから心は痛まなくて、いつからこうなったのだろうと不思議になる。
大体、なぜわざわざ男爵家の令嬢だったわたしの母を嫁にしたのか。
わたしなんか王家にしないでそのままほいっと平民にしてくれれば良かったのに。
第2王女も王女で…
そんな、長い考え事突然の落石によって中断された。
こんなに豪華にするならもっと他にいいお金の使い道があるだろうに、ということを思わせる馬車の天井は割れ、隣に居た侍女は血溜まりと化した。
耳をつんざくような悲鳴が鳴り響く。
ちなみに、わたしが社交から逃げるとでも思ったのか、わたしは馬車から降りられないように拘束されていた。
そんなことしないのに。
逃げても連れ戻されるだけだし。
拘束を外すことなく、バタバタと足音が遠ざかっていく。
馬を操っていた召使が逃げたのだろう。
わたしの方にも少しずつめり込んでくる大岩の気配。
ツンと鼻を刺すような血の匂い。
ゆっくりと目を閉じた。
悲しくなかった。
自分がおそらく、もうすぐ死ぬのに。
ただ、この生ゴミみたいな世界と、吹けば飛ぶぐらい軽くて世界よりもゴミみたいな自分にお別れを告げられることにひどくほっとした。
「ばいばい」
意識は途切れた。
○○○○年☆月△日、ザウゼガーズ国南西に落石。
中には召使とザウゼガーズ国の
一名死亡、2名行方不明。肝心の王女の遺体は
…何故か見つからなかった。
わたし「フィメール・ガルデ・ザウゼガーズ」はザウゼガーズ王国の第4王女だ。
王族というものは威厳に満ち溢れ、強大な力を持ち、見目も美しいものだ…と思う民も多い。
わたしは違う。
威厳があるとはまったくもって言えないのだ。
背は低い。
強大な力…わたしに与えられた魔術なんて治癒魔術の最低級、「ミニマムヒール」ぐらいだ。
この国では多くの人間が神に選ばれて魔術の才能を頂く。
平民でも選ばれる人もいるし、貴族はほぼ100%が選ばれる。
魔術にも当たり外れがあって、魔術を使う力、「魔力」さえあれば人々の傷を癒すことができる治癒魔術は当たりの部類に入るのだろう。
まあ、わたしに与えられたのなんて軽い傷しか治せない最低級魔術なのだが。
平民ならまだしも、無駄に高くて低い生まれのせいで苦労することになってしまった。
見目の良さ。腕も腰も細い…とは言われるがもう骨の域である。細すぎてゾンビである。
まあ、病弱であるというだけではなく、親族がご飯を抜いたりゴミを入れたりするからなのだろうが…
肉親たちが持っているものをわたしは何一つ〈いや、第三夫人生まれだが王族という身分ならある〉持っていないのだ。
王族の身分しかなく王族に迷惑しかかけない通称「お荷物王女様」には、王立学園の図書室、それも小さな第3書庫の隅がお似合いなのだ。
いつもと同じように学園の支配者は第2王女で、わたしは「かわいそうなことにあまり動けないので仕方なく社交できない」というレッテルがあるため今日も第3書庫に居る。
予定だった。
端的に言えば「第2王女が行くはずだったセレモニーに身代わりで出席してほしい!」というものだった。
だから厚着をして体型を誤魔化し、仮面を被り、いま第三王女が乗るはずだった馬車に乗っている。
もうこんな扱いには慣れているから心は痛まなくて、いつからこうなったのだろうと不思議になる。
大体、なぜわざわざ男爵家の令嬢だったわたしの母を嫁にしたのか。
わたしなんか王家にしないでそのままほいっと平民にしてくれれば良かったのに。
第2王女も王女で…
そんな、長い考え事突然の落石によって中断された。
こんなに豪華にするならもっと他にいいお金の使い道があるだろうに、ということを思わせる馬車の天井は割れ、隣に居た侍女は血溜まりと化した。
耳をつんざくような悲鳴が鳴り響く。
ちなみに、わたしが社交から逃げるとでも思ったのか、わたしは馬車から降りられないように拘束されていた。
そんなことしないのに。
逃げても連れ戻されるだけだし。
拘束を外すことなく、バタバタと足音が遠ざかっていく。
馬を操っていた召使が逃げたのだろう。
わたしの方にも少しずつめり込んでくる大岩の気配。
ツンと鼻を刺すような血の匂い。
ゆっくりと目を閉じた。
悲しくなかった。
自分がおそらく、もうすぐ死ぬのに。
ただ、この生ゴミみたいな世界と、吹けば飛ぶぐらい軽くて世界よりもゴミみたいな自分にお別れを告げられることにひどくほっとした。
「ばいばい」
意識は途切れた。
○○○○年☆月△日、ザウゼガーズ国南西に落石。
中には召使とザウゼガーズ国の
一名死亡、2名行方不明。肝心の王女の遺体は
…何故か見つからなかった。