文字サイズ変更

晴が解けたら

#15

後悔

重苦しい空気に、言葉が詰まってしまう。
こんな時晴ならどうしただろうか。明るく元気に振る舞う?悲しそうな顔をしてみせる?晴でもどうすればいいかわからなくて困った顔をする?
ぐるぐると思考を巡らせ、思いついた言葉を口にしようとする。

大丈夫だよ

しかし、口に出したはずのその言葉は、私の喉に突っかかったままだった。
代わりに、生ぬるい液体が頬を伝った。
「…なに、これ」
私は一瞬、その正体がわからなかった。いや、わかろうとしなかったのかもしれない。私はもう、自分のことを捨てていた。晴になりたくて、晴が大好きで、_みんなに愛されたくて。
「あれ、変だなぁ…なんで、私泣いて…」
ふいに、懐かしい匂いがした。それと同時に少し窮屈な感じがする。
「…愛ちゃん、愛ちゃん。あなたは愛ちゃんなの。もういいから、晴ちゃんのことが大好きなのは、もう十分伝わったの。みんなに愛されたいのもわかるけれど、わたしはそのままの愛ちゃんが大好きよ。」
涙声で必死に言葉を紡ぐのは、晴のお母さんだった。この感じ、懐かしい。昔よく晴と悪さして、怒られて、最後にはこうして抱きしめられたな。
「…俺は、愛ちゃんのこと好きだよ。でも姉ちゃんのフリをしてる愛ちゃんは嫌い。だって全然似てねーもん!いつまでやるんだろうって見てたら思ったより長くて焦ったよ。」
この声は太晴だ。太晴まで私のこと抱きしめてる。お前何歳だよ、なんて軽口を叩く余裕は、私にはなかった。涙が溢れて止まらなかった。
そうか、私は晴になれないし、ならなくていいんだ。ふっと、心の重みが消えた気がした。晴のフリをし始めた頃からずっとあった、重みが。周りを巻き込んでまで死んだ親友の真似をする痛みが、罪悪感が、嫌悪感が。

『愛華、ありがとう。』

晴が優しく抱きしめてくれた気がした。私は小さく、「こちらこそ。」と返した。

作者メッセージ

気づいたら2ヶ月くらい空いててびっくりしました。
そろそろ完結です。もしまだ読んでくださる方がいたら、最後までお付き合いいただけると幸いです。

2024/05/18 23:03

ゆむ
ID:≫ 6.VVYg7HInCPA
コメント

この小説につけられたタグ

創作

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はゆむさんに帰属します

TOP