重苦しい空気に、言葉が詰まってしまう。
こんな時晴ならどうしただろうか。明るく元気に振る舞う?悲しそうな顔をしてみせる?晴でもどうすればいいかわからなくて困った顔をする?
ぐるぐると思考を巡らせ、思いついた言葉を口にしようとする。
大丈夫だよ
しかし、口に出したはずのその言葉は、私の喉に突っかかったままだった。
代わりに、生ぬるい液体が頬を伝った。
「…なに、これ」
私は一瞬、その正体がわからなかった。いや、わかろうとしなかったのかもしれない。私はもう、自分のことを捨てていた。晴になりたくて、晴が大好きで、_みんなに愛されたくて。
「あれ、変だなぁ…なんで、私泣いて…」
ふいに、懐かしい匂いがした。それと同時に少し窮屈な感じがする。
「…愛ちゃん、愛ちゃん。あなたは愛ちゃんなの。もういいから、晴ちゃんのことが大好きなのは、もう十分伝わったの。みんなに愛されたいのもわかるけれど、わたしはそのままの愛ちゃんが大好きよ。」
涙声で必死に言葉を紡ぐのは、晴のお母さんだった。この感じ、懐かしい。昔よく晴と悪さして、怒られて、最後にはこうして抱きしめられたな。
「…俺は、愛ちゃんのこと好きだよ。でも姉ちゃんのフリをしてる愛ちゃんは嫌い。だって全然似てねーもん!いつまでやるんだろうって見てたら思ったより長くて焦ったよ。」
この声は太晴だ。太晴まで私のこと抱きしめてる。お前何歳だよ、なんて軽口を叩く余裕は、私にはなかった。涙が溢れて止まらなかった。
そうか、私は晴になれないし、ならなくていいんだ。ふっと、心の重みが消えた気がした。晴のフリをし始めた頃からずっとあった、重みが。周りを巻き込んでまで死んだ親友の真似をする痛みが、罪悪感が、嫌悪感が。
『愛華、ありがとう。』
晴が優しく抱きしめてくれた気がした。私は小さく、「こちらこそ。」と返した。
こんな時晴ならどうしただろうか。明るく元気に振る舞う?悲しそうな顔をしてみせる?晴でもどうすればいいかわからなくて困った顔をする?
ぐるぐると思考を巡らせ、思いついた言葉を口にしようとする。
大丈夫だよ
しかし、口に出したはずのその言葉は、私の喉に突っかかったままだった。
代わりに、生ぬるい液体が頬を伝った。
「…なに、これ」
私は一瞬、その正体がわからなかった。いや、わかろうとしなかったのかもしれない。私はもう、自分のことを捨てていた。晴になりたくて、晴が大好きで、_みんなに愛されたくて。
「あれ、変だなぁ…なんで、私泣いて…」
ふいに、懐かしい匂いがした。それと同時に少し窮屈な感じがする。
「…愛ちゃん、愛ちゃん。あなたは愛ちゃんなの。もういいから、晴ちゃんのことが大好きなのは、もう十分伝わったの。みんなに愛されたいのもわかるけれど、わたしはそのままの愛ちゃんが大好きよ。」
涙声で必死に言葉を紡ぐのは、晴のお母さんだった。この感じ、懐かしい。昔よく晴と悪さして、怒られて、最後にはこうして抱きしめられたな。
「…俺は、愛ちゃんのこと好きだよ。でも姉ちゃんのフリをしてる愛ちゃんは嫌い。だって全然似てねーもん!いつまでやるんだろうって見てたら思ったより長くて焦ったよ。」
この声は太晴だ。太晴まで私のこと抱きしめてる。お前何歳だよ、なんて軽口を叩く余裕は、私にはなかった。涙が溢れて止まらなかった。
そうか、私は晴になれないし、ならなくていいんだ。ふっと、心の重みが消えた気がした。晴のフリをし始めた頃からずっとあった、重みが。周りを巻き込んでまで死んだ親友の真似をする痛みが、罪悪感が、嫌悪感が。
『愛華、ありがとう。』
晴が優しく抱きしめてくれた気がした。私は小さく、「こちらこそ。」と返した。