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創世記〈命と自由〉

#10

ライの隠し事

ライ視点

隠し事。誰にだってあるものじゃないかと誰もが言うけれど、私のはそんなレベルじゃない。
「ど~しよっかな~...」
己の自室にはあちらこちらに書類や文献が散らばっていてほとんど足の踏み場が無い。
な~んだ、ゴミ部屋なのがバレたくないのか。違うんだって、ただほったらかしにしてたらこうなっただけだし。まあこれをフライさんに見られたら確定でお説教なんだけど。
散らばりまくっている紙を拾いながら、ゆっくりと部屋の奥に進む。鍵をかけていた棚の鍵を開ける。
「いい加減どうにか処理したいんだけどね、あの子に怒られちゃいそう。」
少し癖のある字で、箱に文字が書かれている。
『思い出ボックス』
アンジュの遺品の事を、ライはキハルに、ましてやフライにも言っていない。

アンジュは元々、あまり物を持たない方だった。服は必要最低限の質素なもので、部屋にもほとんど私物はない。あるのは簡易的なベットと本棚、机に椅子、それだけ。今はその部屋は、キハルの部屋になっている。
アンジュが亡くなって、ほとんど何もない部屋を掃除していた時に私はこの箱を見つけた。本棚の奥に隠されており、ぱっと見じゃ分からないようになっている。
「どうしてこんなもの遺したんだろ、あの子は。」
アンジュが箱に遺していったもの、それは思い出。皆で撮った写真や買って貰っていたキーホルダー、毎日楽しそうに出来事を綴っていた日記帳。
「こんな事されたら、思い出しちゃうでしょ...」
涙で、視界が歪む。これの存在を2人に知らせたら私よりも複雑な感情を抱くかもしれない。だって私やフライにとってもアンジュは大切な仲間で、キハルからしたら自分の唯一の母親。まだキハルには真実を伝えない方がいいし、フライは情緒がぐちゃぐちゃになっちゃうだろう。2人とも結構繊細で純粋だから。

これが最初で最後の一番大きな隠し事。ちらほら隠し事は私もするけれど、これ以上大きなものはきっとこれからはないだろうな。
「ねえ、アンジュ。君の娘さんは伸び伸びと育ってるよ。もしかしたら君と同等かそれ以上の魔術師になるかもね、だけど私には君とキハルがそっくりな分、あの日を思い出してしまうんだよ。君はもういないのにね、重ねちゃうんだ。」

私は過去に囚われすぎた。2人には大事な仲間だからこそ、隠し事をするんだよ。

作者メッセージ

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2025/10/06 18:02

AZ
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