閲覧前に必ずご確認ください

死を連想させる表現があります。ご注意ください。

文字サイズ変更

創世記〈命と自由〉

#42

待てと言われて待つ奴が居るか

ゆっくりと、沈黙していた意識が動き出す。
メテオはハッと飛び起き、辺りを見回した。周囲は簡素な部屋の中で、少しばかり消毒液の香りがする。
「なんで、ここに⋯」
メテオは全く心当たりがない。なぜならここは飛行艇の一室で、自分は狂人化していたはずだった。
ベッドから降り、部屋を出る。操縦室の方から、何やら声が聞こえた。
「メテオ…大丈夫かな?」
心配げなアカリの声。
「あいつなら心配ねぇよ、貧弱じゃないんだ」
そんなアカリに活を入れるデルタの励まし。
「⋯⋯噂をすれば、だな」
自分に気づいたダーマの催促の声。
渋々、操縦室に顔を出す。
「メテ⋯オ…?」
消え入りそうで、泣き出しそうなくらい弱々しい声をメテオにかける。
「⋯すまない」
気まずくて、絞り出したのは苦虫を噛み潰したような苦々しい声だった。



「体調は⋯だいぶ回復したみてぇだな」
モニター越しに聞こえるデルタの声が操縦室に響く。
ダーマはいつも通り、デルタの半歩後ろでじっと黙っている。
「ホントに、心配したんだからね!!」
「だからすまないって言ってるだろう⋯」
涙目でギャンギャン叫ばれるアカリに結構狼狽しているメテオ。
画面越しのデルタはめちゃくちゃニヤつきながらみている。
「ま、惚れた弱みってやつだな。アンタがそんなに狼狽してるの初めて見たわ」
「やれやれ⋯泣かせたくないのなら大事にしておけ」
「貴様らまで⋯私をなんだと思ってるんだ⋯」
あーやべやべ、とからかうような笑みを見せるデルタと呆れ返るダーマ。
メテオの殺気がダダ漏れなのは誰が見てもわかる。
「で、あの話しないの?」
そういえば、と思い出したかのようにポツリとアカリが告げる。




「ちっせぇ頃、俺ら9人が同じ奇妙な夢見たって話、したろ?」
それで9人が集い、宝玉を授かった話だ。
「ああ⋯あの夢か。そういえば、今日も似たような夢を見た気が⋯」
メテオの発言に、全員がやっぱりかと言わんばかりに頷く。
「今日、我ら以外にもチェインやシアン、マドやマリからも同じ夢を見たとの連絡があった」
「つまり⋯」
デルタの目つきが、一瞬変わる。雰囲気が、空気が重くなった。
「また、なにか起こるかもしれねぇ。それに今回はアカリも同じ夢を見てる」
放たれた言葉は、想定以上に重くのしかかる。
でも、不思議と恐怖は感じない。
[小文字][小文字][小文字][小文字][小文字]「そういう運命だから⋯?」[/小文字][/小文字][/小文字][/小文字][/小文字]
「どうしたんだ、アカリ」
小さく首を振るアカリ。そしてすぐに前を向き直す。
「それで、最後の宝玉2つを急いでもらいにいかなきゃいけないんだよね」
「ああ。行き先は⋯」
ダーマが告げる、最後の宝玉の場所。
「リフレージュ。知っているだろう?大規模な実験都市だと」
「覚悟決めろよ、メテオ」
デルタの問いかけに、メテオは力強く頷いた。

ツーツーツー

「なあ、どう思う?」
通信が終わったあと、デルタがダーマに問いかける。その顔は、いつも通りに見えてどこか深刻そうだった。
「シャッタードのことか」
「やっぱお前も同じ事考えてたっぽいな」
ちらりと、幼い頃9人で取った写真を見る。
チェイン、シアン、マド、マリ、ダーマ、デルタ、メテオ。
そして両端に映る、モノクロの少年少女。
「考えたくもねぇな。あそこが実験都市で、黒い噂も流れてるだなんて」
「なにも、起こらぬことを願うしかないな」

作者メッセージ

そろそろ第一章も終わりが近づいてきましたね⋯
次回、リフレージュ編突入です。

2026/01/17 20:41

AZ
ID:≫ 02G2GKZWXLhTI
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はAZさんに帰属します

TOP