閲覧前に必ずご確認ください

死を連想させる表現があります。ご注意ください。

文字サイズ変更

創世記〈命と自由〉

#51

悪魔の声

初めて意識が芽生えたのは、どこか暗い部屋の中。
そこに一筋の光が差した。

「おはよう。いや、はじめましてかな?」

思ったことは、伝えられない。
ただ、強く息を吐きだしただけ。
音なんて鳴らない。体も動かない。座っているのですら、体が重くて辛い。
その光は、地獄への扉だった。

「オリジナルのデータはないからね、私達が予測した成長段階で進めていくしかない」
「そうですね、そのためには一般的な知識だけはつけさせておかないといけません」

体の動かし方、声という音の鳴らし方、移動の仕方、魔術の使い方。
全部1から教わった。でも、一つだけ約束があった。
『私達については、何も聞かないこと。私達は、貴方をただサポートするだけの存在と覚えておきなさい』
当時、僕は何も思わなかった。幼さ故じゃない、そう教育させられてきたから。





「そう!もっと早く撃て!!」
「違う!!そこは反撃するべきだった!!」
「素晴らしい!君は私達の誇りだよ!!」

なんの目的で、僕に魔術や体術などの戦闘の仕方を教えていたのかは今でもわからない。
その日から、怒られることが増えた。
でも、良いことをすれば褒めてもらえた。
だんだん、理解してきていたんだ。
この人たちは、僕に何を求めているのかを。
この行動をすれば、怒られる。
この行動をすれば、褒められる。
ただ、彼らにとって良いか悪いかが僕の判断基準だった。

「今まで生み出してきた中で、最高傑作だよ」
「やはり、オリジナルとなる被検体が良かったからでしょうね」
「ああ、早く実用化に向けて訓練しなければ」

オリジナル。
それぐらい僕でも分かる。
僕は、ずっと見てきた仲間⋯屍たちと同じだったんだ。
まず、何故そもそも自分だけが特別だと思いこんでいたのだろう。
最高傑作と褒められたから?
オリジナルを見たことがなかったから?
どうでもいい。
僕は彼らの命令に従い続けるだけ。

「おい、テメェ何してんだ」

そう思ってたのに。
君と出会って、変わらざるを得なかった。

「ただ、散歩してただけだよ」

その日は、特別に街の中なら自由に過ごしていいと言われて。
ただのんびりと歩いていただけだった。
そんな時、明らかに街の人じゃない人がいた。
それで、声をかけられた。
『何してるんだ』って。
散歩してるだけ、って言ったのに、君は僕をずっと見てくる。

「テメェも、この街の人じゃねぇだろ」
「⋯違う、僕はこの街の人」

僕は、この街で生まれた。
だけど、生まれただけで、僕は人なの?

「⋯どーでもいい。ちょうど、クソ兄貴と絶縁して逃げてきたところだ」

君は立ち上がって、有無を言わさない目つきで僕の手を握ってきた。

「相棒、探してたんだよ。一緒に来い、拒否権はねぇ」

僕は屍。
誰かにとって有益な行動をする生きたロボット。
でも、僕のあの時の選択は⋯今でも後悔はしていない。





[水平線]

「おい、起きろシャッタード」
「⋯⋯ダイ?」

見慣れない部屋、ベッドに横たわるダイ、そしてその上で寝ていた僕。
なんで、こうなったんだっけ⋯
そうだ、ダイとメテオさんの魔力が歪になって、止めに行くために扉を開けて、それで⋯⋯

「記憶、ねぇだろ」
「⋯⋯うん」
「俺が消した。お前らが入ってきて、お前はすぐに俺の方に来て。⋯⋯あんな地獄、覚えてる必要ねぇだろ」

その後、アカリさんがダイとメテオさんを(どうやったのかはしらないが)どうにかして正気に戻し、今は飛空艇で療養中だという。
よく、止められたな⋯アカリさん。
一瞬だけ見えた、二人の姿。
一言で表すなら、荒れ狂った獣。
あとで、お礼を言っておこう。





⋯僕は屍。
でも、生きたロボットじゃない。
生きる意志を持った、屍。

作者メッセージ

ダイシャタっていいよね〜(変なの通ります)
次でリフレージュ編も終幕!!
次回をお楽しみに!

2026/02/02 20:30

AZ
ID:≫ 02G2GKZWXLhTI
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はAZさんに帰属します

TOP