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この小説は星のカービィの二次創作です。
題材となった作品には全く関係ありません。

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有耶無耶のこの星で

夜も更けて、星が瞬くのがハッキリと見えるほどの綺麗な夜空にそっと手を伸ばす。
他の星からは、ポップスターもこんな風に見えているのだろうか。
「何してるの?カービィ」
ふと、後ろから声をかけられる。
振り返ると、そこにいたのはバンダナワドルディ。カービィは目をパチクリとさせて、さも不思議そうに見つめた。
「きみこそ、なんでここにいるの?」
「大王様はもう寝てるし、ちょっとだけ散歩したいなって」
そういうときもあるよね!と明るく返し、また夜空の星を見つめる。
バンダナワドルディも隣に座り、一緒に空を見上げた。



「ぼく、ポップスターを出ていこうと思ってるんだ」
唐突に発せられた、衝撃の告白。
相変わらずカービィは呑気そうに星空を見つめていて、とても本当には思えない。
「冗談、じゃないの?」
「ぼくは嘘なんかつかないよ」
言われてみればカービィはたしかに嘘をついていた覚えがない。演技とかは度々あったが、本心から騙そうとはしてこなかった。
カービィが、ポップスターからいなくなる。
その重みが、ずんと心にのしかかる。いなくなってなんか、ほしくない。
「なんで、出ていくの?」
やっとのことで絞り出せた声。震えていて、ちゃんと言葉として伝わったかすら自信がない。
「これまで、いろんなことがあったでしょ?侵略してこようとしたり、支配しようとしたり」
もちろん全部ぼくがやっつけたけどね、と付け足すも少しだけ声が沈んでいる。
「おいしいものが沢山あっても、楽しく食べる仲間がいなくちゃダメだと思ってここまで頑張ってきた。どんなにお人好しだって言われても、ぼくは自分を信じたかった」
カービィの独白は夜風に乗ってプププランド中、いやポップスター中に届いているような気もする。
皆耳を澄ませて聞いているみたいに、静かだった。
「けど、思ったんだ。なんでここが呆れ返るほど、あくびが出るほど平和な星って言われてるのか」
「⋯大王様やカービィたちが、襲われるたびに守ってくれてるからじゃないの?」
ううん、と首を振る。その顔には、どこか申し訳なさも含まれていて。言葉に詰まる。

「ぼくがここに来る前は、誰からも襲われなかったんじゃなかったの?」

呆れ返るほど平和な星。
カービィと過ごした時間が、あまりにも濃すぎて皆が忘れていた事実。
デデデ大王の自分勝手さには悩まされることもあったが、それ以外は普通の日常を送る何の変哲もない星だった。
出ていく理由に納得する自分と、それでも出ていってほしくない自分がいる。
「ぼくが出ていけば、皆何かに怯えずに過ごせるのかなって」
そもそも、カービィは旅人としてここにやってきた。
そして身勝手な大王を懲らしめてくれたので、お礼として家を作った。
それがカービィがここに居始めるようになった最初の物語。
旅人なのだから、いつかは出ていく。当たり前だ。
「でも、でも⋯!」
「でもじゃないんだよ。明日は明日の風が吹く、でもできればぼくは不穏な風は吹かせたくない」
わかってよ、と悲しげな顔で見つめてくる。
本当は自分だって迷ってるくせに、と言いたいがただの勘なので身勝手なことは言えない。
こんな時、大王様ならどうしたんだろう。面倒くさいやつがいなくなって清々したわい、とか言うのかな。
メタナイト様なら?他のワドルディ隊の皆は?
「そろそろ、夜が明けちゃうから行かなきゃ」
夜ひっそりと姿をくらます予定だったのだろう、立ち上がろうとするカービィの手を強く掴んだ。
「行かないでよ」
今言わなきゃ、ずっと後悔することになる。
目に涙を浮かべつつも、しっかりとカービィのことを見据える。
「大王様は、カービィと出会って変わった。本当はすごくぼく達のことを考えてくれてるって。まだまだ自分勝手だけど⋯」
ピクリと、カービィの体が動揺で震える。
「メタナイト様も、最初は敵だった。敵対していた人もたくさんいた。でも、皆カービィのことを助けてくれた」
[漢字]あの時のことを思い出す[/漢字][ふりがな]スターアライズ[/ふりがな]。[漢字]異空間にも行って[/漢字][ふりがな]アナザーディメンションヒーローズ[/ふりがな]、[漢字]たくさんの敵と戦って[/漢字][ふりがな]アルティメットチョイス[/ふりがな]、フレンズとして、皆手助けしてくれた。
「敵が現れれば、その分味方も現れるのがお約束でしょ?」
カービィの手をぎゅっと握り、精一杯の笑顔を作る。
「大丈夫、ぼくもいる」
少しだけ、驚いたような顔をした後カービィに笑顔が戻る。
「やっぱり、勝てないなぁ」
「ぼくもカービィには勝てないよ」
二人でクスクスと笑い合う。太陽の陽が、ゆっくりと差し込んでくる。
清々しいほどの、朝が来た。
「この先、この星がどうなっていくのかはわからない。でも、しっかりと守りきってみせるよ!仲直りして、一緒にご飯を食べるために」
バンダナワドルディの手を優しく振りほどいて、立ち上がる。
まだ目が赤く、涙も少しだけ残っているが、もうどこにも行かないというような意志が宿っていた。
「じゃあ、ぼくは家に戻るね」
またね、と手を振って太陽の方へと走り出す。
ちょうちょが、ひらひらと飛び始める。カービィのまとめていた荷物が揺れ、それでも確かに置いていった。
もう、ぼくは迷わない。ぼくはプププランドのカービィ。



さよなら、旅人のカービィ。

作者メッセージ

時系列はディスカバリー後のお話。キャラ設定は小説版に寄せているつもりです。設定結構ごっちゃになってると思う。
スタアラのイラストの件もあり、これまでのカービィ作品を自分なりに解釈して出来上がった作品。

2026/01/19 20:00

パンドラの箱
ID:≫ 18abaWoVps7NE
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