実に奇々怪々かつ珍妙な出会いから半年が過ぎた。この半年、ジークは朝田の言語を理解した。現在、自称勇者ジークは、朝田赳丞の借家に居候している。諸君、「なんでその過程を書かないの?」と疑問に思うかもしれない。理由は簡単。書くほどのことがなかったからである。
[太字]ジーク視点[/太字]
さてさて。今日の夕飯は何かな。僕は、春の陽気に負けそうになりながらも、ぼんやりとそんなことを考える。僕がやってきた世界は、どうやらこの世界でいうところの《異世界》なるものらしい。僕からすれば、この世界がよほど異世界だよ。しかし最初は驚いた。何せ、言語が通じないもの。僕のほうは、「にほんごであそぼうスクール」とかいうところに入れてもらったので問題はない。...しかし、なぜあそこはあんなに子供が多かったのだろう。不思議だ。
朝田君は、基本大学に行っているために、家にはあまりいないことが多い。そっちの方が、僕にとっても嬉しい。何せ、半年たったとはいえ未だに慣れたわけではないのだ。感覚としては理解できる。帰り道の切符のない旅行のようなものだ。だからこっちの世界に来てしまったことに関しては、特に何も思っていない。だって、実際に一回死んだんだもの。しかし、この世界は技術の発展がすごい。馬車なんかとは比較にならない速度で鉄の塊が走る。どうやら、クルマと言うらしい。
しかし、この世界に生きるにしてもお金はいるらしい。僕の分のお金は、朝田君の必死のバイトで賄えているため、若干罪悪感を感じるね。...いつか僕も稼ぐとするか。しかし、この生活も悪く無いもんだ。互いが互いの自由を尊重し合えている。
[太字]朝田視点[/太字]
あの自称勇者を住まわせてから半年が経った。勿論不満もある。というか不満が殆どだ。仕方があるまい。誰かと過ごすってのは、そういうことだ。というかあのバカは、今うちで何してるんだ。どうせ家事もやらずにぼんやりと春の陽気に負けそうになっているに違いない。
あの男は、異世界から来たそうだ。最初のところは、異世界(笑)みたいな感じだった。今もだ。正直迷った。精神科への受診を勧めようとしたが、そもそもそんな金なかった。
なので今のところは信じることにしている。人間不思議なもので、毎日自称異世界勇者と嫌でも顔を合わせていると、その妄言に慣れてくるものだ。慣れって怖いね。というわけで、あの男は異例の速さでこの生活に適応した。方陣は回転していない。きっと、「自分は一度死んだ」という認識であるからあんなに気楽なのだろう。
羨ましいことだ。
「ただいま」大学終わり、見慣れた借家のドアを開ける。[漢字]蝶番[/漢字][ふりがな]ちょうつがい[/ふりがな]の嫌な音にブルッと身体を震わせて、暗い廊下の電気をつける。すると。
「グガー...グー...」
春眠暁を覚えず。暁をヤツに覚えさせるため、俺はヤツを蹴り飛ばした。
[太字]ジーク視点[/太字]
お腹に衝撃があった。ハッと目を覚ます。よだれを垂らしていたね、僕。口元をぬぐい、今まで女の子を堕としてきた笑みを向ける。
「おかえりー。寝てないよー」
無言の鉄拳が煌き、僕の意識は再びブラックアウトした。
[太字]朝田視点[/太字]
ったく。居候のくせに何もせずに眠りこけやがって。
「おかえり。寝てないよ」
[太字]ジーク視点[/太字]
さてさて。今日の夕飯は何かな。僕は、春の陽気に負けそうになりながらも、ぼんやりとそんなことを考える。僕がやってきた世界は、どうやらこの世界でいうところの《異世界》なるものらしい。僕からすれば、この世界がよほど異世界だよ。しかし最初は驚いた。何せ、言語が通じないもの。僕のほうは、「にほんごであそぼうスクール」とかいうところに入れてもらったので問題はない。...しかし、なぜあそこはあんなに子供が多かったのだろう。不思議だ。
朝田君は、基本大学に行っているために、家にはあまりいないことが多い。そっちの方が、僕にとっても嬉しい。何せ、半年たったとはいえ未だに慣れたわけではないのだ。感覚としては理解できる。帰り道の切符のない旅行のようなものだ。だからこっちの世界に来てしまったことに関しては、特に何も思っていない。だって、実際に一回死んだんだもの。しかし、この世界は技術の発展がすごい。馬車なんかとは比較にならない速度で鉄の塊が走る。どうやら、クルマと言うらしい。
しかし、この世界に生きるにしてもお金はいるらしい。僕の分のお金は、朝田君の必死のバイトで賄えているため、若干罪悪感を感じるね。...いつか僕も稼ぐとするか。しかし、この生活も悪く無いもんだ。互いが互いの自由を尊重し合えている。
[太字]朝田視点[/太字]
あの自称勇者を住まわせてから半年が経った。勿論不満もある。というか不満が殆どだ。仕方があるまい。誰かと過ごすってのは、そういうことだ。というかあのバカは、今うちで何してるんだ。どうせ家事もやらずにぼんやりと春の陽気に負けそうになっているに違いない。
あの男は、異世界から来たそうだ。最初のところは、異世界(笑)みたいな感じだった。今もだ。正直迷った。精神科への受診を勧めようとしたが、そもそもそんな金なかった。
なので今のところは信じることにしている。人間不思議なもので、毎日自称異世界勇者と嫌でも顔を合わせていると、その妄言に慣れてくるものだ。慣れって怖いね。というわけで、あの男は異例の速さでこの生活に適応した。方陣は回転していない。きっと、「自分は一度死んだ」という認識であるからあんなに気楽なのだろう。
羨ましいことだ。
「ただいま」大学終わり、見慣れた借家のドアを開ける。[漢字]蝶番[/漢字][ふりがな]ちょうつがい[/ふりがな]の嫌な音にブルッと身体を震わせて、暗い廊下の電気をつける。すると。
「グガー...グー...」
春眠暁を覚えず。暁をヤツに覚えさせるため、俺はヤツを蹴り飛ばした。
[太字]ジーク視点[/太字]
お腹に衝撃があった。ハッと目を覚ます。よだれを垂らしていたね、僕。口元をぬぐい、今まで女の子を堕としてきた笑みを向ける。
「おかえりー。寝てないよー」
無言の鉄拳が煌き、僕の意識は再びブラックアウトした。
[太字]朝田視点[/太字]
ったく。居候のくせに何もせずに眠りこけやがって。
「おかえり。寝てないよ」