日本最強バイクレースは想像通りに厳しい世界だった。
ルーキーとベテランの差は確かにある。一回目の予選の結果は30位。下から数えたほうが遥かに早い位置についている。大陽も苦戦をしているようで僕の2つ前を取っていた。
最下位でないだけすごいものだ。なんて慰めをもらうが、僕はどうしても受け入れられずにいた。自分に過度な自信があったわけではない。
それでもかすりもしない遠い表彰台に少し悔しさと絶望を味わっているのだ。このままでは世界なんて夢のまた夢となってしまう。
夢で終わらせる気は微塵もない。じゃあ、何をすべきか。そんなのひとつしかないだろう。
僕はトレーニング室へ足を踏み入れた。ダンベルや懸垂ができるもの。筋トレグッズだけでなく、マットやバランスボールまでもが揃っている。体幹トレーニングをすることを決めた僕はマットに寝転んだ。
今の僕に足りないのはなにか。正直全然わからない。しかしぼーっと突っ立っているだけじゃ1歩も勧めない。判断はできていても早く動くためのスピードもない。単純に言ってしまえば速さがない。遅れている速さを手に入れるなんて簡単なことではない。それくらい知っているが、やってみせるしかないだろう。
オレンジ色の光が差し込むこの部屋でただ一人。マットの上でトレーニングをしている。大陽はどうしているだろうか。
「よっ!調子どう?」
僕の頭上から声がした。ハッと上を見上げる。そこには彼がいた。頬には汗が滴っている。汗も滴るいい男というのはまさに大陽のことだろう。
「いつからいたのさ。気づかなかったや。」
なんて僕が話しかけると大陽はニカッと笑った。
「ずっといたぞ?白夜の集中しすぎ!」
「そうだろうか…でもまあ事実といえば事実、か。」
大陽の笑顔は本当に太陽のようだ。眩しくて、元気で心から燃えている。僕とは真反対の君。
「ほんと…君にはなれないな。」
ぼそっとそう呟く。尊敬と諦め、それとほんの少し嫉妬を加えたこの声。二人だけのこの部屋ではお互いの声など丸聞こえ。太陽は僕のほんの少しの気持ちに気がついたのか、僕にこう返事をした。
「んー…まあそうだろうな!!でもな、白夜。俺もお前になれない。冷静で、二位には喜びよりも悔しさと反省を抱くお前に。ぶっちゃけたらさ、俺もお前が羨ましいぜ?」
なんていう大陽は気遣いでなく本音で上記を述べているようだ。その証拠に彼の表情はどこか切なそうである。
少し沈黙が続いた時、大陽が自分の頬を叩いた。ペチン、となるその音は痛そうに感じる。
「え、ちょ…何して……」
「やめだ!やめよ!!嫉妬してるなら、羨ましいなら越えようぜ!初めなんてうまくいかないことだらけだろ?やってやろうぜ」
「……ああ。そうだな。」
額の汗を拭ってグータッチを求める大陽に僕は笑って応えた。
ルーキーとベテランの差は確かにある。一回目の予選の結果は30位。下から数えたほうが遥かに早い位置についている。大陽も苦戦をしているようで僕の2つ前を取っていた。
最下位でないだけすごいものだ。なんて慰めをもらうが、僕はどうしても受け入れられずにいた。自分に過度な自信があったわけではない。
それでもかすりもしない遠い表彰台に少し悔しさと絶望を味わっているのだ。このままでは世界なんて夢のまた夢となってしまう。
夢で終わらせる気は微塵もない。じゃあ、何をすべきか。そんなのひとつしかないだろう。
僕はトレーニング室へ足を踏み入れた。ダンベルや懸垂ができるもの。筋トレグッズだけでなく、マットやバランスボールまでもが揃っている。体幹トレーニングをすることを決めた僕はマットに寝転んだ。
今の僕に足りないのはなにか。正直全然わからない。しかしぼーっと突っ立っているだけじゃ1歩も勧めない。判断はできていても早く動くためのスピードもない。単純に言ってしまえば速さがない。遅れている速さを手に入れるなんて簡単なことではない。それくらい知っているが、やってみせるしかないだろう。
オレンジ色の光が差し込むこの部屋でただ一人。マットの上でトレーニングをしている。大陽はどうしているだろうか。
「よっ!調子どう?」
僕の頭上から声がした。ハッと上を見上げる。そこには彼がいた。頬には汗が滴っている。汗も滴るいい男というのはまさに大陽のことだろう。
「いつからいたのさ。気づかなかったや。」
なんて僕が話しかけると大陽はニカッと笑った。
「ずっといたぞ?白夜の集中しすぎ!」
「そうだろうか…でもまあ事実といえば事実、か。」
大陽の笑顔は本当に太陽のようだ。眩しくて、元気で心から燃えている。僕とは真反対の君。
「ほんと…君にはなれないな。」
ぼそっとそう呟く。尊敬と諦め、それとほんの少し嫉妬を加えたこの声。二人だけのこの部屋ではお互いの声など丸聞こえ。太陽は僕のほんの少しの気持ちに気がついたのか、僕にこう返事をした。
「んー…まあそうだろうな!!でもな、白夜。俺もお前になれない。冷静で、二位には喜びよりも悔しさと反省を抱くお前に。ぶっちゃけたらさ、俺もお前が羨ましいぜ?」
なんていう大陽は気遣いでなく本音で上記を述べているようだ。その証拠に彼の表情はどこか切なそうである。
少し沈黙が続いた時、大陽が自分の頬を叩いた。ペチン、となるその音は痛そうに感じる。
「え、ちょ…何して……」
「やめだ!やめよ!!嫉妬してるなら、羨ましいなら越えようぜ!初めなんてうまくいかないことだらけだろ?やってやろうぜ」
「……ああ。そうだな。」
額の汗を拭ってグータッチを求める大陽に僕は笑って応えた。