窓を打つしとしと、という雨音が静かな部屋に小さく響く。
[漢字]鞍馬 白夜[/漢字][ふりがな]くらま さくや[/ふりがな]はその音にも、壁の時計の針の音にも、何一つ気を取られずにいた。
目の間に置かれた一通の封筒だけをじっと見つめている。
差出人は「日本モーターサイクルスポーツ関係者」。その文字を見た瞬間から鼓動は早くなっていた。
深く深呼吸をして心を落ち着かせる。よし。大丈夫。
手をゆっくりと伸ばし、封を切った。震える手のまま、中に入っている一枚の紙を取り出す。
[太字]__第XX回日本最強バイクレース・出場承認通知表 君の実力を全国に見せてやれ。[/太字]
鼓動を早くしながらも無表情だった僕の口元が少し緩む。
僕はすぐにスマホを手に取った。父親と書かれたトーク画面に承認されたことを伝えた。
急いで「承認された」という短い文を送る。父はすぐに既読がついたと思えば、感動泣きしているスタンプを送ってきた。
それを見て僕は、ふっと笑う。
今、父は笑ってくれているだろうか。感動泣きをしてくれているだろうか。父には本当に感謝しかない。裕福でない家だというのに僕のためにお金を使ってくれた。僕の夢を叶えさせようと協力、応援をしてくれた。家族がいなければ僕はここに立っていないだろう。
まあ、これからも頼ることになるよ。父さん。まだ僕は先を望むから。
「やっとだ。」
声は静かで、淡々としていて、感情を抑えているようにも聞こえる。けれど、彼と長い付き合いの者ならばすぐに気がつくだろう。彼の中に力強い火が灯ったことを。
3歳から乗り始めたバイク。走ること、勝つこと。そして何より[太字]“バイクに乗ること”[/太字]そのものが僕の生きる意味だった。
「この世界の頂上を見てみせる。やりきってみせるからさ、みていてよ。」
かつてそう言った僕は、今年16を迎えた。僕の名が日本最強の舞台に刻まれる日が、ついにやってきたのだ。世界の頂上に立つための一歩。ようやくチャンスを迎えることができる。心の中は強い緊張と楽しみで溢れかえっていた。
そんなとき、スマホの画面が光り、着信音が鳴り響いた。着信名は「[漢字]大日向 大陽[/漢字][ふりがな]おおひなた たいよう[/ふりがな]」。
「お父さん……もう大陽に言ったんだ。」
僕は少し笑った。今日はやけに表情が豊かだ。そんな嬉しさの声色のまま通話ボタンを押した。
『白夜!!お前マジか!?出場決まったんだって!?なにそれ、すげぇじゃん!!』
「うん。まあ、ようやくって感じ。」
『テンション低っっ!!もっとさ、こう……うおおおお!!ってなるとこじゃねぇの!?』
画面の向こうで、いつも通りの大陽が叫んでいる。いや、いつも通りに聞こえるだけか。
「大陽もでしょ?いつもよりも楽しそうに聞こえる。」
僕がそう言うと、大陽は声をわかりやすいほど大きくしてこう言った。
『わかっちゃう?さすがは親友!!俺も、、俺もお前と一緒に上がるぞ!!一緒にまた走ろうぜ!!』
太陽のように明るく、眩しい声。
「ああ、またよろしくな。大陽。」
そんな彼の声とは違いながらも僕は最大の明るい声で大陽に言った。
[漢字]鞍馬 白夜[/漢字][ふりがな]くらま さくや[/ふりがな]はその音にも、壁の時計の針の音にも、何一つ気を取られずにいた。
目の間に置かれた一通の封筒だけをじっと見つめている。
差出人は「日本モーターサイクルスポーツ関係者」。その文字を見た瞬間から鼓動は早くなっていた。
深く深呼吸をして心を落ち着かせる。よし。大丈夫。
手をゆっくりと伸ばし、封を切った。震える手のまま、中に入っている一枚の紙を取り出す。
[太字]__第XX回日本最強バイクレース・出場承認通知表 君の実力を全国に見せてやれ。[/太字]
鼓動を早くしながらも無表情だった僕の口元が少し緩む。
僕はすぐにスマホを手に取った。父親と書かれたトーク画面に承認されたことを伝えた。
急いで「承認された」という短い文を送る。父はすぐに既読がついたと思えば、感動泣きしているスタンプを送ってきた。
それを見て僕は、ふっと笑う。
今、父は笑ってくれているだろうか。感動泣きをしてくれているだろうか。父には本当に感謝しかない。裕福でない家だというのに僕のためにお金を使ってくれた。僕の夢を叶えさせようと協力、応援をしてくれた。家族がいなければ僕はここに立っていないだろう。
まあ、これからも頼ることになるよ。父さん。まだ僕は先を望むから。
「やっとだ。」
声は静かで、淡々としていて、感情を抑えているようにも聞こえる。けれど、彼と長い付き合いの者ならばすぐに気がつくだろう。彼の中に力強い火が灯ったことを。
3歳から乗り始めたバイク。走ること、勝つこと。そして何より[太字]“バイクに乗ること”[/太字]そのものが僕の生きる意味だった。
「この世界の頂上を見てみせる。やりきってみせるからさ、みていてよ。」
かつてそう言った僕は、今年16を迎えた。僕の名が日本最強の舞台に刻まれる日が、ついにやってきたのだ。世界の頂上に立つための一歩。ようやくチャンスを迎えることができる。心の中は強い緊張と楽しみで溢れかえっていた。
そんなとき、スマホの画面が光り、着信音が鳴り響いた。着信名は「[漢字]大日向 大陽[/漢字][ふりがな]おおひなた たいよう[/ふりがな]」。
「お父さん……もう大陽に言ったんだ。」
僕は少し笑った。今日はやけに表情が豊かだ。そんな嬉しさの声色のまま通話ボタンを押した。
『白夜!!お前マジか!?出場決まったんだって!?なにそれ、すげぇじゃん!!』
「うん。まあ、ようやくって感じ。」
『テンション低っっ!!もっとさ、こう……うおおおお!!ってなるとこじゃねぇの!?』
画面の向こうで、いつも通りの大陽が叫んでいる。いや、いつも通りに聞こえるだけか。
「大陽もでしょ?いつもよりも楽しそうに聞こえる。」
僕がそう言うと、大陽は声をわかりやすいほど大きくしてこう言った。
『わかっちゃう?さすがは親友!!俺も、、俺もお前と一緒に上がるぞ!!一緒にまた走ろうぜ!!』
太陽のように明るく、眩しい声。
「ああ、またよろしくな。大陽。」
そんな彼の声とは違いながらも僕は最大の明るい声で大陽に言った。