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実際のアイドルや芸人さんとは一切関係ございません。
[太字]side : Idol[/太字]
ステージに立てば、それだけで黄色い歓声が会場を包む。その声に応えるように、笑顔を振りまく。
「みんなライブ来てくれてサンキューな! どんどん盛り上がってこーぜっ!」
俺がマイク越しに叫ぼうもんなら、また熱気は一段と高まる。
数知れないほど振られるうちわには、「手振って!」「ピースして♡」「ウインクして」なんてささやかな指示。
俺がそれを見えるだけ叶えると、度々甲高い声が響いた。
──あー耳痛ぇ。鼓膜破れるっつーの。
マイクを構え歌い出す。その間は少しだけ声がおさまるが、そんなの束の間の休息に過ぎない。
なんなら今度は怒涛のペンライト攻撃だ。赤多め、ちょこちょこピンクや緑やが光る観客席が俺の目を刺激する。
──あー目ぇ痛ぇ。眼球潰す気かよ。
心の中で毒づく。表情にも、仕草にも、声にも一切出さないのはせめてものプロフェッショナル。
なんたって俺はアイドル、[漢字]神瀬[/漢字][ふりがな]こうのせ[/ふりがな][漢字]穂純[/漢字][ふりがな]ほずみ[/ふりがな]だ。
✦ ✦ ✦
俺が所属するアイドルグループ、「Starlight Pastel」のライブが今日も終わった。
通称「スタパス」は5人組。俺は赤色担当、センターを任されている。
まあ自分で言うのもなんだが、顔がいいのだ。華も他のメンバーよりあるし。というか周りのレベルが低いだけ。
......なーんて思っちゃう俺は、根っからのひねくれ者である。
[水平線]
ライブを終えて楽屋に戻るまで、5人全員キラッキラ笑顔でスタッフやら何やらに「お疲れ様でしたー!」と声をかける。現場はライブ終わりならではの、達成感と充実感に満ちていた。
全力疾走したり大ジャンプしたりとにかく暴れまわった体は疲労困憊。スタッフに手渡されたタオルで汗を拭いつつ、5人仲良く楽屋へ戻った。
[漢字]5人仲良く[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]。
「――おい神瀬。お前3曲目の振りミスったろ?」
「ミスってないっすよ」
「嘘つけ。1人だけ手逆だったよな」
「そんなこと言ったら[漢字]来栖[/漢字][ふりがな]くるす[/ふりがな]だって間違ってたぜ?」
「僕!? そんなわけないじゃん!」
楽屋に入ってドアを閉めた瞬間、始まるのは聞くに堪えない口論、罵り合い。
【仲良しこよしのキラキラアイドル】なんて売りはどこへやら、俺たちは本っ当に仲が悪い。
✦ ✦ ✦
言い争いが一段落してから、俺たちは各々全く別のことをし始める。
スマホを見る、テレビをつける、鏡を見る、椅子に座る、ソファに寝転ぶ。会話は一文字だって無い。
つけたくせに誰一人見向きもしないテレビは、騒々しい夜のお笑い番組を映している。
『さっ続きましては、【ほろ酔い堂】の漫才です! どーぞっ!』
〜♫♪〜
『はいどーも〜!! ほろ酔い堂でーす! いやぁね、俺最近やりたいことができ――』
興味がない。本能的にリモコンを手に取り、テレビを消した。
ステージに立てば、それだけで黄色い歓声が会場を包む。その声に応えるように、笑顔を振りまく。
「みんなライブ来てくれてサンキューな! どんどん盛り上がってこーぜっ!」
俺がマイク越しに叫ぼうもんなら、また熱気は一段と高まる。
数知れないほど振られるうちわには、「手振って!」「ピースして♡」「ウインクして」なんてささやかな指示。
俺がそれを見えるだけ叶えると、度々甲高い声が響いた。
──あー耳痛ぇ。鼓膜破れるっつーの。
マイクを構え歌い出す。その間は少しだけ声がおさまるが、そんなの束の間の休息に過ぎない。
なんなら今度は怒涛のペンライト攻撃だ。赤多め、ちょこちょこピンクや緑やが光る観客席が俺の目を刺激する。
──あー目ぇ痛ぇ。眼球潰す気かよ。
心の中で毒づく。表情にも、仕草にも、声にも一切出さないのはせめてものプロフェッショナル。
なんたって俺はアイドル、[漢字]神瀬[/漢字][ふりがな]こうのせ[/ふりがな][漢字]穂純[/漢字][ふりがな]ほずみ[/ふりがな]だ。
✦ ✦ ✦
俺が所属するアイドルグループ、「Starlight Pastel」のライブが今日も終わった。
通称「スタパス」は5人組。俺は赤色担当、センターを任されている。
まあ自分で言うのもなんだが、顔がいいのだ。華も他のメンバーよりあるし。というか周りのレベルが低いだけ。
......なーんて思っちゃう俺は、根っからのひねくれ者である。
[水平線]
ライブを終えて楽屋に戻るまで、5人全員キラッキラ笑顔でスタッフやら何やらに「お疲れ様でしたー!」と声をかける。現場はライブ終わりならではの、達成感と充実感に満ちていた。
全力疾走したり大ジャンプしたりとにかく暴れまわった体は疲労困憊。スタッフに手渡されたタオルで汗を拭いつつ、5人仲良く楽屋へ戻った。
[漢字]5人仲良く[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]。
「――おい神瀬。お前3曲目の振りミスったろ?」
「ミスってないっすよ」
「嘘つけ。1人だけ手逆だったよな」
「そんなこと言ったら[漢字]来栖[/漢字][ふりがな]くるす[/ふりがな]だって間違ってたぜ?」
「僕!? そんなわけないじゃん!」
楽屋に入ってドアを閉めた瞬間、始まるのは聞くに堪えない口論、罵り合い。
【仲良しこよしのキラキラアイドル】なんて売りはどこへやら、俺たちは本っ当に仲が悪い。
✦ ✦ ✦
言い争いが一段落してから、俺たちは各々全く別のことをし始める。
スマホを見る、テレビをつける、鏡を見る、椅子に座る、ソファに寝転ぶ。会話は一文字だって無い。
つけたくせに誰一人見向きもしないテレビは、騒々しい夜のお笑い番組を映している。
『さっ続きましては、【ほろ酔い堂】の漫才です! どーぞっ!』
〜♫♪〜
『はいどーも〜!! ほろ酔い堂でーす! いやぁね、俺最近やりたいことができ――』
興味がない。本能的にリモコンを手に取り、テレビを消した。