朝の空気は少しひんやりとしていて、秋の気配をほんの少しだけ感じた。
「おっはよー!!」
颯人の大きな声が教室中に響き渡る。早速、朝から元気全開だ。健気がすぐに眉をひそめた。
「っるさいなあもう……朝イチから大声やめてって、何度言わせんの……」
「いやいや、今日からリハーサル本格的に始まるし、テンション上げてこーぜ!」
「お前が上げすぎなんだっつーの……」
そんなやり取りを横目に、私はプリントの束を机の上に並べていた。
今日は台本の読み合わせと、動物たちとの初リハーサル。
少し緊張してる。
でも、それ以上に楽しみで仕方がなかった。
「ねぇ、神奈。うさぎの“もこ”ちゃん、ちゃんと来るかな?」
胡桃が私の隣で不安そうに問いかける。
「うん、大丈夫。朝、確認したから。今日はおとなしくゲージに入ってたよ」
「そっか、よかった〜。神奈がいると、動物たちも本当に落ち着いてるよね」
「まぁ……小さい頃から、よく触れ合ってたからかな」
そんな話をしていたら、千鶴と絢もやってきた。
「……神奈、これ、衣装係から預かった……サイズの確認、よろしくね」
「ありがと、千鶴」
「てかさ、今日って本当に動物たち出てくれるのかな?怖がらないかなぁ」
「大丈夫だよ。ちょっとずつ慣らしていくから」
やがて、リハーサルの時間。体育館の舞台袖に、クラスメイトたちがざわざわと集まり始める。
私は動物たちが入ったゲージをそっと運びながら、みんなに注意する。
「急に大きな音出さないでね。驚いちゃうから」
颯人がふっと笑う。
「まかせとけ。俺、こう見えて動物にも優しいんだぜ?」
「こう見えて、が余計なんだよ……」と健気がすぐにツッコミを入れる。
みんなが台本を手に、それぞれの持ち場につく。
胡桃と絢は舞台裏でマイクの準備をしていて、アフレコ用のセリフを繰り返し練習している。
「じゃあ、第一幕、始めるね」
私が声をかけると、緊張した面持ちのクラスメイトたちが、それぞれの役を演じ始めた。
舞台中央には、私が演じる少女・ツキ。
そして、舞台袖には健気のナレーションが、柔らかいトーンで物語を導いていく。
「これは、ある村に住む一人の少女、ツキのお話――」
ナレーションに合わせて、舞台上に登場する小動物たち。
ウサギの“もこ”は、ぴょんと跳ねるだけで観客席から歓声があがりそうなほど可愛らしい。
「……めっちゃ、動いてるじゃん……」と絢が驚いた声を漏らす。
「さすが神奈だね」と胡桃も笑う。
けれど、リハーサルは順調なことばかりじゃなかった。
ハムスターが舞台の端からこっそり逃げ出しかけて、颯人が必死に追いかける場面も。
「ちょ、まって、そっちいくなー!!」
「ほら見ろ、だから言ったじゃん……ちゃんと柵の確認してって……」健気が小声でため息をついた。
私は笑いながらその様子を見ていた。
なんだかんだで、みんな一生懸命。ちゃんと成功させたいって気持ちが、少しずつ形になっていくのがわかる。
リハーサルの最後、私が台詞を読み上げるシーンで、ふと舞台の隅に視線をやると、“もこ”がじっと私を見つめていた。
まるで、「がんばって」って言ってくれているみたいだった。
「ありがとう、もこ……」
本番まで、あと少し。
この劇が、みんなの思い出に残るものになりますように――そう願いながら、私は台本をぎゅっと握りしめた。
「おっはよー!!」
颯人の大きな声が教室中に響き渡る。早速、朝から元気全開だ。健気がすぐに眉をひそめた。
「っるさいなあもう……朝イチから大声やめてって、何度言わせんの……」
「いやいや、今日からリハーサル本格的に始まるし、テンション上げてこーぜ!」
「お前が上げすぎなんだっつーの……」
そんなやり取りを横目に、私はプリントの束を机の上に並べていた。
今日は台本の読み合わせと、動物たちとの初リハーサル。
少し緊張してる。
でも、それ以上に楽しみで仕方がなかった。
「ねぇ、神奈。うさぎの“もこ”ちゃん、ちゃんと来るかな?」
胡桃が私の隣で不安そうに問いかける。
「うん、大丈夫。朝、確認したから。今日はおとなしくゲージに入ってたよ」
「そっか、よかった〜。神奈がいると、動物たちも本当に落ち着いてるよね」
「まぁ……小さい頃から、よく触れ合ってたからかな」
そんな話をしていたら、千鶴と絢もやってきた。
「……神奈、これ、衣装係から預かった……サイズの確認、よろしくね」
「ありがと、千鶴」
「てかさ、今日って本当に動物たち出てくれるのかな?怖がらないかなぁ」
「大丈夫だよ。ちょっとずつ慣らしていくから」
やがて、リハーサルの時間。体育館の舞台袖に、クラスメイトたちがざわざわと集まり始める。
私は動物たちが入ったゲージをそっと運びながら、みんなに注意する。
「急に大きな音出さないでね。驚いちゃうから」
颯人がふっと笑う。
「まかせとけ。俺、こう見えて動物にも優しいんだぜ?」
「こう見えて、が余計なんだよ……」と健気がすぐにツッコミを入れる。
みんなが台本を手に、それぞれの持ち場につく。
胡桃と絢は舞台裏でマイクの準備をしていて、アフレコ用のセリフを繰り返し練習している。
「じゃあ、第一幕、始めるね」
私が声をかけると、緊張した面持ちのクラスメイトたちが、それぞれの役を演じ始めた。
舞台中央には、私が演じる少女・ツキ。
そして、舞台袖には健気のナレーションが、柔らかいトーンで物語を導いていく。
「これは、ある村に住む一人の少女、ツキのお話――」
ナレーションに合わせて、舞台上に登場する小動物たち。
ウサギの“もこ”は、ぴょんと跳ねるだけで観客席から歓声があがりそうなほど可愛らしい。
「……めっちゃ、動いてるじゃん……」と絢が驚いた声を漏らす。
「さすが神奈だね」と胡桃も笑う。
けれど、リハーサルは順調なことばかりじゃなかった。
ハムスターが舞台の端からこっそり逃げ出しかけて、颯人が必死に追いかける場面も。
「ちょ、まって、そっちいくなー!!」
「ほら見ろ、だから言ったじゃん……ちゃんと柵の確認してって……」健気が小声でため息をついた。
私は笑いながらその様子を見ていた。
なんだかんだで、みんな一生懸命。ちゃんと成功させたいって気持ちが、少しずつ形になっていくのがわかる。
リハーサルの最後、私が台詞を読み上げるシーンで、ふと舞台の隅に視線をやると、“もこ”がじっと私を見つめていた。
まるで、「がんばって」って言ってくれているみたいだった。
「ありがとう、もこ……」
本番まで、あと少し。
この劇が、みんなの思い出に残るものになりますように――そう願いながら、私は台本をぎゅっと握りしめた。