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たとえ未来が同じでも

#14

14話

まだ薄暗い体育館の中。
ステージの上に並んだ照明は、少し頼りなく光っていて、なんだか、ここが本当に“舞台”になるんだって思うと、不思議な気持ちになった。
「……これが、私たちの舞台なんだね」
思わずそう呟いたら、隣で颯人がぐいっと両手を伸ばした。
「おう! 今日もバッチリ動くぜ!」
颯人の声、体育館の中にめちゃくちゃ響いた。
「声でかっ……!」
 案の定、健気がすぐに眉をひそめた。
「っ〜〜!! 朝から大声出すなバカ!!!」
「ごめんって!」
毎度おなじみのやり取りに、なんだか少しだけ緊張が和らいだ気がする。
でも、空気のどこかにピンと張った糸があるような、そんな感じ。
本番まであと少しって考えると、やっぱり、胸の奥がぎゅっとなる。
「演出席ってこっちだよな?」
「違う。そっちは観客席。……ったく、何回目だよ……」
健気が演出メモを片手に、いろんなところを確認して回ってる。
クラスメイトたちも、衣装のチェックや道具の準備でバタバタしてた。
「みんな、スタンバイお願いしまーす! 動物班もね!」
健気の声が響いて、わたしたちはそれぞれの場所に移動する。
「……動物班、ってなんか響きすごいね(笑)」
思わず笑って言ったら、後ろで胡桃が肩をすくめた。
「ま、確かに(笑) でも、ウサギたちもおとなしくしててくれてるよ〜。神奈がいると安心するんじゃない?」
「そんなことないよ〜」
そう言いながら、腕の中のウサギをそっと撫でた。
ふわふわの毛並みに、少しだけ緊張がほどけていく。
「……ほんとにさ、神奈って、なんでこんなに動物に懐かれるんだろ」
絢の声。少し離れたところからだったけど、なんとなく笑ってるのが分かった。
「さ、始めるぞー!」
先生の声で、練習が始まった。
健気がナレーションを読む。わたしはツキとして、舞台の中央に立つ。
「――とある村に、一人の少女がいました」
その瞬間、空気が変わった。
舞台の上はもう、ただの体育館じゃなくて、わたしたちの世界になっていた。
演技をするたび、ちゃんと伝えられてるか不安になって、でも、みんなの顔を見て、もう一度、深呼吸して。
アフレコを担当してくれてる胡桃と絢の声が、動物たちの動きにぴったり合っていて、思わず嬉しくなった。
練習が終わるころには、すっかり夕方になっていた。
体育館の外に出ると、ちょっとだけ冷たい風が吹いて、秋が深まってきたなって思った。
「……ねぇ、来週、本番だね」
そう呟いた私に、胡桃がにこって笑う。
「だいじょーぶ。神奈、ちゃんとできてたよ」
「うん、神奈のツキ、めっちゃ良かったよ。演出の俺が保証する!」
颯人の声に、健気がすかさず突っ込む。
「それ言いたいだけでしょ、バカ」
なんだかんだ、こういう空気が、すごく安心する。
ちょっと緊張してるけど、それ以上に、「みんなと作ってる」って気持ちが強くて、胸があったかくなった。
来週の本番、絶対成功させたい。
みんなの頑張りも、気持ちも、ぜんぶ乗せて。

2025/10/18 09:25

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