風が少しだけ冷たくなってきた。
でも、陽射しはまだほんのり暖かくて、頬に当たるとくすぐったい。
登校中、歩道の脇にある木々の葉っぱが黄色や赤に色づいているのに気づいて、神奈はふと足を止めた。
「……秋、だね」
そう呟くと、隣を歩く胡桃がにこりと笑う。
「うん、秋ってなんか落ち着くよね」
そんな、何気ない会話をしていると
後ろから、颯人の大声が響いた。
「おいおい〜!置いてくなって!寒くなったら走ればあったかくなるぞー!」
「うるさいってば!朝から大声出すな!」
と、健気が怒鳴る声も聞こえる。
でも、どこか楽しそうだった。
神奈は笑いながら、その後ろを歩く千鶴と絢を振り返った。
「ねぇ、今日って文化祭の準備、話し合いだっけ?」
「……うん。HRで出し物決めるって。」
千鶴がぽつりと答え、絢が小さく笑った。
「颯人がまた変な案出しそうじゃない?」
「絶対そうだよね……」
「はぁ?!出さねーし!!!!」
「いや、お前は絶対出す。」
そうしてみんなで笑いながら、いつも通りの朝が始まった。
*
HRの時間。
担任の先生が「文化祭の出し物」について説明をすると、教室内が一気にざわつき始めた。
「ねぇねぇ、お化け屋敷とかどう?!」
「ベタすぎない?」
「劇もいいけど、準備が大変そう……」
颯人は机に片肘をつきながら、わくわくした表情で手を挙げる。
「先生!俺、焼きそば屋やりたいっす!いや、ラーメン屋でもいいかも!」
「食べ物はダメって書いてあるでしょ、プリントに!」
と、すかさず健気がツッコむ。
「だいたい、お前が調理したら全部焦がす未来しか見えないんだよ!」
「ええ!?俺、目玉焼きくらいなら作れるぞ!?」
「子供か!」
神奈はそのやりとりにくすくす笑いながら、隣の胡桃に耳打ちした。
「うちのクラス、絶対静かにはならないよね」
「うん。でも、こういうのも楽しいよね」
「……うん、たしかに」
その日の話し合いは結局、候補だけがいくつか出されて、次回に持ち越し。
放課後、残れる人は残って案を練ろうという話になり、神奈も残っていくことにした。
「あ、颯人は部活で、絢は委員会だっけ?」
「そーそー!体育館でミーティング!あとで顔出すかも!」
颯人は元気よく手を振って走っていき、絢は軽く手を上げて廊下の向こうへと歩いていった。
残ったのは神奈、健気、胡桃、千鶴の四人。
教室の隅に机を寄せて、プリントとノートを広げながら、出し物のアイデアを書き出していく。
「劇って、やるならオリジナルがいいかな……」
と神奈が言うと、健気がうーん、と唸りながらメモを取り始めた。
「じゃあ、テーマとかどうする?ラブコメ?ファンタジー?」
「神奈、監督と脚本やってよ。絶対向いてると思う」
と胡桃が言うと、千鶴が小さく頷いた。
「……神奈の話、面白いから」
「ふふ、ありがとう」
秋の夕陽が窓の外を染めていた。
オレンジ色の光が、机の上のプリントに柔らかく映る。
少し肌寒くなってきたけど、心はどこかぽかぽかしていた。
ほんの小さな、でもかけがえのない時間。
ただそれだけの、いつも通りの一日。
「よし、そろそろ帰ろっか」
「うん、そうだね」
「帰りにコンビニ寄らない?おでん食べたい。」
「健気、さっきパン食べてなかった?」
「べ、別腹!」
笑い声が教室に響く。
放課後の校舎に、秋風がそっと吹き抜けた。
でも、陽射しはまだほんのり暖かくて、頬に当たるとくすぐったい。
登校中、歩道の脇にある木々の葉っぱが黄色や赤に色づいているのに気づいて、神奈はふと足を止めた。
「……秋、だね」
そう呟くと、隣を歩く胡桃がにこりと笑う。
「うん、秋ってなんか落ち着くよね」
そんな、何気ない会話をしていると
後ろから、颯人の大声が響いた。
「おいおい〜!置いてくなって!寒くなったら走ればあったかくなるぞー!」
「うるさいってば!朝から大声出すな!」
と、健気が怒鳴る声も聞こえる。
でも、どこか楽しそうだった。
神奈は笑いながら、その後ろを歩く千鶴と絢を振り返った。
「ねぇ、今日って文化祭の準備、話し合いだっけ?」
「……うん。HRで出し物決めるって。」
千鶴がぽつりと答え、絢が小さく笑った。
「颯人がまた変な案出しそうじゃない?」
「絶対そうだよね……」
「はぁ?!出さねーし!!!!」
「いや、お前は絶対出す。」
そうしてみんなで笑いながら、いつも通りの朝が始まった。
*
HRの時間。
担任の先生が「文化祭の出し物」について説明をすると、教室内が一気にざわつき始めた。
「ねぇねぇ、お化け屋敷とかどう?!」
「ベタすぎない?」
「劇もいいけど、準備が大変そう……」
颯人は机に片肘をつきながら、わくわくした表情で手を挙げる。
「先生!俺、焼きそば屋やりたいっす!いや、ラーメン屋でもいいかも!」
「食べ物はダメって書いてあるでしょ、プリントに!」
と、すかさず健気がツッコむ。
「だいたい、お前が調理したら全部焦がす未来しか見えないんだよ!」
「ええ!?俺、目玉焼きくらいなら作れるぞ!?」
「子供か!」
神奈はそのやりとりにくすくす笑いながら、隣の胡桃に耳打ちした。
「うちのクラス、絶対静かにはならないよね」
「うん。でも、こういうのも楽しいよね」
「……うん、たしかに」
その日の話し合いは結局、候補だけがいくつか出されて、次回に持ち越し。
放課後、残れる人は残って案を練ろうという話になり、神奈も残っていくことにした。
「あ、颯人は部活で、絢は委員会だっけ?」
「そーそー!体育館でミーティング!あとで顔出すかも!」
颯人は元気よく手を振って走っていき、絢は軽く手を上げて廊下の向こうへと歩いていった。
残ったのは神奈、健気、胡桃、千鶴の四人。
教室の隅に机を寄せて、プリントとノートを広げながら、出し物のアイデアを書き出していく。
「劇って、やるならオリジナルがいいかな……」
と神奈が言うと、健気がうーん、と唸りながらメモを取り始めた。
「じゃあ、テーマとかどうする?ラブコメ?ファンタジー?」
「神奈、監督と脚本やってよ。絶対向いてると思う」
と胡桃が言うと、千鶴が小さく頷いた。
「……神奈の話、面白いから」
「ふふ、ありがとう」
秋の夕陽が窓の外を染めていた。
オレンジ色の光が、机の上のプリントに柔らかく映る。
少し肌寒くなってきたけど、心はどこかぽかぽかしていた。
ほんの小さな、でもかけがえのない時間。
ただそれだけの、いつも通りの一日。
「よし、そろそろ帰ろっか」
「うん、そうだね」
「帰りにコンビニ寄らない?おでん食べたい。」
「健気、さっきパン食べてなかった?」
「べ、別腹!」
笑い声が教室に響く。
放課後の校舎に、秋風がそっと吹き抜けた。