朝、目を覚ますと、カーテンの隙間から差し込む光がまぶしかった。
「……ふわぁ……」
軽く伸びをして、ベッドから体を起こす。
昨日は入学式だった。帰りに胡桃と寄ったコンビニで買ったお菓子が、机の上に置きっぱなしになっている。
制服のスカートが、ハンガーにかけてあった。
ちゃんと畳んでから寝るつもりだったのに、どうやら昨日はそのまま寝ちゃったらしい。
廊下から、小さな足音が聞こえる。
続いて、勢いよく開いたドアの隙間から、弟たちの騒がしい声が飛び込んできた。
「ねーちゃん! 朝ごはんできてるってー!」
「早くしないとパパが全部食べちゃうぞ〜!」
「わかったってば〜! 今行く!」
声を張り上げながら、ベッドから立ち上がる。
何気なく鏡をのぞき込むと、昨日の朝と同じ顔がそこにある。
ちょっと眠そうな目と、肩までかかる髪。
寝癖がくるりと跳ねていて、思わず苦笑した。
1階に降りると、キッチンには母がいて、トーストを皿に並べていた。
父は新聞を広げながらコーヒーをすすり、双子の弟たちはテレビに夢中。
いつもの朝。
いつも通りの、変わらない風景。
「おはよう〜」
「おはよう、神奈。制服、しわになってない?」
「大丈夫〜、昨日ちゃんとかけたよ、たぶん」
母と軽口を交わしながら、焼きたてのトーストにバターを塗る。
弟のひとりがふいに口を開いた。
「ねーちゃん、今日から本格的に授業?」
「うん、って言っても最初はオリエンテーションばっかだと思うけど」
「ふ〜ん。友達、できそう?」
「もうできてるし」
「えぇ!? ずるーい!」
「ずるくないし!」
笑い声が食卓に広がった。
時間になり、制服に着替えて鏡の前でリボンを結ぶ。
ふと、昨日のことが頭をよぎる。
車が近づいてきた横断歩道、間一髪で引き戻された感覚、あのスーツの男性――
でも、もう気にしていない。
よくある話だ。たまたま、運が良かっただけ。
それより、今日はどんな授業があるのかのほうが気になる。
リュックを背負って、玄関を出ると、春の風がふわりと頬を撫でた。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃーい!」
家の中から、家族の声が重なる。
私は笑って手を振り、門を出た。
角を曲がると、胡桃がすでに立っていた。
制服のスカートが風に揺れて、彼女は少しだけ目を細めている。
「おはよ、神奈」
「おはよ、胡桃。早いじゃん」
「そりゃあね。今日からが本番でしょ?」
そう言って笑う胡桃に、つられて私も笑った。
並んで歩き出す。
昨日と同じ道。けれど今日は、新しい一日が始まる。
そんな気がしていた。
「……ふわぁ……」
軽く伸びをして、ベッドから体を起こす。
昨日は入学式だった。帰りに胡桃と寄ったコンビニで買ったお菓子が、机の上に置きっぱなしになっている。
制服のスカートが、ハンガーにかけてあった。
ちゃんと畳んでから寝るつもりだったのに、どうやら昨日はそのまま寝ちゃったらしい。
廊下から、小さな足音が聞こえる。
続いて、勢いよく開いたドアの隙間から、弟たちの騒がしい声が飛び込んできた。
「ねーちゃん! 朝ごはんできてるってー!」
「早くしないとパパが全部食べちゃうぞ〜!」
「わかったってば〜! 今行く!」
声を張り上げながら、ベッドから立ち上がる。
何気なく鏡をのぞき込むと、昨日の朝と同じ顔がそこにある。
ちょっと眠そうな目と、肩までかかる髪。
寝癖がくるりと跳ねていて、思わず苦笑した。
1階に降りると、キッチンには母がいて、トーストを皿に並べていた。
父は新聞を広げながらコーヒーをすすり、双子の弟たちはテレビに夢中。
いつもの朝。
いつも通りの、変わらない風景。
「おはよう〜」
「おはよう、神奈。制服、しわになってない?」
「大丈夫〜、昨日ちゃんとかけたよ、たぶん」
母と軽口を交わしながら、焼きたてのトーストにバターを塗る。
弟のひとりがふいに口を開いた。
「ねーちゃん、今日から本格的に授業?」
「うん、って言っても最初はオリエンテーションばっかだと思うけど」
「ふ〜ん。友達、できそう?」
「もうできてるし」
「えぇ!? ずるーい!」
「ずるくないし!」
笑い声が食卓に広がった。
時間になり、制服に着替えて鏡の前でリボンを結ぶ。
ふと、昨日のことが頭をよぎる。
車が近づいてきた横断歩道、間一髪で引き戻された感覚、あのスーツの男性――
でも、もう気にしていない。
よくある話だ。たまたま、運が良かっただけ。
それより、今日はどんな授業があるのかのほうが気になる。
リュックを背負って、玄関を出ると、春の風がふわりと頬を撫でた。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃーい!」
家の中から、家族の声が重なる。
私は笑って手を振り、門を出た。
角を曲がると、胡桃がすでに立っていた。
制服のスカートが風に揺れて、彼女は少しだけ目を細めている。
「おはよ、神奈」
「おはよ、胡桃。早いじゃん」
「そりゃあね。今日からが本番でしょ?」
そう言って笑う胡桃に、つられて私も笑った。
並んで歩き出す。
昨日と同じ道。けれど今日は、新しい一日が始まる。
そんな気がしていた。