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100日後にいなくなる私。

#5

【5日目】

 教室の扉を開けた瞬間、いつも通り、空気がすこしだけ冷たくなった。
 誰かの会話がほんの一瞬だけ止まり、またすぐに戻る。
 私は目を伏せて、何も言わずに席へと歩いた。
 後ろ指をさされるわけじゃない。あからさまな笑い声が上がるわけでもない。
 ただ、見えない膜のようなものが、私をクラスの「外」に押しやる。
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席に着く。
 バッグを横にかけ、筆箱を出す。
 それだけで、十分すぎるほどの気力を使った。
 隣の席には、いつも通り綾瀬さんがいた。
 今日も静かに、ゆっくりと本を読んでいる。
 前までは、誰が隣でも関係なかった。
 みんな私を避けるから。
 でも今は、少しだけ意識してしまう。
 綾瀬さんは、必要以上に私を避けない。
 昨日のペアトークで話してから、一回も話してない。
 その前も話したことなんてない。
 なのに、たまにコチラを見て微笑んでくる。
 それが、不思議でたまらなかった。
 無関心のようで、どこか、こちらを見ているような感じがするから。
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 授業が始まり、黒板の前に先生が立つ。
 私はペンを持って、ただ紙の上に文字を並べていく。
 意味は、頭に入らなかった。
 思考のどこかが、ずっと綾瀬さんのほうを向いている。
 話しかける勇気なんて、なかった。
 でも、隣にいるというだけで、昨日よりも息がしやすい。
 そんな風に思ってしまう自分が、少しだけ怖かった。
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 昼休み、私は立ち上がらなかった。
 教室に残る生徒は少ない。
 みんな、それぞれの場所へと散っていく。
 私はカバンから、くしゃくしゃのおにぎりを取り出した。
 買ったものじゃない。昨日の残りを、ラップで包んできただけ。
 食欲は、やっぱりあまりなかった。
 でも、机に向かって黙々と食べる綾瀬さんの姿が、少しだけ私を落ち着かせた。
 彼女の弁当は、小さなタッパーに詰められていて、色合いも綺麗だった。
 誰かが作ったのか、自分で作ったのかは分からない。
 私はただ、視界の隅で彼女の横顔を見つめていた。
 それだけで、不思議と時間が穏やかに流れていく気がした。
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 放課後、私は誰よりも遅れて教室を出た。
 綾瀬さんの席はもう誰も座っていなかった。
 ふと、窓の外に目を向ける。
 曇り空のすき間から、少しだけ光が差していた。
 私はスマホを取り出し、今日の記録を残す。
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【100日後に死ぬ私 5日目】
 今日は、誰とも話していない。
 でも、教室で昼ごはんを食べてみた。
 綾瀬さんが隣にいたから。
 それだけで、少しだけ、怖くなかった。
 声はかけられなかった。
 でも、今日の私は、昨日より少しだけ――生き生きしてた。
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明日は、何かひとことだけでも言えるように。
 きっかけがほしい。
 ほんの、ささいな理由でいい。
 あれ、、、、私、成長してる、、、?
 みんなと仲良くなれるのも、そう遠くないのかな、?
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私が死ぬまで、残り95日

2025/10/12 17:21

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