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◆
春、それは恋の時期。
「あのっ!靴屋の小人さん、今度二人でお花見行きませんかっ!」
僕はそう眼の前の彼...靴屋の小人さん こと 八神蒼さんに声をかける。
彼は頼りになる仲間であり、僕...因幡の白兎、因幡衣兎の、好きな人でもある。
「...ほらよ、お嬢ちゃんの靴にバフつけといたぞ。」
「......そうじゃない」
僕は、靴屋の小人さんの手からブーツを奪うように受け取ると、むっと頬を膨らませた。
違う、そういう事じゃないんですよ。
「僕は、モノが欲しいわけじゃない。
貴方とお花見に行きたいだけなんですよ!
なんですか、 僕じゃ不満なんですか?」
これは僕なりのデートのお誘いなのに。
その言葉で、工房の空気が少し張り詰めた。が、すぐに穏やかになる。
「ありがとな、お嬢ちゃん。嬉しいよ。」
彼はそう言うと、僕の頭を、子供をあやすように優しく撫でる。
「でもな、お嬢ちゃん。
お嬢ちゃんは立派な兎で、俺はちっぽけな妖精だ。」
そう言って靴屋の小人さんは僕の話を濁す。
その声色は、とても穏やかで、だからこそ残酷だった。
「...お嬢ちゃんは若くて、綺麗で、頭も回る。
俺みたいな、日陰でハンマー振ってるだけの小人には勿体ない。
......お嬢ちゃんには、もっと良い方がいるだろ。」
「でもっ!」
「そういう事だ。お花見は別の方と行ってくれ。」
そう言って彼は工房を去っていった。
◇
「はぁ......。」
僕は椅子に腰を掛けてため息をついた。
押して駄目なら引いてみろなんて言うけれど、引いたところで どうせ彼は僕に構ってくれない。
「貴女 何暗い顔してるの。
辛気臭すぎてお葬式でもしてるのかと思ったわ。」
そう言って灰被りさんが眼の前の椅子に腰を掛けてきた。
「靴屋の小人さんに、振られました...。」
「そりゃそうよ。だって貴女と彼、出会ってやっと半年ぐらいでしょう。
私でさえ出会って3年目くらいでようやく"灰被り"って呼ばれるようになったわよ。」
出会って、3年目でコードネーム呼び...これじゃあ彼とデートに行けるのは10年ぐらいかかりそうだ...。
「じゃあどうすれば...。」
「そんなの知らないわよ。私に聞かないで頂戴。
七匹の仔山羊とかに聞いたら?ほら、彼、恋愛とか詳しそうじゃない?」
確かに、相談という考えは無かった。
ガタリ、音を立てて僕は椅子から立ち上がる。
「決めた!...僕、色んな人に相談します!」
「そう。好きにすれば。」
そう言って彼女はふっと鼻で笑った。
「靴屋の小人さん、僕は諦めませんからね〜!」
絶対に、貴方を振り向かせてみせるんですから!
そうと決まれば、まずは皆に相談しよう、そう思って桜が舞う方へ、僕は走り出した。
春、それは乙女が頭を悩ませる時期。
◆
お手を取らずに、お嬢様
◇
春、それは恋の時期。
「あのっ!靴屋の小人さん、今度二人でお花見行きませんかっ!」
僕はそう眼の前の彼...靴屋の小人さん こと 八神蒼さんに声をかける。
彼は頼りになる仲間であり、僕...因幡の白兎、因幡衣兎の、好きな人でもある。
「...ほらよ、お嬢ちゃんの靴にバフつけといたぞ。」
「......そうじゃない」
僕は、靴屋の小人さんの手からブーツを奪うように受け取ると、むっと頬を膨らませた。
違う、そういう事じゃないんですよ。
「僕は、モノが欲しいわけじゃない。
貴方とお花見に行きたいだけなんですよ!
なんですか、 僕じゃ不満なんですか?」
これは僕なりのデートのお誘いなのに。
その言葉で、工房の空気が少し張り詰めた。が、すぐに穏やかになる。
「ありがとな、お嬢ちゃん。嬉しいよ。」
彼はそう言うと、僕の頭を、子供をあやすように優しく撫でる。
「でもな、お嬢ちゃん。
お嬢ちゃんは立派な兎で、俺はちっぽけな妖精だ。」
そう言って靴屋の小人さんは僕の話を濁す。
その声色は、とても穏やかで、だからこそ残酷だった。
「...お嬢ちゃんは若くて、綺麗で、頭も回る。
俺みたいな、日陰でハンマー振ってるだけの小人には勿体ない。
......お嬢ちゃんには、もっと良い方がいるだろ。」
「でもっ!」
「そういう事だ。お花見は別の方と行ってくれ。」
そう言って彼は工房を去っていった。
◇
「はぁ......。」
僕は椅子に腰を掛けてため息をついた。
押して駄目なら引いてみろなんて言うけれど、引いたところで どうせ彼は僕に構ってくれない。
「貴女 何暗い顔してるの。
辛気臭すぎてお葬式でもしてるのかと思ったわ。」
そう言って灰被りさんが眼の前の椅子に腰を掛けてきた。
「靴屋の小人さんに、振られました...。」
「そりゃそうよ。だって貴女と彼、出会ってやっと半年ぐらいでしょう。
私でさえ出会って3年目くらいでようやく"灰被り"って呼ばれるようになったわよ。」
出会って、3年目でコードネーム呼び...これじゃあ彼とデートに行けるのは10年ぐらいかかりそうだ...。
「じゃあどうすれば...。」
「そんなの知らないわよ。私に聞かないで頂戴。
七匹の仔山羊とかに聞いたら?ほら、彼、恋愛とか詳しそうじゃない?」
確かに、相談という考えは無かった。
ガタリ、音を立てて僕は椅子から立ち上がる。
「決めた!...僕、色んな人に相談します!」
「そう。好きにすれば。」
そう言って彼女はふっと鼻で笑った。
「靴屋の小人さん、僕は諦めませんからね〜!」
絶対に、貴方を振り向かせてみせるんですから!
そうと決まれば、まずは皆に相談しよう、そう思って桜が舞う方へ、僕は走り出した。
春、それは乙女が頭を悩ませる時期。
◆
お手を取らずに、お嬢様
◇