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【参加型】花束、あるいは屍【命短し暴れろ主役】【スピンオフ】

#7

お手を取らずに、お嬢様





春、それは恋の時期。


「あのっ!靴屋の小人さん、今度二人でお花見行きませんかっ!」

僕はそう眼の前の彼...靴屋の小人さん こと 八神蒼さんに声をかける。
彼は頼りになる仲間であり、僕...因幡の白兎、因幡衣兎の、好きな人でもある。

「...ほらよ、お嬢ちゃんの靴にバフつけといたぞ。」

「......そうじゃない」

僕は、靴屋の小人さんの手からブーツを奪うように受け取ると、むっと頬を膨らませた。
違う、そういう事じゃないんですよ。

「僕は、モノが欲しいわけじゃない。
 貴方とお花見に行きたいだけなんですよ!
 なんですか、 僕じゃ不満なんですか?」

これは僕なりのデートのお誘いなのに。
その言葉で、工房の空気が少し張り詰めた。が、すぐに穏やかになる。

「ありがとな、お嬢ちゃん。嬉しいよ。」

彼はそう言うと、僕の頭を、子供をあやすように優しく撫でる。

「でもな、お嬢ちゃん。
 お嬢ちゃんは立派な兎で、俺はちっぽけな妖精だ。」

そう言って靴屋の小人さんは僕の話を濁す。
その声色は、とても穏やかで、だからこそ残酷だった。

「...お嬢ちゃんは若くて、綺麗で、頭も回る。
 俺みたいな、日陰でハンマー振ってるだけの小人には勿体ない。
 ......お嬢ちゃんには、もっと良い方がいるだろ。」

「でもっ!」

「そういう事だ。お花見は別の方と行ってくれ。」

そう言って彼は工房を去っていった。







「はぁ......。」

僕は椅子に腰を掛けてため息をついた。
押して駄目なら引いてみろなんて言うけれど、引いたところで どうせ彼は僕に構ってくれない。

「貴女 何暗い顔してるの。
 辛気臭すぎてお葬式でもしてるのかと思ったわ。」

そう言って灰被りさんが眼の前の椅子に腰を掛けてきた。

「靴屋の小人さんに、振られました...。」

「そりゃそうよ。だって貴女と彼、出会ってやっと半年ぐらいでしょう。
 私でさえ出会って3年目くらいでようやく"灰被り"って呼ばれるようになったわよ。」

出会って、3年目でコードネーム呼び...これじゃあ彼とデートに行けるのは10年ぐらいかかりそうだ...。

「じゃあどうすれば...。」

「そんなの知らないわよ。私に聞かないで頂戴。
 七匹の仔山羊とかに聞いたら?ほら、彼、恋愛とか詳しそうじゃない?」

確かに、相談という考えは無かった。
ガタリ、音を立てて僕は椅子から立ち上がる。

「決めた!...僕、色んな人に相談します!」

「そう。好きにすれば。」

そう言って彼女はふっと鼻で笑った。

「靴屋の小人さん、僕は諦めませんからね〜!」

絶対に、貴方を振り向かせてみせるんですから!

そうと決まれば、まずは皆に相談しよう、そう思って桜が舞う方へ、僕は走り出した。


春、それは乙女が頭を悩ませる時期。







お手を取らずに、お嬢様



作者メッセージ

赤い傘の男様、リクエストありがとうございました〜!
もし赤い傘の男様ではなくても、因幡の白兎ちゃんが皆に相談する短編が見たい方がいれば、気軽にリクエストしてください〜!

2026/02/01 15:04

おさかな
ID:≫ 1.50.uy/2UmR2
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